最終決戦
「ふん。クルチ。お前は弱くなったな」
「くそ・・・強すぎる」
体育館。二人の戦いはどうやら普通の室内では収まることはなくとても広い体育館にまで戦火はひろがっていた。
「クルチ。お前が国連機関NEOの使いだということはわかっていた」
「お前の暴走を・・・止めなければならなかった・・・友として」
クルチは忍田の刀に体を切られもはや立つこともできなくなっていた。手に持っていた刀も刃がボロボロでもはや使い物にはならなくなっていた。
「なぜ咲神君を殺した!」
「なぜ、か。それは邪魔だったからだ」
「忍田!!!」
バンと体育館の扉を開けたのは良介だった。息を切らし全速力で走ってきたのだ。
10分前
俺と冬木と愛梨はヘリコプターにのって忍田のいる場所へと向かっていた。どうやら次々と部隊の裏切り者が出ているらしい。それに共通する裏切り者ってのが忍田の部下らしい。
「冬木!愛梨!お前たちは西田さんのところへいって安否を確認しにいってくれ!」
「お、おい!りょーは!?」
「おれは、話をつけなきゃならない奴がいる」
冬木と愛梨が真剣な顔で俺を見る。
「それって忍田さんか?」
「さんなんていらねぇ。あいつは人類の敵だ」
ビクッと愛梨は体を震わせる。どうやら後々聞いたら俺の目が世界の鍵によって真っ赤になってることに今さら気づいたらしい。
「良介。頑張ってな」
「おう」
「パイロット!忍田の居場所はどこだ!」
『総帥は現在何者かの襲撃をうけ安否は不明です!場所は体育館にいます!』
だれだ?襲撃したやつって。まあ、理事長室から煙が上がってるから相当な腕の持ち主だとおもうけど。
すぐに決着をつけてやる。
咲神そして鈴香の仇。
「やはり咲神もお前がやったんだな」
「彼は少々知りすぎてね。私が消してあげたよ」
俺はドッと頭に怒りがこみ上げてくる。
「この外道がぁ!!!」
足を強く踏み込んで地面を蹴る。距離は30mはあっただろうか。この距離を一瞬にしてつめる。
「なにっ!?」
さすがに忍田も驚きを隠せないようだった。恐らく忍田には銃は通じない。ならばおなじ刃物で行くしかない。
「はあ!!」
左太もものコンバットナイフを取りだし忍田めがけて切りつける。
「鍵と適合したのか!!」
無論、人間離れした忍田にはつうじることは無い。簡単に受け止められてしまう。
ガギン!
刃と刃がぶつかり鈍い音をたてる。お互いに全力。
「お前の目的はなんだ!忍田!」
忍田の攻撃、いわゆる斬撃をコンバットナイフでいなしながら距離を縮めていく。
「な、なんなんだ。良介君のあの速さは・・私でも捉えきれない」
常人であるクルチにはもはや風と鈍い音が鳴ってるようにしか聞こえないみたいだった。
「目的か、」
忍田は静止する。良介も足を止め静かに言葉をまつ。
「私の目的は・・・人類を犠牲にして神になること、それだけだ!」
ヒュンという音のあとに忍田は消える。
「どこいっ、がは!」
後ろから激しい痛みが襲いかかる。忍田は良介を回し蹴りし吹き飛ばす。
「私がなんのために人類の第二の生存権を造ったか知ってるか!」
なに?なんの話だ?今さらなんで第二の生存権の話が・・・
「まさか!!!」
忍田はニヤリと笑う。
「第二の生存権は祭壇にすぎんだよ!!私が生まれ変わるためのな!あそこには5万の人類がいて私は世界の鍵の末端の力を使えば私はさらに上の存在になる!」
「そんなこと、させるか!!」
忍田へ距離を縮め、一撃また一撃とコンバットナイフで斬りかかる。だが、全て弾き返されてしまう。
「鈴香は!鈴香はどうするつもりだったんだ!」
「鈴香?ああ、彼女か。彼女は私の目的のための致し方ない犠牲になってもらった。もうかなり前だから覚えてはいないよ」
そんな・・・そんなことで・・。自分の自己満足のために一人の女性の人生を・・・。
「忍田・・・・お前を殺す」
一閃
「がはっ!」
軽く地面を蹴り一瞬で忍田の懐に入り脇腹を斬る。
この男にはもはや情けはいらん。ここで一思いに殺してやる。鈴香と咲神、そして人類の未来を奪わせてたまるか・・・
「はぁぁぁああああ!!」
脇腹を斬ると忍田に一瞬のスキができる。俺はその瞬間を見逃さない。
忍田の体勢が崩れる。一撃、また一撃と斬撃の嵐を食らわせる。、
「くっ!人間風情がぁぁ!!」
忍田は体勢をむりやり建て直し刀で上段から斬撃を繰り出してくる。
「おせぇ」
キン!!
刀を弾き宙に飛ばす。俺はその瞬間を見逃さない。忍田から離れた刀を掴み鋒を忍田の心臓に向ける。
「これで終わりだぁぁぁあ!」
「ごはっ!!」
忍田の心臓に突き刺す。刀は貫通し体育館の鉄の壁に刺さる。
「はあはあ・・・・やったのか?」
甘いよ・・・椎名良介
瞬間、激しい痛みが腹に襲いかかってくる。
「うぐっ!?て、テメェ!」
腹を見るともう一本の刀、脇差しが俺の腹を貫いていた。
まさか、まだ武器を・・・隠しもってたのか?ヤバい。痛みで我を忘れそうだ・・
負けないで。お兄ちゃん。
「え?」
風が吹き荒れる。
気がつくと俺は空に立っていた。ここは?さっき灯の声が・・まさかな。いるわけ無いだって灯は・・・
「お兄ちゃんのバーカ」
「ほぇ?」
目の前に灯が立っていた。いつもの制服姿で。ていうか今バカって・・・
「バカだからバカっていったんでーす」
「うるせぇ!バカバカ言うな!」
「何度でも言ってやる!バカ!バカバカバカバカ」
「あー!うるさ「でも、立ち直れてよかった。まだこっちにはきちゃだめ。灯が助けてあげる」
だから、負けないで。灯の大好きなお兄ちゃん
「ぐぁぁぁぁあ!!頭が!頭が割れる!!誰のしわざ・・・」
忍田は急に頭を抱えうめき苦しむ。忍田の体は貫かれているのに叫ぶ力はまだ健在だった。
「これで・・・とどめだ!」
もう一本のコンバットナイフで首をめがけて思いきり斬りつける。だが切りつけようとしたその時、忍田に素手で弾き飛ばされ懐から何かのスイッチを取り出していた。
「ならば貴様も道連れだ・・椎名良介!」
阿吽の呼吸。
「なに?」
忍田の手に持っているのは、スイッチ?
「まさか、ここごと!!」
「終わりだぁぁ!」
スイッチを押す。忍田の下からとんでもないオレンジの光が現れる。はは。とうとう死んだな俺・・・。
体育館は吹き飛び、破片が飛び散る。大きな火が空を舞った。あたり一面に破片が飛び散り熱気があたり一面を包み込む。
【本部。こちら西田。ミサイルを発射します】
【本部了解】
その日。抗ウィルスを載せたミサイルは発射された。ミサイルは世界各国に降り注ぎ感染者をことごとく身体の内部から破壊していった。これは壁をすり抜けてくるためどこにいても逃げ場はなかった。
どんどん抗ウィルスは感染者を内部から破壊していく。
人類は勝ったんだ。
「先生!!りょーは!りょーは助かるんですか!?」
「そもそもあんな爆発に巻き込まれて生きてる方が不思議です!まだ息がある!絶対たすけます!」
「いやぁぁぁぁ!先輩!先輩!」
「必ず助けるんだぞ!死なせたらお前を殺すからな!!良介!父さんが着いてる!だから絶対に死ぬんじゃないぞ!!」
「死んだら許さないからね!良介!僕か地獄の果てまで追いかけるからな!」




