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「正確に言うと、七海ちゃんのラスボスは大地でしょ?」
「え?」
「一海さんが好きな相手は兄の方なんだから。敵とは成り得ないもの」
「あぁ、そっか」
あたしのラスボスは大地だ。
大地の心。
かたくなにお姉ちゃんに向き続けている、大地の恋心だ。
それをなんとかしない事には、あたしの勝利は無いわけだ。
手元には何の武器も無いのに。
それどころか不利な条件ばっかりだ。
勝率は、冷静に判断してかなり低い。不戦敗になっちゃいそうな気がする。
あたしの初めての・・・恋なのに。
「本当にお先真っ暗だ」
「そう悲観しないでよ七海ちゃん」
「・・・ありがと。慰めてくれて」
「だからさ、お先真っ暗って事は、この先どう転ぶか分からないって事でもあるんだよ?」
「・・・・・」
「実感したでしょ? 人間、明日は何が起こるか分かんないだから」
ポンポンと花梨ちゃんがあたしの肩を叩いた。
花梨ちゃんが慰めてくれてる。
明らかにそれは、気休めでしかない言葉なんだけど。
でも、昨日まであたし達は絶交中だった。
それが今日、並んで座っておしゃべりしてる。味方だって言ってくれてる。
うん・・・。明日は何が起こるか分かんないね。
ドブに落っこちるかもしれないし、恋に落ちるかもしれない。
なら、不戦敗はまだちょっと早いのかもしれない。
恋の負け組と決め付けるのは、早すぎるのかもしれない。
勝ち組と負け組みの基準ってのも、正直、よく分かんないし。
だったら、せっかく見つけた恋だし・・・。
有精卵か無精卵か、決め付けないで様子を見てみたい。
もうちょっと、大切に温めたい。
「花梨ちゃん」
「なに?」
「色々ありがと。応援してくれる?」
あたしはヒザを抱えて、花梨ちゃんに微笑んだ。
恋の応援、かぁ。
な、なんか照れくさい。すっごく。
柿崎さんのへの想いは何度も花梨ちゃんにマシンガントークしてきたけど。
こんなくすぐったい感情で話した事は、一度も無かったなぁ。
えへへ。
「恋の相手があの男だってのは不本意だけど、あたしは七海ちゃんの味方だからね」
花梨ちゃんも笑顔でそう返してくれた。
あたしの親友の笑顔。
花梨ちゃんの応援はすっごく大きなアイテムだ。
気絶しちゃっても、花梨ちゃんの激があれば気合一発、立ち上がれそう。
うん! やっぱり不戦敗はまだ早い!
お先真っ暗だって、ポケットの中にはこんな頼れるアイテムを持ってるんだから。
しかもそれは決して無くならないんだもんね。
あたし達は顔を見合わせ、照れたようにクスクス笑う。
花梨ちゃんが側にいてくれて良かった。
花梨ちゃんと出会えて良かった。
へその緒よりも固い絆に心底感謝だ。
大好きだよ、花梨ちゃん。
花梨ちゃんの応援に恥じないように・・・
あたし、頑張ってみるからね・・・!!




