椎名灯の死
どうもみなさんおはこんばんにちは!マクミランです!最近寒いですね!では本編をどうぞ!
あの日、灯は死んだ。奴等(感染者)になることを拒み俺に全てを託し俺に手をかけさせて。あの後俺は気を失ってしまった。目覚めた時には自分の家のベッドの上にいた。この日父はいなかった。だが隣にいたのは倉見結城だった。彼女はずっと気を失ってしまった俺の横にいたのだと言った。泣き崩れる俺を結城は必死に慰めてくれた。俺は唯一の妹を守れなかった。
妹を守ると誓った俺が聞いてあきれる・・・・
この日、学校はなかった。どうやら父は葬式に出ていたようだ。葬式にはどうやら1000以上の人が駆けつけてくれていたようで妹の人望の厚さを感じる。だが俺は葬式に出なかった。そして同時に咲神の死も知らされる。葬式に出なかったことに俺は愛梨と冬木に家に押し掛けられ咎められたが二人を無視し外にでた。
「灯・・・・」
外は曇っていていかにも雨が降りそうになっていた。強い風が吹き荒れまるで天候も灯の死を悔やんでいるかのように感じる。俺が灯を守れなかったことを責めるように。そして普段一通りのある道も誰もいなかった。
「りょー!まてよー!」
この声・・・おそらく愛梨だろう。追いかけてきたのか。一人にしてほしいと言ったのに・・・。
後ろを振り返ると愛梨が制服姿でこっちに走って来ている。なにやら慌てているがどうしたのだろう。激しく息も切れている。
「なに・・・?」
「なに、じゃねぇよ!!」
愛梨は俺のもとにたどり着くなり走ってきた突進力を利用し大きく右に振りかぶり右ストレートをとんでもない速さでかましてきた。
「うぉ!?なんだよ!」
「なんだよ!じゃねえ!人の話も聞かねぇで!!忍田さんが呼んでるっつーの!!」
どうやらこのことを言いたくてずっと追いかけて来ていたらしい。忍田さんが呼んでるとなると何をするんだろう。しかも俺だけってのもなんだかな。
「わり・・・。ありがとな」
「お、おう」
愛梨は心配そうな顔をして頷く。そして俺は忍田さんがいる所、学校のある場所へゆったりとした足取りで歩き出す。その様子を見ている愛梨は突然、
「おい!りょー!」
呼び止める愛梨。とっさの呼び止めに振り返ると愛梨はずっとこっちを見つめている。どうしたんだろう。
「その・・・ごめんな。アタシが一緒に乗ってたら・・・灯ちゃんは・・」
うつむく愛梨ひどく悲しい表情をしてしまう。ちがう。灯は愛梨のせいじゃない・・・。俺は何かを言いかけるも言い出せなかった。口から言葉がでかかっているのに、何も言わずにこの場所を後にして忍田さんがいる所に向かった。
「りょー・・・」
愛梨は俺が立ち去る様子を静かに見守った。
鈴森高校入口
鈴森高校。ここは新しく設置されている高校とはいえ外見はかなり古くさい学校に見える。外壁はひび割れていたり、所々ペンキが落ちていたり、とても新しく建てられた学校とは思えない。だがそれは外見の話。内装はとても機械の力が及んでいる。入口は生徒認識システムが導入され生徒と識別されなければ自動的に来客と見なされ教室とかに入れなくなる。そして至るところに監視カメラが設置されており万が一感染者が入ってきたらすぐに確認できる。
「そういえば今日は休みなんだっけ」
認証をすまして校舎内に入る。ここからは外の空気とは一変する。下駄箱のすぐ目の前にあるエレベーターで上に向かうことができ階段は見た目普通の白い階段に見えるが手すりについているスイッチを押すとエスカレーターにもなる。
「はあ・・・。なんでこんなときに」
俺は多少のめんどくささも感じながらもしぶしぶ忍田さんのいる所に向かう。
理事長室
「失礼します」
理事長室。忍田さんは立ったまま俺に背を向け、光の差し込まない窓を見ていた。忍田さんはずっと黙ったままだった。相変わらずの青いスーツ姿の忍田さん。ここしばらくちがう服装を見たことがない。
「・・・・なんですか?」
黙った忍田さんの反応を見て多少の苛立ちが込み上げてきた。
「良介君。すまなかった。私が君たちではなく他の部隊を向かわせていれば」
やっと口を開いたと思ったら俺への謝罪だった。忍田さんの謝る姿を想像出来なかったが、もう遅い。遅いんだよ・・・・。灯はもうここには居ないんだ。
「こんなことしてる暇があったらあなたが動いたらどうですか?少々動かなすぎです」
俺はこっちに背を向けたまま黙りこんでいる忍田さんに吐き捨てた。もう疲れた。この場には居たくはない。忍田さんは依然として黙ったままだった。
「では失礼します・・・・」
俺は理事長室を後にした。忍田さんもこれ以上は何も言ってこなかった。ただ無言のままずっと俺に背を向けていた。忍田さんも本気で俺に謝っていたのだろう。だが俺はそんなことを意に返さず出ていった。
鈴森高校を出た俺は灯の墓に向かって山の上へと続く入口に向かっていた。校門を出た辺りからポツポツと雨が降りだしていた。だが俺は傘をかけることもなくただただ無言のままあるっていた。
葬儀社さんの素早活動もありはやくも葬式が終わる頃には既に灯の墓は造られていた。これは父の呼び掛けもあり葬儀社さんも本気で造り一時間で完成させたそうだ。
山の山頂には多数のお墓があった。だがその墓の家族も居なくなりもはや使われなくなっていた。そこに父が使命したのは何か意図があってのことなんだろうと思う。山頂に続く道は整備されていなくて草が生え放題だった。俺はその道をかき分け山頂に向かっていた。
お兄ちゃん・・・・憎しみに囚われないで
「灯!?」
どこかで灯の声が聞こえた気がした。俺はそんなこと起きるはずがないとわかっているのに。本物の灯の声がしたと勘違いしてしまう。
「灯、もうすぐだからな」
心にいって聞かせるように呟く。山頂付近に着くまでそんなに時間はかからなかった。森のトンネルを抜けると墓があった。トンネルを抜けたからかまたポツポツと雨が降りだした。灯の墓は他の墓よりも少し大きめな物だった。だがそこには誰かがいることに気づく。
誰だ?
そいつは黒いローブを身にまといフードをしていた。その男は灯の墓の前に立っていた。フードが深すぎて顔が見えない。その男は俺に気づくとゆっくりとこちらに態勢を向けた。
「・・・お前が殺したんだ」
「なに!?」
男は低い声で俺に向けて言いはなった。
そして俺が瞬きをした瞬間そいつは目の前に移動していた。ほんの一瞬だった。走ってきたのではない。移動していたのだ。コートは揺れ動きそしてその男は態勢低くし俺に右足の突きを食らわせる。
「がっ!?」
俺はあまりの衝撃に5m以上吹き飛ばされ草むらの中に突っ込んでしまう。バキバキと枝の折れる音を聞きながらものすごい衝撃木に激突する。
衝撃が強すぎて嗚咽が込み上げてくる。ちょうどみぞおちの所を蹴られて態勢が立て直せない。
「りょー!大丈夫か!?」
「良介!大丈夫?」
どうやらあとをずっとつけてきたようで草むらの中から俺を引っ張りだしてくれた。くそ、そこらじゅう擦り傷だらけだ。
「あいつはだれだ!?」
愛梨が男に向かいながら叫ぶ。男は再び灯の墓の前に移動していた。そして無言のまま瞬きした瞬間この場から消える。
「くそっ。あいつは一体なんなんだ」
愛梨と冬木はわけの分からないまま俺の腕を掴み肩を貸してくれた。ほんと、迷惑かけてばかりなのにいいやつなんだな・・・。
「大丈夫か?りょー?」
「あ、ああ。このことをはやくも忍田さんに話さなくちゃな」
「そうだね。はやく行こう!」
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