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第51話 デスベアーとの戦い

長かったので分割しました。

「今回のクエストはこれでいいか?」


 俺はそう言いながら神前とジュラに依頼書を見せた。


「なになに・・・デスベアー一体の討伐?こんなクエストいまさら僕たちが受けるようなもんじゃないとおもうけど」


「確かにそうですね」


 神前の発言にジュラが同意する。本来デスベアーの討伐はCランク冒険者が適正だ。


「いやな、このクエストの報酬が丁度俺が欲しかったのものなんだよな」


 俺がそう言うと二人とも報酬欄を見る。


「モンスター図鑑?」


「ああ。モンスター図鑑は貴重でな。学園の図書館にもあるんだが完全版じゃないんだよな。他のは中々見つからなかったんだよ」


 モンスター図鑑とはその名のとおりモンスターの図鑑である。そのモンスターがどこに分布しているのか、モンスターの特徴などが書いてある本だ。俺がその本を探しているのはユニークスキルのためである。


「でも本物なの?」


「さあな。でも本物かどうかは見てみないとわからないだろ?だったら受けてみてもいいじゃん」


「私は別にいいですけど」


「まあ僕もいいんだけど」


「なら決まりだ。二人とも少し遠出するぞ」


「はい」


「わかった」


 二人の返事を聞いた俺は依頼書を受付に持っていった。

  


場所は移動して。ここは依頼主の家。


「えーとあなたが依頼主のゴメスさんですか?」


「はいそうです」


 今俺の目の前にいる細い男性が今回のクエストの依頼主だ。


「森の中に薬草等を採集に行ったときにデスベアーが現れて・・・その時一緒にいた弟子が殺されてしまったんです」


「そうですか。お悔やみ申し上げます」


 デスベアーがいるような森に弟子と二人だけで行ったのだろうか?随分危険な真似をするな。


「ありがとうございます」


 俺も初めて仲間が死んだときは辛かった。その気持ちはわかるつもりだ。


「それで報酬の件なんですが」


 切り替えが早い人だな。いや、この世界じゃわりと普通なのか。


「はい。モンスター図鑑でしたね。できれば先に確認しておきたいんですけど」


「いいですよ」


 ゴメスさんはそう言うと奥に引っ込んで本を手に戻ってくる。


「こちらがモンスター図鑑です」


「どうも。じゃあちょっと拝見させてもらいます」


 断ってから中を見る。少しめくって見たところどうやら本物のようだ。


「ありがとうございます。それでデスベアーはどの辺りで現れたんですか?」


「森に入って結構奥のほうだと思うんですが詳しい場所はわかりますせん」


「わかりました。じゃあ今から行ってきますね」


「はい。お気をつけて」




「一体どこにいるんだ?デスベアーは」


「ゴメスさん曰く森の奥のほうらしいけど・・・」


「さっさと出てきてくれると嬉しいんだけど」


 神前が愚痴るのもしょうがないかもしれない。今いる森は非常に大きく出くわすだけで一苦労だ。それを考えるとゴメスさんは相当運が悪かったのだろう。


「もう少し先に少しひらけた所がある。そこを中心に探してみよう」


 木が生えていない空白地帯がある。大型の魔物が寝床かなにかに使用している可能性がある。



「お、どうやらビンゴらしい」


 近づいていくと同じ場所にデスベアーが向かっているのが空間把握でわかる。


「お、なら僕にやらせてくれない?ちょっと試したいことがあるんだ」


「俺は別にいいけど真似すんなよ」


 神前の実力なら万に一つもないだろう。


「私も構いません」


 広場につくのは殆ど同時だった。


「グルゥ」


 デスベアーが俺たちを威嚇するかのように唸る。


「じゃちょっと行ってくるわ」


 まるで近所に散歩に行くかのような気安さでデスベアーと向き合う神前。


「ガアァァァ!!」


 神前を敵と認定したのか二本足で立って叫び声を上げる。あれも一応威圧というスキルだが神前には微塵も怯んだ様子が見られない。


「行くぜ。熊と会ったら言ってみたいと思っていたら技名ナンバーワン!」


 そう言うと神前は居合いの形をとり、


「くらえ天才不○先輩の技、ヒグマ落とし!!」


 やってみたかった技ってそれかよ!!ていうかただの居合い切りじゃん!

 

 心の中で盛大に突っ込む。だってあれだけ前振りしておいてやったのがこの技だぜ?


「どりゃ!」


 気合一閃神前の刀が一条の光になってデスベアーを両断した。光って言っても闇色のだけど。


「やるな」


 デスベアーを一撃で切断って・・・。


「これが秘刀術・ヒグマ落としの威力・・・俺はなんて恐ろしい技を生み出してしまったんだ」


「ついさっき不○先輩の技だって言ってただろうが」


 俺の突っ込みに神前は聞こえないふりをした。


「妙ですね」


 急にジュラが言った。


「妙ってなにがだ?」


「本当にデスベアーがいたことがです」


「ゴメスさんが見たって言ってたじゃんか」


「デスベアーと普通の熊の見た目の違いは瞳の色ですよ?素人が咄嗟に見分けられると思います?」


デスベアーの目の色は赤色なのだ。


「偶然でも必然でもゴメスさんはデスベアーだってわかったんじゃないの?」


 神前のこの発言に、


「それでもおかしいことがあります。デスベアーが現れるような森に弟子と二人だけで行きますか?普通行きませんよね。」


「護衛を連れてたとか」


「だとしたらどれくらいの強さの護衛を何人くらい連れて行ったのかを教えるはずです。デスベアーの強さの目安として。それに来る前に調べましたがこの森にデスベアーがいるという報告は今まで無かったそうです。つまりこの森には本来デスベアーがいません」


「ということは?」


「その話を詳しく聞くと?」


 俺と神前の質問にジュラはため息をつくと、


「つまりなんらかの異常事態または人為的なものでこの森にデスベアーが現れたということです」


「最初からそう言ってくれればいいんだよ」


 なんらかの異常事態または人為的なことね。


 その時俺はジュラの話に夢中になりすぎて周りへの注意が足りていなかった。その結果俺たちを囲むように現れた合計十個の影に気づくことができなかった。







 


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