第15話 落下と下心
毎日投稿に戻るかもしれません。
「あった」
俺がヘブン・イン・スカートの中を覗いてしばらくするとリレスがそう声をあげた。
「やっと見つかったか!!」
リレスは俺から少し離れたところを探していたので少し声を張り上げる。 (俺が覗いたのがばれたわけではない)
「よっくやったニャ!!」
イルが偉そうに言う。
「じゃあ卵割らないように気をつけて持ってきてくれ」
ここまできて卵を割ったりしたら正直洒落にならない。それはリレスも同じ気持ちなんだろう頷くと慎重そうにこちらにこようとした正にその瞬間!!
今まで見えていたリレスの頭が急に消えた。
「え?」
その発言は俺が言ったのかそれともイルが言ったのか。少し何が起こったのかわからずに固まってしまった。
「まさか!?」
俺はようやく頭が動き出すとリレスがいた場所に駆け出した。
「くっそ!!やっぱりか」
リレスがいた場所は背後が崖になっていた。どうやらリレスは足を滑らせて転落したらしい。
「俺はリレスを助けてくる!!お前はそこから動くな!!」
イルにそう叫ぶと返事も聞かずに崖を飛び降りる。
崖の斜面の初めを足で蹴って勢いをつける。身体能力強化術に体術おまけに如意棒を足と崖の間にだして勢いよく押し出す。
俺は正に矢のような速さで落下した。
幸いなことにリレスにはすぐ追いついた。
「!?なんでっ」
俺を見るとリレスは驚いたようにそういった。その質問はどうやって自分に追いついたかの質問だったのか、それとも何故助けにきたかへの質問だったのか。
だが今の俺にその質問に答える余裕はない。
「口を閉じろ。舌を噛むな」
リレスを抱き締めるとそれだけ言い集中する。
如何な俺とてこの高さから落ちれば只ではすまない。まずは回収しといた如意棒を手に出す。それを勢いよく地面に向けて伸ばしてぶつける。この衝撃と地面についた棒を握ってできる限りスピードをおとす。そして・・・
ダッン!!!!!
土ぼこりとともに地面に落ちる。しかしこのままだとまずい。地面に落ちた衝撃がリレスにまで伝わってしまう。そうはさせじと俺は俺を伝ってリレスに行こうとする衝撃を俺のなかで押しとどめる。
当然俺にくる衝撃は倍になるが美少女のためならなんのその。
二人分の衝撃を受けた俺の体の内部から嫌な音が聞こえる。だがぎりぎりで声を出すのはこらえる。ここでリレスに心配させたら俺が衝撃を受けた意味がなくなってしまう。
地面に激突してからすこししてようやく俺たちは一息ついた。そしてようやくまだリレスを抱きしめたままなのに気づく。慌ててリレスを離そうと・・・するはずないだろうが!!
こんな千載一隅のチャンス、リレスが離してくれと明言するまで離してたまるか!!
俺が頭の中を桃色にしているとリレスが顔を上げて聞いてきた。
「どうしてあんな危険なことをして私を助けたの?」
1.お前が好きだからだよ
2.理由なんてどうでもいいだろ
3.仲間だからに決まってるだろ
4.お前が女だからだよ
5.助けた?何を言っている。俺は急に紐なしバンジージャンプをあの崖からやりたくなっただけだ。
一番を選ぶとそのままリレスルート一直線だな。二番はテレやになって今後イベントになったときにリレスから迫ってもらわないと少々不自然になる。三番は一番無難だな。これを言うとこの後イルルートも攻略できるかもしれない。四番はおそらくリレスがある程度機嫌を損ねてルート攻略に時間がかかるがそういうムードになったら一気にいけるだろう。五番はおかしい。そもそこバンジージャンプでわかるのか?
ってなんだよこの選択肢は。俺にフラク〇ナスの手伝いはいらねーよ。デレさせてどうすんだ。おまけに選択肢多いし。
「大切な仲間だからに決まってるだろ」
俺の答えを聞いたリレスは驚いたような顔をしたあと、顔を真っ赤にして俯いた。
その可愛すぎる行動に今すぐにリレスルートに乗り換えたくなる。けど我慢だ。ゲスイ考えだが俺はイルともイチャイチャしたいのだ。
しばらくそうしていると上から、
「おーい!!大丈夫かニャ!!」
というイルの声がした。
ようやくイルをおいてきたことを思い出した俺は慌てて返事をする。
「大丈夫!!二人とも無事だ。」
「リレスどこか上れるところがないか探してきてくれないか?」
俺がこんなことをいうのには理由がある。
俺に別の目的があるとも知らずにリレスは言われたとおり探しに行く。リレスがいなくなったのを確認すると俺はその場に倒れる。
「がはっ!!げほげほ」
勢いよく咳き込むと血がでてきた。当然だあれだけの衝撃だ立てたのは根性だと言っていい。このまま重態なのがばれたらリレスは非常に気に病むだろう。そうならないように処置をほどこす。
「変身魔法モデル《不死鳥》」
これが俺がリレスを離れさせた理由。できればこれはまだ伏せておきたい。
「《治癒炎》」
《不死鳥》の固有魔法の一つ《治癒炎》を使い体の傷を治していく。
治していると相当やばかったことがわかる。こういう無茶はこれだけにしておきたい。
左足と右腕の骨折だけ残して傷を完治させる。左足と右腕だけのこしたのはあそこから落ちて無傷はさすがにおかしいのとまあこちらが本当の理由なのだがリレスの入院介護イベントをするためである。入院しなくても利き腕は治さなかったのでご飯を食べるときには誰かに食べさせてもらわなくてはならない。まあリレスだろうけどね。
その後俺たちは無事に町にたどりつくことができた。おまけにイルに肩をかしてもらってだ。しょうしょう情けなかったがまあいいってことで。
余談だが。ビックボアの卵はいつのまにかイルが回収していた。今回ばかりはほめざるをえない。




