第9話 入学式
やっと学園編です。
今俺は馬車に乗ってる。何故か?簡単だ。俺の才能を妬む家族にドナドナされたのだ。酷いやつらだ。駆逐してやる。一人残らず、この世界から。
という冗談は置いておいて。今は王都にあるアライアンスに向かっている最中だ。入学試験は受けたがメチャクチャ簡単だった。まあその時に軽いハプニングがあったのだがそれはまたの機会で。
アライアンスの生徒は全員寮に入らなければいけない。これはアライアンスが出来た理由でもある種族を越えた絆のためである。ようするに普段から一緒にいれば嫌でも会話するだろうし会話すれば仲良くもなるだろうという割りと安直な考えによるものだ。
俺の実家から王都まで一時間。意外と近い。しかし俺は王都に数回しか行ったことがない。何故数回かというとギルドのランクを上げる試験はCランクから王都じゃないと受けられないためだ。
説明しておくとギルドのランクは下はG上はSである。GとFは初心者。Eでそこそこ、Dは一人前、Cは熟練者、Bは達人、Aは神の如き力、Sは神。
わかり難いかもしれないがB以上の冒険者は数が少なく国がその動向に注目する。Sになると場合によっては国王に意見出来るレベルだ。当然人数も少ないのだが正確な数は知らない。
何故今この話をしたかというとギルドのランクがアライアンスでは重要になってくるからだ。
そうこうしているうちに王都についた。
王都はかなり賑やかだ。色んなところで露店商がやっていてお祭りのようだ。まあ結構前の記憶なのだが。
関所でだいぶ待ち(俺と同じアライアンスの入学者のせいだ)ようやく王都に入る。
王都は俺の記憶よりもずっと賑やかだ。恐らくアライアンス入学者を狙っているのだろう。そのせいで馬車がちっとも進まない。
このままでは入学式に遅れると思った俺は御者に
「このままでは入学式に遅れる。俺は歩いて行くから先に帰っていいよ」
そう言うと返事も聞かずに馬車から飛び降りる。降りる時に
(あれ?これってフラグなんじゃ)
と思ったが気にしなかった。
馬車から降りて歩き始めるとやたら人が俺を見てくる。最初はなんで見てくるのか分からなかったがようやく理解する。
(そう言えば今の俺はイケメンだったけ)
そう今俺は神様に頼んで銀髪のイケメンだ。ただでさえ目立つ銀髪だ。それがこんなイケメンならなおさらだろう。因みに俺だけ家族と髪の色が違うのはみんな先祖帰りだろうと勝手に納得してくれている。
俺は前世イケメンになって皆に注目されたいと思ったが不特定多数に注目されるのは慣れてないと辛いものがある。なので俺はなるべく急いでアライアンスに向かった。
馬車を降りてから数十分ようやくアライアンスに到着する。フラグが立ったと思ったのに何も起こらなかった。入り口にかなりの数の人が並んでいたので最後尾につく。待つこと幾ばくかようやく俺の番が回ってきた。
「合格通知書をおみせ下さい」
言われた通りだすと守衛は
「えーとエリオ·エド様ですね。はい通っていいですよ。真っ直ぐ行った所にある講堂で入学式ですから」
手元の紙になにか書いた後そう言った。恐らく名簿にチェックをしているのだろう。
言われた通り真っ直ぐ行くと直ぐに講堂につく。中に入ると椅子が並んでいたので適当に座る。
適当にと言いつつ獣人族の可愛い女の子と一個空けて座った俺を誰が責められるだろうか。だって可愛い女の子とは知り合いになりたい。けれど隣に座るのには勇気がいる。妥協点がここなのだ。
俺が着席して少しすると入学式が始まった。最初は学園長からの挨拶である。垂れ幕の横からイケメンの若い男が出てくる。学園長にしては若すぎやしないか?そう思っているとイケメンの男は真ん中で止まると
「俺がこの学園アライアンスの学園長をやっているセインだ。宜しく頼む。」
と喋りだした。しかし俺は直ぐに違和感に気付く。空間把握におかしな反応があるのだ。俺は男の後ろを注視する。空間把握が正しければここに本物の学園長がいるはずだ。
俺がそう思って見ると男の後ろにいつの間にか老人が立っていた。いや恐らく最初からいたのだろう。それに気付いていなかっただけだ。
俺が老人に気付いて少しすると老人が魔法を解いた。突然現れたような老人に気付いていなかった生徒たちがどよめく。
「ワシが学園長のセインじゃ。セイン爺とでも呼んでくれ。ちなみにさっきの男はワシの若い頃じゃ。なかなかイケメンじゃろ?」
セイン学園長がそう言うとみんな笑い出した。しかし俺は別の所に気を取られていた。
(セイン学園長に隙がまるでない。)
こうして話している間も学園長には隙が一切ない。普通の人間が見たら隙だらけに見えるだろうが俺からすると誘っているとしか思えない。今の俺では十中八九敵わないだろうと思わせる雰囲気があった。
俺が学園長に気圧されているうちに学園長のスピーチは終わったようだ。学園の教師がそれぞれ名前を呼んで生徒を誘導している。俺も名前を呼ばれたのでその教師が引き連れる集団にくっついていく。
「今年はなかなか豊作ですね学園長」
「そうじゃな。まさかワシに気付く者がいるとはな」
「はい。数人ですが確かにいました。おまけにその内二人は...」
「エリオ家のエリオ·エドそしてエウロス家のエウロス·ジュラ」
「はい。おまけにエリオ家の子の方は夜叉の衣を継承したらしいですよ」
「なに?あの歳でか?今年は本当に豊作じゃな」
いくつか階段を上がったり廊下を曲がったりしてようやく教室につく。
「それでは各自適当に席について下さい」
俺は言われた通り適当に席につく。
「では時間もおしていることですし、学園のことをある程度説明したら直ぐにくじ引きをしてもらいます。まずこの学園は皆さん知っているでしょうが6年制です。授業などはどれをとるのもあなた方の自由です。どれも採らなくてもいいですよ。しかしその場合は進級条件は厳しくなります。もし六年間なんの授業も本当に採らないならばギルドでランクBになって下さい。そうすれば授業に出なくても卒業できます。まあ無理でしょうけどね」
先生が笑いながらいうとみんな笑った。だが俺は
(俺は授業に出なくてもいいのか。遊び放題だな)
と思っていた。いや勿論授業にはでますよ。ただ気持ちの問題と言いますか。
「さて皆さんは寮で生活して貰うわけですが寮は二人部屋です。なので同室の人と仲良くしてくださいね。あとの事は今配っている冊子を見てください」
本当に適当だな。まあ早くていいが。
「では最初に言ったとおり皆さんにはくじを引いてもらいます。引いた番号と同じ番号の人が自分以外に二人いるので、その人達で集まって下さい。その三人組がパーティーです。パーティーがどういった物かはパーティーが出来た後で説明しますので、皆さんこのくじを引いてください」
先生がそう言いながらくじが入った箱を持って回っていく。そして俺の番が来た。
(美人で可愛くて性格が良いパーティーメンバーになりますように!!)
俺はそう願いながらくじを引く。
全員が引き終わったところで先生が、
「そしたら皆さんパーティー毎に集まって下さい」
と言った。俺は直ぐに自分のパーティーメンバーを見つけ会いに行く。その場にいたのは....
いよいよ次回ヒロイン登場です。実はヒロインの一人はもう出てたりします。誰だか分かりますか?
今日がヒロインの性格を決める最後のチャンス!!みんなで希望を作者に送ろう!!
見事採用された人には作者より感謝の言葉が!!!




