第19話 鬼ごっこ
前回より短いです。日曜月曜は更新難しいと思います。
「くっそ!!なんで俺がこんな目にあわなきゃいけないんだよ!!」
「日ごろの行いなのニャ」
「黙れ暴食ネコ!!元はと言えばすべてお前が原因だろうが!!置いてくぞおら!!」
「ニャ!?それは勘弁ニャニョニャ」
俺たちは今死ぬ気で走っている。何故走っているかと言うと追われているからだ。モンスターに。それこそここら辺に棲んでいる全てのモンスターが追って来ているんじゃないかと思うほど。何故こうなったのか?話は今朝まで巻き戻る。
「さて今日はなんのクエストを受けようかな。」
俺の骨折が治り大分経った。あれから俺たちパーティーは精力的にクエストを消化して今ではEランクにまでなっている。
「これはなに?」
リレスが聞いてきたクエストを見る。
鬼マタタビ草の採取
鬼マタタビ草を取ってきてもらいたい。採集した鬼マタタビ草は直ぐに消臭箱に入れてくれ。くれぐれも放置したりするなよ。
「なんで直ぐに入れないといけないの?」
「ああ、鬼マタタビ草は森にはえている植物なんだが、これを抜くとある匂いがでるんだがこれがもうモンスターを呼ぶわ呼ぶわ。だから匂いが外に漏れなくてなおかつ匂いがくっつかない消臭箱に入れさせるんだ。」
「匂いがくっつく?」
「ああ。鬼マタタビ草を採集すると出る匂いはもの凄い移りやすいんだ。でその匂いが移らないように仕組みが施されているのが消臭箱ってわけ。」
「ふーん」
「因みに鬼マタタビ草は高級香水に使われる。だからだろうけど報酬も香水の完成品だってよ」
俺がそう言った瞬間リレスが反応した。
「受けるのこれにしよう。」
「俺は別に構わないが。イルはどうだ?」
「別にいいニョニャ」
なら決まりだ。俺たちは受付でクエストを受け取ると、一緒に消臭箱も受け取り町をでる。
「お、あったあった。」
森に入って一時間もしないうちにいくつも鬼マタタビ草は見つかった。
「結構あるもんだな」
俺はそう呟き回りを見回す。リレスは俺の隣でイルは少し離れて採集している。
「おい、イル。本当にとったら直ぐに箱に入れろよ。」
俺が声を掛けるとイルはビクッ!!と体を動かした。
「分かってるのニャ!!!」
俺はその行動に少々疑問を持ったもののそのまま採集を続ける。そしてそれから一時間後。場面は冒頭に戻る。
「だから言っただろうが!!絶対に直ぐ箱に入れろって!!!!」
「だっていい匂いがしたからちょっとだけと思ったのニャ。」
「それを繰り返してそれだけ匂い付けてたらちょっとの意味ないだろうが!!」
現在イルの服と体にはしっかりと鬼マタタビ草の匂いが付いてしまっている。因みにリレスは魔法タイプで速く長時間は動けないので俺がお姫様抱っこで走っているがリレスの体の柔らかさを堪能するほど余裕もない。
くっそなんで俺は今モンスター何かに追われているんだ。前世で追われるって言ったら精々テストの日数ぐらいだったのに。違うんだちゃんと計画は建てたんだ。だけど予定どうり進まないのが計画というかなんというか、
「エド!!エド!!聞いてるのかニャ!?」
はっ!しまった俺ともあろうが現実逃避をしてしまっていた。
「これからどうするのニャ!」
どうするというのはどうやって逃げ切るかという質問だろう。俺はもう一度後ろのモンスターを見る。
モンスターたちは一体何が憎いのか俺たちのことを親の仇のように追って来ている。ああ、何故彼らはああも憎しみで動いているのか。少し周りに目を向けて見れば色んな所に優しさは溢れているというのに。ああ、何故世界から戦争はなくならないのか。ああ何故、人類はこうも愚かなのか・・・
「エド!!さらりと二回も現実逃避しないで欲しいニョニャ!!」
なんと俺ともあろう者が二回も自然に現実逃避をしてまうとは。少々熱くなり過ぎたようだ。俺は頭を冷やすためにモード《銀狼》の水魔法で頭を冷やそうと・・・って
「これだー!!!」
突然叫び出した俺に驚いたのか隣でイルがびっくりしている。
「なんかいい案が思い浮かんだのかニャ?」
「ああ。ちょっとこっちこい。」
イルが走りながら俺に近づいてくる。十分イルが近づいて来たところでリレスをお姫様抱っこから片腕をお尻の下に入れてリレスには手を俺の首に回してもらう。そしてイルも同じようにする。突然抱っこしてきた俺に驚いたのか
「エっエドこんなところで何するのニャ。いくらエドがエッチでも今は駄目なのニャ。ここを切り抜けたらちょっとなら触っていいから今は逃げるのに集中して欲しいニョニャ」
「その台詞忘れるなよ。」
《変身魔法》モデル《竜》
モデル《竜》になった俺は二人を抱きかかえたまま翼を使い空に逃げる。今この瞬間程飛ぶ練習をしていて良かったと思ったことはない。
「なっなんニャ!?なんで空を飛んでいるのニャ!?」
「エド、貴方なにしたの?」
二人が聞いてくる。俺は質問には答えずにある程度高度を上げる。
空を飛んでいる俺たちにモンスターは近づけない。幸い飛行型モンスターはいないらしい。しかしこのまま町まで行ってもモンスターは匂いをたどってついてくるだろう。ではどうするかもちゃんと考えてある。
「行くぜ」
そして発動する。イルとリレスには影響が出ないように指向性を持たせてだけど最大での《竜威圧》を。
《竜威圧》を発動した途端今までまるで止まる様子もなかったモンスターたちが止まる。そして急速に逃げ出して行く。さすが《竜威圧》。もっと速くやっとくんだった。
モンスターがあらかた消えたあと地面に降りる。そして今からさっきのイルの言葉を実行するお楽しみタイムである。
分かる人にはわかるネタが一つあります。ちょうど逃げている部分に。
感想待ってます




