第33話 決勝戦 リレス対ダスタ
いよいよ学大一年の部終幕
「とりあえず飯食いに行こう飯」
「そうですね」
リレスと途中から合流したジュラとイルそして何故かいるセナの五人で昼食を食べに行くことにした。セナがいなければハーレム完成だというのに。
適当な店に入り料理を注文する。
「準決勝残念でしたねセナさん。」
「ありがとう。自分では頑張って鍛えたつもりなんだけどな」
「どうせならエドさんに鍛えてもらったらどうですか?」
「エドに?」
「ええ。もう知っていると思いますがイルさんとリレスさんはエドさんが鍛えたんですよ」
「そういえばそうだったね。」
セナはそう言ったあと俺の方を伺うように見てきて、
「エド僕を鍛えてくれる?」
「暇になって気が向いたらな」
女子ならともかく男子を手取り足取り鍛えてやるほど俺は暇じゃないのだ。
「じゃあお願いね」
昼食は特に問題なく食べ終わった。
「じゃあリレス決勝戦頑張れ」
「ん。勝って来る」
「おう」
珍しく確固たる口調なリレスは俺たちと別れて控え室にいった。
「この試合どちらが勝つと思いますか?」
「どっちかは分からないけどリレスがどうやってダスタの装備を攻略するかが鍵かな。」
「僕は結局攻略できなかったな」
「お前は目の付け所は悪くなかったんけどな。もっと筋肉つけろよ。こんな細い腕して」
「これでも鍛えてるんだけど」
セナはそう言って力こぶをつくる。
「始め!!!」
俺は選手を応援しているのか審判を応援しているのか分からなくなっていた。
試合開始直後ダスタがリレスに向かって走り出す。直ぐに終わらせるつもりなのだろう。
対するリレスは鞭は使わずに魔法で対抗。ダスタの周りに今まで何回も使った水の塊を出す魔法が発動する。そしてそのままダスタにぶつける。
ダスタは吹っ飛ばされないように走るのをやめてその場で踏ん張る。そして水の塊がダスタの鎧にぶつかる。
水の塊はダスタの体勢を崩すことは出来なかったがもし踏ん張っていなかったら吹っ飛んでいたであろう威力があった。ダスタの鎧にぶつかった水は弾けた後にまた集まってもとの大きさに戻る。
水の魔法をしのいだダスタはまた走りだそうたした瞬間、またその場で踏ん張る。
直後今度は火の塊が水の魔法がぶつかったのとまったく同じところに当たる。
しかし領域で気付きしっかりと踏ん張っていたダスタにはダメージゼロ。火の熱も内部には伝わってないだろう。
そしてまたダスタが動こうとした瞬間今度は正面から水の塊が襲ってくる。
ダスタは今度は受けるのではなく避けることは選択し左に避ける。
しかし水の塊はまるでダスタの動きを予測していたかのようにダスタに追随する。そしてダスタの鎧の胸部分に直撃。
避けることを選択していたためダスタにこの攻撃は直撃。吹っ飛ばされる。そのまま場外にいくかと思われたが途中で剣を地面に刺して勢いを殺す。しかしリレスからは大分離れ試合開始時と同じ距離になる。
ダスタが立ち上がり距離をつめようとする。するとまたしても火の魔法が水の塊が当たったのと同じ場所にぶつかる。それを踏ん張って防ぐダスタ。
「リレスは一体なにをしたいの?」
俺は気安く呼び捨てすんな!!と思いながらも解説していく。
「極低温と極高温これ短時間で金属で当てるとどうなる?」
「・・・!そうか」
「そう。リレスは水の魔法と火の魔法を短時間でまったく同じ位置にあてることで鎧を破壊しようとしている」
俺の解説にセナはなるほどと頷く。そしてイルは頭の上に?マークを浮かべている。残念な猫、略して残猫め。
「あれ?でもあれだけ距離が離れているのになんで同じ位置に魔法を当てられるの?」
ふむ良い質問だ、ワトソン君。
「見えるかどうか分からないが今あのリングはリレスの魔力で覆っている」
「魔力?って見えるっけ」
「訓練すればな。才能もいるが。」
俺の場合は空間把握の派生、魔力把握だが。
「で今魔力で覆われているわけよ。言うならば魔領域。そしてその魔力をなんていうか触覚の延長としてんだよ。まあこっち系の話はジュラのほうが詳しいだろう」
そう言ってジュラを見る。
「まあ物凄い簡単に言うと領域あるじゃないですか。あれの範囲を大きくして魔力でやっているんです。」
「へえ」
「ニャ?」
駄目だイルが残猫過ぎる。
「この技術は魔力を使える奴なら訓練すれば誰でも出来る。そのかわりとして常に魔力を放出してなきゃいけないからな。物凄い量の魔力を消費する。おまけに今リレスはダスタの動きを正確に知るためと同じ位置に魔法をぶつけるため物凄い精度で魔領域を使っている。そのためかなりの魔力を常時消費している。つまり・・・」
俺はそこでセナを見る
「短期決戦ということですか」
「正解」
俺が解説している間にも試合は進んでいく。
もう何回も同じ場所に交互に魔法を当てている。いつリレスの魔力が尽きてもおかしくないだろう。
ダスタはリレスの作戦に気付いているだろう。しかし近づこうとすると即座に魔法が飛んできてもしそれに防御せずに当たれば場外に落ちる可能性がある。そのためリレスの魔力が尽きるのを待っているようだ。
もしリレスの魔力が尽きる前にダスタの鎧が破壊できたらリレスの勝ち。
先にリレスの魔力が尽きたらリレスの負け。
そしてもう何発目になるかの魔法をリレスが放とうとした瞬間!!
水の魔法とリングを覆っていた魔力が消えた。魔力の使い過ぎで気絶したのだろう。残念だがこれで試合は終了。意識を失ったリレスが倒れていく。
だがここでダスタが信じられない行動に出た。
なんと気絶して倒れるリレスに向かって走り・・・・剣を振り上げ切りかかろうとした。
「んな!?」
俺はおもわず縮地を使い一瞬でリレスの近くに跳ぶ。そして倒れるリレスの体を背負うとその場から移動。ダスタの攻撃をかわす。
「何故勝負の邪魔をした。」
攻撃を空振りさせられたダスタが聞いてくる。
「リレスはもう戦闘不能です。むしろ何故追撃したのですか?」
相手のほうが爵位は上なので一応敬語を使う。
「ふむ。倒れたのも魔法を解いたのも俺の油断を誘うための作戦だと思ったのでな。」
嘘だとわかる。その証拠に今ダスタからは兜越しにも関わらず笑いの感情が伝わってきた。しかし証拠がない。俺がリレスが気絶したと断定できたのは空間把握のお陰だ。
「・・・・わかりました。とにかくリレスはもう試合続行は不可能です。」
俺はそう言って審判を見る。審判は頷くと、
「勝者ダスタ!!」
と叫ぶ。
俺はリレスを背負って医務室につれていく。
感想待ってます。短編もよろしくお願いします




