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第28話 裏切り

「次がダスタの試合か?」


「そうですよ。」


今は学大の会場にいる。学大二日目の後半戦である。前半戦から見ていたのだがイルとリレスが勝てなさそうな相手はいなかった。戦えば苦労はするだろうが。


「お前らダスタと戦うときは注意しろよ。あいつの装備と実力は脅威だからな。」


「わかった。」


「わかってるのニャ」


まあ先ずはそこまで勝ち上がらないといけないのだが。




俺はふと疑問に思いジュラに聞く。


「そういえば昨日の予定どうなったんだ?」


「あれですか?相手が時間に遅れて大変でしたよ。」


「いやそういうことじゃなくて。どんな予定だったんだ。」


「いえ少し気になることがありまして、優秀な情報屋に聞きにいきまして。」


そこでジュラは少し悩むような素振りを見せたあと、


「後で伝えておきたいことがありますから少し付き合ってください。」


「別にいいが。ここじゃ駄目なのか?」


「誰かに聞かれるかもしれませんから」


「わかった。」


告白だろうか?まあないだろうけど。十中八九気になることについてだろう。



「始め!!」


いつの間にかダスタの試合が始まっていたので慌てて見る。


ダスタの装備は高そうな全身鎧に同じく高そうな剣。これだけ見たらダスタと戦うときは全身鎧で動きが鈍い奴を速さで翻弄しつつどうにかしてダメージを与えるのが重要になりそうなんだが。対する相手はエルフの剣士だ。こちらは特に特徴はないが果たしてどうなるか。



試合が始まって直ぐに会場が驚きで包まれる。


「速い」


「なんであの格好で速く動けるのニャ?」


試合開始早々ダスタは観客の予想を裏切って相手に突っ込んでいった。それもかなりの速さで。


「たぶんあの鎧には軽量化の魔法が掛かってるんだと思う。全身鎧だと実際の重さは相当だろうからかなりレベルが高い魔法師が掛けたんだろう。」


軽量化の魔法というのは読んで字の如く対象を軽くする魔法だ。主に鎧に対して掛けられる。何故武器には掛けないのか?理由は簡単である。軽い武器は扱いやすいが相手に与えるダメージも少なくなるからだ。この世界では剣と刀では剣の方が圧倒的に主流である。そして刀が斬るだとしたら剣は切るのである。補足するなら剣は叩き切るのである。切れ味はあまり重要ではない。そして剣の切り方において重量というのは相手にダメージを負わせる上では重いほうがいいのだ。勿論頭に自分に合っているという言葉がつくが。他の斧や槌に関しては言うまでもない。槍は別だが。


本題に戻ろう。軽量化の魔法は技量が高い魔法師ほど減らせる重さが増える。また軽量化自体が難しいこともあり実際に役立つ程のを掛けて貰おうと思ったらかなりの金が必要になる。よって戦争で使われる以外は貴族が個人で掛けてもらうぐらいである。もし安く掛けることが出来たらきっと全身鎧だらけだろう。


というアホな心配事も交えつつイルとリレスに説明する。


「だからまああいつと戦うときは攻撃を当てることとかわすことと有効攻撃を入れることを考えなきゃいけないんだよ」


「それは誰と戦っても同じだと思うのですが。」


ジュラが折角の俺の解説に水を差す。


「要するにあいつは隙がないんだよ。」



俺の解説中も試合は続く。


ダスタと対戦相手が現在は鍔迫り合いになっている。しかし徐々にダスタが押している。このままでは相手は斬られてしまうだろう。


どうするのかと思っていると相手は剣を横にずらすと同時にダスタの横に移動した。顔まで覆っている鎧では横は死角だと予想しての行動だろう。


しかしここでまたしても予想を裏切るダスタ。ダスタは相手が移動した場所を正確に切りつけた。相手は咄嗟にかわそうとしたが失敗し直撃ではないが一撃もらってしまう。


「今なんで相手の居場所が分かったの?」


俺はフォースの力じゃ、とヨーダのように言おうかと思ったが伝わらないと思い真面目に答える。


「あれはたぶん領域の効果だな」


「領域?」


「ああ。領域ってのは自分の二メートル周りの状況が良く分かるようになるスキルだ。持ってると便利だぞ。」


「エドは持っているの?」


「いんや。だけど領域と上位互換できる空間把握を持ってる。こっちは百メートル以内だ。自分で調整もできる」


因みに空間把握と領域両方ともアクティブスキルだ。アクティブスキルとは発動しようと思わないと発動しないスキルのことだ。


「百メートル以内なら分かるの?」


「おう。まるで目の前で見てるかのようにな。」


「壁とかは?」


「全然関係ない」


調子に乗って話していたせいで段々リレスの声が低くなっていくのに気付かなかった。


数分後俺はリレスに緊急時以外には空間把握は使わないように言われた。覗き防止らしい。もっと早く覗けることに気付いていればよかった。


試合もいよいよ大詰めである。さっき一撃もらった相手が動きが鈍りダスタの攻撃を凌げなくなってきたのだ。そしてとうとうダスタの攻撃を避けようとして転んでしまった。


転んだ相手に向かって剣を振り上げるダスタ。このままでは相手は大怪我を負うだろう。


「降参する!!」


相手がダスタが剣を振り下ろす前に叫ぶ。彼も大怪我をしたいわけではないだろう。誰もがこれで試合は終了だと思った。


しかしダスタは三度予想を裏切る。


ダスタの剣が相手の降参の声をあざ笑うかの様に振り下ろされる。ダスタはこのまま相手を切りつけるつもりなのだろう。そしてダスタの剣が相手に当たる瞬間、


ガンッ!!


ダスタの剣が宙をまってる。


「ダスタ君何故相手が降参したにも関わらず攻撃をやめなかったんですか?」


剣をはじいたのは審判の先生だった。どうやら蹴って飛ばしたようだ。


「興奮していて降参の声が聞こえませんでした。」


ダスタは最初から考えていたかのように理由を説明した。嘘だと大勢の人が思っただろうが証明するものがない。


教師も同じ結論に達したのか、


「そうですか。では次回から気をつけてください。それと学園の成績は減点ですからね」


「はい。」


こうしてダスタの試合は終わった。




その日全部の試合が終わった後。俺はジュラから驚きの話を聞く。勿論情報屋から聞いた話である。



「一応落ち着いて聞いてくださいと言っておきます」


「なんだよ」


「いいですか。いまこの国の中に・・・・」


そこで溜めると


「魔族がいるかもしれません」


「・・・・確かか」


「おそらく」


こう言っているがこいつが俺に伝えるくらいだからほぼ確実だろう。


「どれくらいだ?」


「正確な数はわかりません。」


「そもそもどうやって入ってきたんだ?国の兵士は何してるんだ」


「魔族だけで入ってくるのは難しいでしょう。強い権力を持つ協力者でもいない限りは」


「つまり誰か貴族が裏切ったと?」


「そういうことになりますね。」


「だとしてそいつにどんなメリットが?」


「わかりません。ただ気をつけていてください」


「ああ。わかった」


裏切りと疑問を作り出して学大二日目は幕を閉じた。


そろそろ熱い展開です。


感想まってます

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