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第44話 事件の真相

遅れてすみません。色々ありまして

「エリオ・エド並びにエウロス・ジュラそこへ」


王様の隣に立っている偉そうな人の指示に従い王様の前で跪く。


「面を上げよ」


今度は王様の指示に従い顔を上げる。ここまでの至近距離で王様を見たのは初めてだが威厳が凄い。俺は人が威厳でびびるなんて前世では嘘だろう思っていたのだが転生してから180度意見を変更した。人がびびる程の威厳を出すことが出来る者は存在する。念のため言うと決してどこぞのボッチ神のことではない。目の前のメイズ何十世のことである。何故俺とジュラが王様と会っているのか。それは説明する為にはいくらか時を遡らなけらばならない。




魔族が王都を襲来してから一ヶ月程経っただろうか?一ヶ月の間でかなりの出来事があった。


まず魔族に破壊された王都は大分修復されてきた。飢饉が起こるでもなかったし暴動も起こりはしなかった。かなりスムーズに復興しただろう。


次に魔族を王都まで連れ込んだ裏切り者が処刑された。詳しくは知らないが民に圧政をしいて今の王様の言う事もまるで聞かない絵に書いたような悪辣貴族が何人か捕まったらしい。こういう奴に限って妙に権力を持っているので性質が悪い。あと獣人、亜人に対してやたらと攻撃的な貴族も関わっていたらしい。勿論そいつらも処刑された。


上記の二つは王国側が迅速な行動を取ったお陰だろう。まあ貴族の処刑に関しては迅速過ぎるような気もするが。


色々なことに一段落ついたからだろう。俺のもとに恐れていたものが来た。そう王国からの使者だ。


なんでも今回の魔族襲来において多大な功績を誇った俺とジュラを王様自ら称えてくれておまけに褒美までくれるそうだ。褒美は嬉しいのだが王様に会うためには色々準備が必要だ。まあ一番面倒な服は学生ということで制服でいいのが救いだが。


「メンドクサイ」


「直前まで何を言っているんですか。」


「だってただ王様に褒めてもらって褒美をもらえば終わりだろ?ただそれだけのことに一日も使うのを面倒くさいと言わず何を面倒くさいと言う。」


「様式美というやつですよ」


「はあ」


俺は観念して馬車に乗る。王城まで直行便である。というか俺たちの貸切。まあ王様が遣した馬車だから当然なんだが。


そして舞台は冒頭に戻る。


「此度の活躍両名とも見事であった。」


「愛する国の為に戦っただけです」


謙遜しておく。


「そこでお主ら二人に何か褒美をやろうと思っている」


「褒美ですか」


「そうだ。何か欲しいものはあるか」


うーむ。褒美といっても王様が決めるわけじゃないのか。何も考えてこなかった。俺は悩んでいるとある名案が浮かんだ。


「それでは今回の魔族が襲来した件について詳しく全てをお教えください。」


「全てか?」


「全てです」


王様が射抜かんばかりの目つきで俺を見てくる。ちびってしまいそうである。


「ふむ・・・いいだろう。」


王様はそう返事をした後、手を叩いて人払いをした。残ったのは俺とジュラと俺の父さんジュラの父さんそして王様の五人である。人払いをしたということは言えないような真相があるのだろう。そしてダブル父さんはそのことを知っている。


「先に言っておくがこの話は他言無用で頼む」


「承知しています」


「私は聞いていてもいいのでしょうか?」


と聞いたのはジュラだ。確かにこの話を聞くのは俺の褒美の権利だからな。俺は構わないのだが。


「お主もいずれ真相を知るであろう立場にいるから構わん」


ジュラの立場だと知る可能性がある?


「今回の事件の真相を話すには大分遡らなければならない。」


遡るってどれくらいだろう。


「そう時は戦乱の時代。まだメイズは出来てもいなかった」


かなり遡ったな!?


「この国ができた理由は知っているな?」


「存じております」


確か人間同士で争うのを危惧した二つの国の王子様と王女様が結婚してできたんだよな。凄い省略したけどそんな感じだった気がする。


「メイズが出来ることになった魔族の襲来だが・・・実はあれは人為的なものじゃ。そして今回の魔族襲来も」


ん?魔族の襲来が人為的なもの?当たり前なことじゃないのか?魔族は自然発生して人間を襲うんじゃないんだから。


「メイズ一世の両親は争いを続ける両国を憂慮していた。しかし王子と王女と言ってもその時は大した権力は持っていなかった。そこで二人はある策を考え付く」


予想がつくようである。


「もう薄々感づいているだろうがその策というのは魔族を頼ることじゃった。」


魔族を頼るね。


「詳しくは分かってはおらんが二人は秘密裏に魔族の王、魔王と会談することに成功したそうだ。しかし会談が出来たからといって魔王が二人の策に乗る可能性は極めて低かった。なんせ魔族側には殆ど利益はないしの。」


確かに。


「しかし王子たちには他に策も考え付かなかった。説得等は散々やったしの。とうとう魔王との会談の時がきた。そしてその結果・・・」


王様はそこで溜めると、


「あっさり成功した。」


「あっさり、ですか?」


思わず聞いてしまった。


「うむ。なにやらその時の魔王は非常に変わり者だったようでな。王子も気になって理由を尋ねたそうだ」


「それでその理由というのは?」


「文献でしか残ってはいないしその文献も所々読めないのだがその質問に対して魔王は『そのおもい』と答えたそうだ。」


「そのおもい?それだけですか?」


「他にも書いてあるのだが読めなくての。なにぶん古い文献だしのう」


気になるな。そのおもいか。普通に考えたらその思いなんだろうけど。


「王子たちの頼みを受け入れた魔王はその後は全て腹心の部下に任せて出てこなかったそうだ。」


「そうですか」


「そしてとうとうあの戦争が起きた。」


あの事件というのは第三次人魔対戦のことだろう。


「作戦は慎重に行われたそうだ。そしてこの作戦で二番目に重要なもの・・・そう魔族を追い返す戦士たちじゃ。」


エウロス家とエリオ家のことか。


「じゃが残念ながらこの二つの戦士たちがどの集団に所属していたのか等の情報はわかっておらん。」


「そうなのですか」


「うむ。まあ今のエウロス家とエリオ家のお陰で国は一つになりメイズが出来て今にいたるまで平和が保たれてきた。ここまではよいな?」


「はい」


「しかし随分と前から少しずつ一部の貴族達が不満を示し始めた。徐々に貴族たちは腐敗していったのだ。状況はかなり緊迫していた。」


歴史は繰り返すというやつだろうか?


「このままでは昔の二の舞になると思ったわしはこの国にメスを入れることにした。」


「ということは」


「うむ。魔王に協力してくれるように頼んだ。」


「それで魔王はなんと?」


「今回は魔王ではなくその腹心の部下が会談に出てきた。そして結果了承してくれた」


「それは何故ですか?」


「どうやら魔族側にとっても好都合なようだったが詳しくわからない。」


魔族側にとっても好都合?なにか問題でもあったのだろうか?


「この作戦をこの時期にしたのにもちゃんと理由があっての」


「はい」


「今の時期には武大があるだろう。そしてその武大に出るために多くの強者が集まる。」


ここまで聞いて大体分かった。


「その場に強者がいればそれだけ民に被害が少なくなるだろうと思ってな。」


実際にその通りになっていた。


「では今回の事件の発端となった不満を漏らす貴族というのは」


「うむ。今回犯人として処刑された貴族たちがそうじゃ」


これは自業自得というのだろうか?


「今回の事件の真相はこんなところじゃ。何か質問はあるか?」


「いえありません」


思ったより長い話だった。


「ではエウロス家の者はどんな褒美はよい?」


そういえばジュラの方はまだ残っていたんだっけ。


「では私は・・・」


ジュラが言った褒美に俺たち全員が驚いた。




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