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運命はお先真っ暗(1)

次の日からもあたしは、今までと変わりなく過ごした。

カフェの手伝いも、お姉ちゃんとの関係も、いろんな事に気付いちゃって、いろんな事考えたけど・・・。


『いいんじゃね? 別にそれで』


大地の言葉に助けられて、普通に頑張れてる。

人と人との関わりとか、人間の心の中とか。

すごく複雑で、難しくて、とても単純には答えが見つからない。

だからとりあえず

『いいんじゃね?』

って思いながら、自分を認めて頑張ってる。


あたし達の四角関係も、それぞれの想いも、すごく複雑だから簡単に解決策が見つかるはずも無いし。

だから、まずは足を使って前にこぎ出してみないとね。

それが大事だよね。うん。


だから・・・

柿崎さんの隣で、顔を赤くして浮かれまくったり。お姉ちゃんと普通に会話したり。

大地とケンカしたり笑い合ったり。そんな毎日を過ごすあたし。


柿崎さんもお姉ちゃんも、あたしにとってますます大切な人になっていく。

そして・・・


大地も、あたしにとって大切な存在になった。


大地を見ると、心が軽く浮き立つように嬉しくなるんだ。

話してると、ほんとに楽しくて。時間を忘れてしまう。

ずいぶん助けられたもんなぁ。

それに大地って他の男の子達とは、なんか全然違うんだよね。

なにがどう違うって聞かれても、返答に困るんだけど。

それだけあたしにとって大切な友達になったんだろうなぁ。大地って存在がさ。

そう思うと、なんかますます嬉しくなる。


みんなでお店のテーブルに座って休憩してる時、突然大地が言い出した。


「七海、オレ考えたんだけどさ」

「なにを?」

「今年の学園祭、オレ達で店ださねぇ?」

「店?」

「カフェだよ」


コーヒーカップに口をつけつつ、得意そうな顔してる大地を見る。


「つまり、この店の出張だよ」

「店の出張?」

「『カフェ どりーむ一日出張』って看板出して、ここのメニューを出すんだ」

「あ・・・・・」

「チラシも配ってさ、店の宣伝するんだよ」

「それ・・・いいかも!」


あたしは手を打ってその意見に賛成した。

学校側に催し物申請書を提出して、それが通れば開店できる。

そうすれば・・・

学校の生徒たち、先生たち、父兄たち、みーんな一度に宣伝できちゃう!


柿崎さんとお姉ちゃんも、すっかり乗り気になった。


「学園祭のカフェなら、客入りもかなり期待できるなぁ」

「お料理はここで作って、学校の調理室に置けばいいわよね」

「調理室に近い教室、使わせてもらおうよ」

「な? いい宣伝になると思うぜ?」

「大地・・・頭い~い!」


あたしはパチパチ拍手して大地を褒め称えた。

さすが大地! こーゆー知恵は回るよね! 頼りになるぅ!

お姉ちゃんもすっかり感心した様子だ。


「すごいわ大地君!」

「いやあ~~・・・」

「大地君って頭良いのね!」

「いやいやあ~~・・・」


頭を掻きながらデレデレする大地。それを見たら、ちくりと胸が痛んだ。

? ・・・あぁ。そっかぁ・・・。


あたしは心の中で苦笑いした。

大地が名案を出したもんだから、あたし、ひがんでるんだ。大地に一歩先を越されたって。

やれやれ、つくづくあたしって器が小さいなぁ。こんなんじゃダメね。

別にあたしは大地と競ってるわけじゃないんだから。

我ながらこのひがみ根性、どうにかしないとねぇ。


そう考えながらあたしは、胸に走るちくちくを押さえ込んだ。

そして・・・


次の日から、あたし達はずいぶん忙しい毎日を過ごした。

お互いのクラスを頻繁に訪ね合い、計画を練る。


「料理の数は必然的に絞られるな」

「大鍋で作れる煮込み料理とか」

「ライスやパンはどうする?」

「うーん、主食系かぁ。でもスペースが・・・」

「コーヒー以外の飲み物は? コーヒー苦手な人もいるだろ」

「需要数の見極めが難しいね」


考え始めたら、あれもこれもと疑問点や問題点が浮き上がってくる。

おしぼりはどうするか、とか。

食器は簡単に紙製品で済まそうか、とか。


学校に提出する書類も、けっこうメンドくさい。

ステージで歌いますとか、踊りますとかと違うもんだから。

いちいち細かい情報を書き込んで提出して、学校側と交渉しなきゃならなかった。

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