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あれからもう三日。

結局、お姉ちゃん達は帰って来るでもなく。

連絡も無かった。


ひょっとしたらと期待してた分、失望も大きくて。

お母さんもあたしもどんどん元気が無くなる。

お母さんは肩を落としてボウッとしたり・・・妙に真剣な顔で思い詰めたり。

めっきり食欲も落ちてしまった。


あたしも全然食欲が無い。

だって・・・ご飯を見るとお姉ちゃんを連想しちゃう。

お姉ちゃんの手作りじゃない料理。侘しくて寂しくて味気なくて、とてもノドを通らない。


学校帰り、大地と二人でカフェに寄った。

淡い期待と共に玄関を開けて、無人の店内にガッカリする。

その繰り返し・・・。


向かい合ってイスに座り、つい、お互いの顔を見ながら溜め息をつく。


「やっぱり帰ってきてないね」

「帰ってないな」

「大地、どこか心当たり無い? 柿崎さんの思い出の場所とかさ」

「ないな。男兄弟って、あんまそういう話はしねえんだよ」

「そっか・・・」

「七海こそどうだよ? 仲良いんだろ?」

「お姉ちゃんの大切な場所? それこそカフェしか思い当たらないし」

「そうか・・・」

「それに、仮に思い当たってもアテにならないよ」

「なんでだよ?」

「札幌に向かうつもりで、四国の徳島に突き進むような人だもの。お姉ちゃんって」

「・・・そりゃまるっきりアテになんねえな」


さらに深~く溜め息ひとつ。

やっぱりどうしても考えてしまう。こんな事になったのって、あたしの責任だって。

そう思うのに何も出来ない。責任の取りようが無いんだ。

お願いお姉ちゃん、どうか帰ってきてよ・・・。


ちゃんとご飯食べてるかな?

熱出してないかな?

吐いたりしてないかな?

水分補給してるかな?


お姉ちゃんの飲めるイオン飲料水って、種類が決まってるんだ。

柿崎さん、それ知ってるかな? ちゃんと買ってこれるかな?


とめどなく心配事が湧き上がる。気持ちが沈んで悲しくなってしまった。

それを察した大地が、優しく頭をなでてくれた。あたしも弱々しく笑顔を返す。

ありがとう、大地。


でも・・・もう三日も音信不通だし。そろそろ限界かも・・・。


その時突然、思い切り良く玄関の扉が開いた。


お姉ちゃんっ!!?

振り返ったあたしの目に映ったのは、息を切らして駆け込んできた花梨ちゃんの姿だった。


「なんだ、花梨ちゃんか・・・」

「なんだ、お前か・・・」

「ちょっと! ふたり揃って失礼ね!」


はぁはぁと息を吐きながら、花梨ちゃんが怒鳴った。

「せっかく一海さんからの手紙を持ってきてやったのに!」


ガックリしてたあたしの心は、その言葉で一気に急上昇した!

手紙!? お姉ちゃんからの手紙!? どういうこと!?

大地も目を見開いて花梨ちゃんを見ている。


「家に帰ったら、あたし宛てに届いてたのよ。もう、あたしもビックリ」

「な、なんで花梨ちゃんに!?」

「そうだ! なんでオレじゃねえんだ!?」

「あんたに届くわけないでしょ。一海さん、さすがに自宅に書くのは気が引けたのよ。きっと」


もうお姉ちゃんったら水臭いんだから! そんな心配も気遣いも無用なのに!

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