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クリスマス特別話

時間や日付などの細かいところには目を瞑ってください。それと主人公に対する好感度は本編よりも非常に高いです。因みにこの話が本編に食いこんでくることはありません。

ハア、ハア、ハア


「後五分、間に合えよ」


必死に走りなんとか待ち合わせの時間までに待ち合わせ場所に着く。


「悪い待ったか?」


「今来たところですよ。」


どうやらジュラに先に来られていてしまったらしい。待ち合わせ場所に女子より遅く行くとは我ながら情けない。しかし言い訳させてもらえば俺が遅れたのは直前まで他の女子とデートしていたからだ。


・・・今どこからか『この二股野郎!!』という罵倒が聞こえた気がするから言うが決して俺はしたくて二股のようなことをしているわけではない。では何故こんな真似をしているかというと何日か前の俺の不用意な発言のせいだ。



「今日って何日だっけ。」


「「「12月10日」ニャ」だよ」


返事がすぐさま三つも返ってきて少々びびる。因みに今返事をしたのはリレス、イル、ジュラである。


今は学園の食堂で昼食の最中。時系列を追って話すと授業を受けずに自室でゴロゴロしていた俺が食堂に昼食を食べに行くと言うとそれにジュラがくっ付いてきた。そして食堂で席を探していると二人で昼食を食べているイルとリレスに会いそのまま四人で昼食を食べることになり現在に至る。


「もうすぐクリスマスか。」


「クリスマスって何ニャ?」


小声で言ったつもりだったが獣人の耳は誤魔化せなかったようだ。


さてどうやって誤魔化すか。この世界にはクリスマスなんてない。


「昔本で読んだんだけどどこか遠くの国では12月の24、25ではクリスマスっていうイベントが行われているらしい。」


「クリスマスですか。初めて聞きました。一体どの国のどういった行事なのですか?」


「国は忘れたけど行事の内容は家族や恋人とかと過ごすらしいよ。」


「「「恋人!?」」」


「ああ。まあ別に恋人じゃなくても好きな相手を誘ったりするんだって。」


「「「それで!?」」」

三人の勢いに少々引きながら続ける。


「大体夕方から夜まで二人でデートをして、夕食をとる。んでここからはカップルによって違うんだが家まで送っていったり二人でその夜は過ごしたり。」


「一緒に過ごす?」


「会う時間はもっと早くてもいいんですか?」


「ご飯はどっちもちなのニャ?」


「待て待て!順番に答えていくから。」


「一緒に過ごすていうのは宿屋とかで同じ部屋をとって一緒に寝たりするらしい。これ以上は俺の口からは言えん。」


「会う時間は相手が了承したら何時からでもいいと思うぞ。」


「ご飯は普通男もちだな。でも夕飯は彼女が作ることもあるな。」


俺の答えを聞き終わると三者三様に考え出す。そして・・・


「ちょっと用事を思い出しましたから私はここで失礼させていただきます。」


「部屋におやつを置き忘れていたのニャ」


「学園の課題をやらないといけないから」


三人はそれぞれそう言ってさっさとお皿をおろしてどこかに行ってしまった。


そして俺はその後一人で昼食を食べることになってしまった。


~数日後~


「エドさん今度ちょっと付き合ってくれませんか?」


「付き合うっていつどこにだ?」


「日時はまだ決めてませんがすこし王都で行きたいところがあって。女の私一人だと少し敷居が高い場所なので。」


「そういう事情なら別にいいけど女に敷居が高い場所って一体どこだ?」


「それはお楽しみです。」


~数時間後~


「エド頼みがあるニャ」


「なんだよ。」


「今度で王都で大食い対決がやるのニャ。私はそれに出るんだけどついてきて欲しいニャ」


「そりゃまたなんで?」


「対決が終わった後一人で帰れるか心配なのニャ」


「どんだけ食べるつもりなんだよ」


「そういうわけでお願いなのニャ!!」


「まあ、別にいいけど。日時は前日までには教えろよ。」


「恩にきるのニャ」


~さらに数時間後~


「エド今度少し付き合ってほしい。」


「なんだ藪から棒に」


「今度王都に珍しい本を売りに行商人が来る。本を見に行くのを手伝って欲しい。」


「一人じゃ行けないのか?」


「一人じゃ少し怖い」


「ならいいけど・・・」


「なに?」


「いや、思ったより可愛い理由だったもんで。」


「・・・うるさい。日時は前日に教える。」


「わかった」


そうして21、22、23日になり、


「エドさん。こないだの約束明日のお昼からお願いします。」


「エド。こないだの話明日の9時から頼むのニャ」


「エド。行商人が来るのが遅れるらしいから3時からお願い。」


という会話がなされた。もちろん会話したのは別々だが。おまけに俺はアホなことにこれを全てOKしてしまった。そうして迎えた次の日。俺はどうにかして三人に他の人ともデートしているとばれないようにしつつ全てのデートを成功させるというランクSの任務をやることになった。(発注者俺)


朝9:00


一番最初はイルである。待ち合わせ場所に15分前につくと既にイルが待っていた。


「お前来るの早すぎじゃないか?」


「そういうエドこそ早いじゃニャいか。」


「男はいいんだよ。男は。それで大食い対決は何時からなんだ?」


「12時には始まっているのニャ」


12時か。それならなんとかジュラのに間に合うな。


「12時までなにするか」


「もうそろそろ年越しだから今は年越し祭りの最中なのニャ。時間潰しには困らないのニャ。」


確かに今は年越し祭りの最中だから困らなさそうだが。


「ほら、早く行くのニャ」


イルに手を引っ張られながら祭りの中に入っていく。そして十分後、


そこには両手に屋台の食べ物を抱えたイルがいた。


「そんなに持って落とすなよ。」


「そんな勿体無いことしないのニャ。あ、でもこのままだと食べられないのニャ」


「泣きそうな声を出すな。どれを食べたいんだ?」


「これニャ」


そう言ってイルが指したのは棒に刺さったフランクフルトのようなものだった。それを持ってやりイルの口まで持っていく。


「ほーれ、ほーれ」


ふざけてフランクフルトもどきを左右に振るとそれにあわせてイルの顔も動く。そしてとうとうその可憐な口に長く太いフランクフルトもどきが入っていく。


「ん、ん」


まだ少し熱いのだろうそれを必死で食べるイルの姿はそうなんていうか一言で表すと・・・エロかった。


そんな俺しかわからないプレイを続けていると横から声がかけられた。


「ヘイ!!そこの熱々の二人!!俺の屋台のアクセサリー買ってかないか?」


屋台の男に声をかけられその男の屋台を覗いてみると確かにアクセサリーが売っていた。


「色々あるんだな」


「そりゃあもう商売ですから。」


イルと一緒に覗き込んでいるとイルがある一つのアクセサリーをずっと見ていた。イルがずっと見ているのは所謂勾玉のようなものだ。色は淡いブルー。どうやらこれが欲しいらしい。


「これをくれ。」

勾玉を取って屋台の男にそういう。もちろん買ったのはイルにあげるためである。


「ほい。」


買った勾玉をイルにやる。


「ニャ!?」


「これが欲しかったんだろ?それとも違ったか?」


少々心配になりながら聞く。


「い、いや。ありがとうニャ。大切にするのニャ。」


そういい笑顔で勾玉を受け取るイル。


そのまま時間になるまで祭りを見てまわる。


11:00


「そろそろ会場に行ったほうがいいのニャ」


「わかったけどお前あれだけ食って大食い対決大丈夫か?」


「ニャ?言ってなかったかニャ?私は料理を作るほうニャ。」


「じゃあ、帰れるか心配だってのは?」


「料理は以外なほど体力を使うのニャ。」


そういうことか。しかしここでイルに突っ込んでいる時間はない。


「悪い、イル。俺すこし野暮用があってここからはお前一人で行ってくれるか?終わるころには迎えにいくから。」


そう言って返事も聞かずに駆け出す。速くしなければジュラとの約束の時間が来てします。そしてーー


「では行きますか。」


「だから一体どこに行くんだよ。」


ようやく冒頭のシーンに戻る。


その後俺とジュラが向かったのは・・・


「おいここは・・・」


「はい。今日はカップルが多いのでこの近くにある行きつけの服屋に一緒に行ってもらおうと思って。」


「はあ。服くらい今度買えよな。」


「ほらぶつぶつ言ってないで周りを見てください」


周りを見ろといわれてもカップルしかいないんだが。


「私たちだけ腕を組んでなかったらおかしいでしょ?だから腕を組みましょう。」


そう言われて有無を言わさない強さで腕を組まされる。


う、腕に当たるこの柔らかい感触は!?


俺がオーバーヒートしているといつの間にかジュラに服屋連れて行かれてしまっていた。


そうしてジュラの服を見ること数時間。


「お前いつもこんなに長い時間服を選ぶのか?」


待っているのがつらいのもあるんだがジュラが試着する度に感想を言わされるのが大変である。下手なことや同じことは言えないので大変頭を使う。


「そんなことないですよ。普段はもっと短いです。なんだか楽しくて」


「じゃあ、なんで今回に限って。」


「周りの状況とかによってもその人の感じたは違うものです。」


周りの状況か。そろそろイルとの待ち合わせ時間だからなんとかしてここを抜け出さなきゃいけないんだが。


そうなことを思いつつ周りを見ると日本の着物のようなものを見つけた。その瞬間天啓のようなものが走る。


(これだ!!)


「あの、あれって試着できますか?」


「出来ますけどあの服は時間がかなりかかりますよ。」


好都合だ!!


「なあジュラあの服試着させてもらったらどうだ?きっとお前に似合うと思うぞ。」


「そうですか?まあエドさんがそういうなら。」


「おうしてもらえ、してもらえ。化粧とかもしてもらって徹底的に綺麗になってこい。」


「綺麗にだなんて。すいませんあの服試着してもいいですか?」


ジュラが試着室に消えると近くにいた店員さんを捕まえて、


「俺は彼女にプレゼンドを買ってくるからもし彼女がでてきたら適当に誤魔化していてください。」


そう言って急いでリレスの元に向かう。



集合時間には間に合ったがまたしても女子に先を越されてしまっていた。


「悪いなリレス。」


「大丈夫。早く行こう。」


そう言って一人で歩きだす。


だが少しすると・・・


「リレスそんなに怖いのか?」


俺の手を握って歩くリレスがいた。


「怖い」


・・・まさかリレスにこんな一面があったなんて以外だ。


目的の本を売っている珍しい行商人はすぐに見つかった。


「いろんな本があるな。」


「うん。なにかおもしろいのがあるかも。」


つくと早速本を探し始める。


「リレス俺も少し探しものがあるから少し離れるけど、心配するな。」


リレスがうなずいたのを確認すると大急ぎで目的を果たす。まずはジュラとリレスにプレゼンドを買い、そのあと夕食を取る場所を予約しておく。三人分。離れているから大変なので一緒のこと近くにしようと思ったのだ。勿論席は離してもらって。



用事をすませるとすぐにリレスのもとに戻る。


「戻ったぞリレス。欲しい本は見つかったか?」


「見つかったけど取れない」


リレスがとろうとしている本は棚の上のほうにあったので代わりにとってやる。そしてそのままお店の人のところまで持って行き会計をすませる。


「はいこれプレゼンド」


「・・・ありがとう」

リレスが複雑そうな顔をして受け取る。

「リレス今のは日ごろのお礼で今日のはこっち」


そういってリレスに渡したのは涙の形をした宝石。色はリレスの髪と同じ黄緑。


それを受け取ったリレスは今度は純度100%の笑顔で、

「ありがとう」

と言った。


「このあと料理屋をとっているんだけど」


「り、料理屋!?じゃあ二人で夕食を・・・」


「うん。いいかな」


「う、うん。平気大丈夫問題ない」


どんだけ大丈夫なんだよ。


リレスを素早く問題の料理屋に連れて行き、


「ちょっと俺は用事があるから遅れるけど先に席で待っててくれ。」


「うん。わかった」


用事というのは勿論イルとリレスを連れてくることだ。



急いでイルの元に向かう。


「遅くなって悪い。」


「今終わったところだから平気にニャ」


「イルこの後料理屋を取ってあるんだけど大丈夫か?」


「り、料理屋かニャ!?」


「ああ。」


「全然平気ニャ!!!」


「そ、そうか。じゃあついて来てくれ。」


急いでいるのでイルの手を握って走っていく。


そしてリレスに言ったのと同じようなことを言い最後にジュラの元に。


「ジュラどうだ」


「今着つけ終わったところですよ。どうですか?」


俺にそう聞いたジュラはくるりその場で回ってみせる。


「・・・・綺麗だ」


ジュラは物凄く綺麗だった。思わず見とれてしまい、素直な心の内がでる。人間観察が趣味なジュラにはそれが分かったからだろう。顔を真っ赤にして恥らっている姿もまた可愛い。


「これジュラプレゼンド。」


そう言って渡したのは太陰極図の黒い部分のようなものだ。色は当然黒。


「あとでつけてみてくれ」


そういい渡す。しかしジュラがずっと黙っているので心配になり聞く。


「なんか悪かったか?」


「い、いえとてもうれしくて。言葉が出ませんでした。」


と俺はその言葉に裏表がないことが何故かわかった。


「この後料理屋をとっているんだが」


「料理屋ですか?」


「ああ。大丈夫?」


「・・・はい。大丈夫です」


ジュラは何故か覚悟を決めた目をしていた。




ジュラも同じように料理屋に入れる。そして少し間を開けてから入った俺がみたものは・・・・


イルとリレスとジュラの三人が言い争っている姿だった。


俺が店に入ったのに気づくと三人は途端に詰め寄ってくる。


「エド一体どういうことニャ!!」


「エド他の人ともデートしてたの?」


「大体予想できますけど事情を聞かせて下さい。」


上から、怒ったように、悲しそうに、信じたくなそうに聞いてくる。


どうやら店側の不手際で席が隣になってしまったらしくそれで気づいたらしい。必死に言い訳を考える俺に今日何度目かの天啓がおりる。


「じ、実はクリスマスに誘われたら男は絶対に断っちゃいけないんだ。」


俺の発言を聞き三人の表情が驚愕一色に染まる。


「俺から一人誘う前にみんなに誘われちゃたから仕方なく。」


「「「それならエドは一体誰を誘うつもりだったの!?」」」


「それは勿論・・・・来年のお楽しみよ」









皆さんが思っていたハーレムとは違ったかもしれません。


感想待ってます。

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