第60話 新たな友達メヤ
今日は3話更新です。1話目
「おお、勇者エドよ!死んでしまうとは情けない」
この真っ白な空間は・・・久しぶりの神様空間か?
「どうも久しぶりですね神様」
相手は神様なので折り目正しく挨拶をする。しかし神様は俺の挨拶がお気に召さなかったのか頬を膨らませている。
「ちょっと!僕の会心のギャグに無反応って酷いんじゃない」
え!?今ので会心のなの?ああだけどギャグセンスとかってテレビとかで勉強するだけじゃなくて実際に話さないと上達しないからな。そのせいか。
「いえあまりにも面白くてどう反応したらいいか分からなかったんです」
俺の発言を真に受けたのか途端に機嫌をよくする神様。
「そう?そうだよねー。なんせ神様が考えたギャグだもんね。面白すぎるってこともあるよね」
あっさり騙されすぎだろう。ああこういうことに関する猜疑心とかも実際に会話とかしないと身につかないもんな。この人普段なにしてんだろ。同じような神友とかいないのかな。
「まあなんだかんだで久しぶりだね勇者エドくん」
神様が先ほどのニコニコとは違った笑み、ニヤニヤした顔で見てくる。
「いやもうそのネタいいですよ。それにあんまり引きずるとうざがられますよ」
「えっ!?そうなの!気をつけないと」
神様はメモメモとかいいながらどこからか取り出したメモ帳に熱心にメモしてる。
「ってそうじゃなくて。ネタを引きずったわけじゃないよ。正真正銘君は勇者エドだからね」
「そういえば聞きたいことがあったんですけど」
数年前からずっと聞きたかったのに中々話しかけてきてくれなかったから聞けなかった。ってこれじゃあ俺がボッチじゃないか。
「なんだい?僕の知ってることならなんでも教えてあげてもいいよ。それこそカニのみそ汁のことでもね」
華麗にボケをスルー。渾身のボケをかわされ涙目になっている神様に質問をする。
「ステータスの欄に称号ってあるじゃないですか?あれって神様がつけてるんですか?」
「ふむ。いい質問だねエド君」
神様が指を鳴らすとどこからともなくホワイトボードが出てきた。
「称号はね最初に僕が手に入れるための条件を設定してそれをシステムに登録するんだ。あとは条件を満たすとシステムが勝手にその人のステータスに追加してくれる。まあやりこみ要素みたいなやつだよ。それでステータスが上がったりはしないしね」
「じゃあ俺のあの称号もあらかじめ設定しておいたんですか?」
「ううん。あれは君を観察していた僕がその場で作って君のステータスに追加したんだよ」
「ってことは他に持ってる人はいないんですか?」
「今のところはそうだよ。時代によっては何人も同時に持ってたりしたけどね。因みに称号は死ぬと全て消えるんだ」
つまりこの神様の裁量しだいということか。まあ別に文句を言いたいわけじゃないが。要するにお遊びみたいなもんか。
「そういえば前に会ったとき俺は既に二人の転移・転生者と会っているって言ってましたね」
聞きたかったことを聞けたせいか昔少し気になったことも思い出した。二人と会っている。おまけに俺はその二人を個人として認識している。町ですれ違ったとかではないらしい。
「言ったねぇ。法廷で証言してもいいよ」
「一人は神前だとしてもう一人は誰なんですか?」
俺の質問に神様は少し考えるかのように腕を組んだ。
「さあ誰でしょう?ヒントとしてはもう一人とも君は頻繁に顔を合わせているよ」
「そうやって話を引っ張ると嫌われますよ」
「え!?じゃ、じゃあ本当のことを教えてあげるよ、って騙されないよ!!」
あとちょっとだったのに。俺との会話で学習してきてるな神様。
「頻繁に顔を合わせているとなるとジュラかリレスかイルなのか」
「ふふ。まああんまり他人の言動に振り回されないことだね」
あんたに言われたくないよ!!と思わず突っ込みそうになった。
「なんせ僕は間違ったことは言わないけど正しいことを言っているとも限らないんだから」
謎かけか?だけどこの神様のことだから気にしてもらいたくて言ってるだけってのもありそうだな。
「ところでエド君。もし君が親友だと思っていた相手や恋人が酷い二面性を持っていた場合・・・君はどう思う?」
なんだ急に改まったりして。取り敢えず想像してみる。例えば・・・もしイルが凄い少食だったら?普段はキャラ作りでいっぱい食べてるけど実は無理してました、みたいな?・・・なんか違う気がする。じゃあリレスが実は凄いギャルだったら。俺のいないところだと「だってぇ」とか「ていうかぁ」っていう話し方でマシンガントークしてたら。・・・これはショックだな。もしこの口調で俺の悪口言われてたりしたら立ち直れないぞ。普段の口調でもキツイけど。
「まあその場面にならないと分かりませんけど。やっぱりショックだったりするんじゃないんですか?」
それも含めてそいつだ、なんて思えるほど俺は人間が出来てないと思う。
「ふーん。ありがとう面白いことが聞けたよ」
「じゃあ代わりにもう一つ俺の質問に答えてくださいよ」
「いいよ。カニのみそ汁のことでもなんでもね」
しつこいぞ。
「神様って名前あるんですか?」
俺の質問に驚いた顔をする神様。だっていつまでも神様じゃなんか面倒くさいじゃん。
「ふっふっふ。僕の名前を知りたくなったってことは僕と友達になりたいってことだね」
「いや別にそうい・・・・」
「いいよ!!一度しか言わないからよく聞いてね。僕の名前それは」
だから溜めるなよ!突っ込み待ちなのか!?
「メヤ」
神様の名前を聞いた途端久しぶりの意識が遠のく感覚がした。
一人神様空間に残された神、メヤはエドがいなくなると笑い出した。
「ふふふ。僕の名前は何か、か。そんなこと聞かれたの久しぶりだな。やっぱり今までのとはどこか違うよ彼は」
メヤは笑いながらどこかに消えた。
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