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第17話 幼馴染

土日と祝日以外は更新すると思います。

恥ずかしがっているリレスという珍しいものを見た後結局リレスは戻ってこなかった。そういえばイルも見舞いに来なかった。薄情な奴だ。


結局看病をしてくれる人もなしに入院して次の日直ぐに退院した俺は今寮の自室で、ある奴を待ち構えている。待っている奴を端的に言うなら変人で天才な幼馴染である。


俺がそいつを待ち始めてから少したつと奴はやってきた。部屋のドアを開けるとそいつは、


「どうもエドさん。大した怪我じゃなく直ぐに退院できてよかったですね。」


などと開口一番言いやがった。艶やかな黒い髪を背中の半ばまで伸ばしていて首のあたりで無造作に結んでいる美少女に俺は文句を言う。


「ジュラおめーなんであんな瞬間に入ってきやがった。絶対わざとだろ!!


「そんなわざとだなんて。そもそもどうやって私が病室の中の状況を知ることができると言うんですか?」


「お前ならそれができそうだから言ってんだよ。」


この目の前のいつもニコニコしたような顔をしている美少女が俺の幼馴染でありエウロス家の娘であり俺のルームメイトだ。


そしてここが重要なんだがアライアンスの寮は当然だが男女別である。そしてジュラは美少女つまり女だ。本来俺のルームメイトにはなるはずがないんだがこいつはある個人的な理由から無理やり俺と同室にしやがった。その理由を説明するには俺とこいつが初めてあった時の話をせねばならないだろう。


あれはいまから数年前の話。たしか俺が七歳くらいのときに父さんの用事に付き合ってエウロス家に行った時のことだ。例によって俺には関係ない話に飽きた俺は父さんたちに許可をとりエウロス家の訓練を見学する建前でその場を抜け出した。


退屈な場所から逃げ出した俺は当てもなくそこらへんをうろちょろしていたらいつのまにか森の中に入っていた。森といってもエウロス家の門の中にあるものなのでそれほどの大きさはない。


森の中ほどに入った俺は不思議な光景を見た。


この世界では珍しい黒髪の女の子が右手を振るうと空を飛んでいたはずの鳥が慣性を無視したかのように垂直に落ちた。彼女が左手を振るうと後ろ向きのまま自分の意思に逆らうかのようにウサギが飛んできた。明らかにおかしな状況だった。


不思議に思った俺は黒髪の彼女に聞いた。


「あなたは何をやっているんですか?」


俺が声をかけると彼女はとても驚いた顔をして振り向いた。後で知ったことだが彼女が素で表情を動かすのは非常に珍しいことらしい。


「・・・あなたは私に興味を持てるんですか?」


一瞬言葉の意味が分からなかった。


「これは失礼しました。実は私は認識阻害系のユニークスキルを持っているんですよ」


俺が言葉の意味を考えている一瞬で彼女はいつもの何を考えているか分からないニコニコ顔にもどった。


「認識阻害?俺は特に何も感じませんけど。」


認識阻害というのはその名のとおりその物がそこにあるとわからなくさせることだ。


「ええ。ですから先ほどの質問をしたのですが、どうやら貴方には私のユニークスキルは通じないようですね。」


彼女はそこまで言うと俺をじっと見た後に、


「挨拶が遅れました。私の名前はエウロス・ジュラです。」


「俺の名前はエリオ・エドです。」


「あなたがあのエドさんでしたか」


「あの?」


「はい。なんでも五歳にして自分の父親を倒したとか。」


「ただの偶然ですよ。ところであなたはさっきから何をしているのですか?」


少々話題が悪くなったので話をずらすことにする。


「これですか?狩りと鋼糸の練習中です。」


鋼糸というのは鋼を糸のように細くしてそれに魔力をとおして操る武器のことだ。言われて見れば確かに細い糸がウサギと鳥にはくくりつけられていた。


「少し狩りを見ていきますか?」


特にやることもなかったし美少女からのお誘いだったので俺はこれを受けることにした。そこで俺は驚愕した。


ジュラが張る鋼糸でできた罠にすべての動物が捕まっていくのだ。おまけに一緒に歩いているときに思ったのだが隙がまるでない。正確に言うと隙はあるのだがその隙すべてがまるで俺を誘いこんでいるように感じるのだ。


狩りをした後ジュラと他の兵との訓練を見せてもらったのだがそこでも俺は衝撃をうけた。ジュラの攻撃は早くない。早くないのに絶対よけられないタイミングで攻撃を繰り出してくるのだ。おそらく人の呼吸や心理を読むのが神ががり的にうまいのだろう。これが俺がジュラを天才だと知ったときの話だ。


では何故変人かというと、


「エドさんは私が唯一ユニークスキルを切らなくても会話ができる人ですからね。なるべく近くにいたかったので私自身のコネを使ってやってしまいました。」


ジュラの言うとおりジュラのユニークスキルは意識してオフにすることができる。だが意識しないとできないということでもある。しかし俺にはなぜかこいつのユニークスキルはきかないので俺はジュラが唯一本当の自然体で会話できる人物になるのだが・・・


「おまえが俺と同室にしたのは俺を観察するためだろうが。」


そうこいつが変人なのはこいつの趣味が人間観察だからである。ジュラからしたら自分のユニークスキルが効かないという人物は俺しかいないらしく俺は格好の観察対象というわけである。そんなことを知ってるからこの美少女からさっきのようなことを言われてもまるで嬉しくなれない。


「そんなことないですよ。では私はこれからお風呂に入ってきます。」


奴はそういって風呂場に向かった。まず間違いなく奴は今の俺の状態を観察しているだろう。同年代の美少女が風呂に入ると言って骨折している俺が一体どうのような行動をするのかを。


こういう部分が変人なんだ。そう思い俺はため息をついた。


回想は現在のエドが語り部です。

ついに新ヒロイン登場。本当にヒロインになるかは人気にかかっています。

感想待ってます

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