僕とるうの違い
夜のバイトを始めてようやくコンビニ弁当が毎日買えるようになった頃
昼間の街で、僕はるうを見かけた。
夜に働いている女の子とは思えないほど
自然に雑踏に溶け込んでいた。
僕は少しほっとした。
でもるうはずっと俯いて歩いていた。
冬のぽかぽかする陽気の中で、人が右往左往する都会の街の中で
るうは上を向くことがなかった。
でも僕は、それでこそるうだと思った。
僕は、欲も未来も何も考えないようにして、ただひたすら働いた。
そしてそれは、夜の女の子たちも同じようにみえた。
この夜に住まう僕たちは、からっぽだ。
少しでも欲が出ると足元がすくわれる。
そのことを十分分かっている人たちだ。
普通の生活を夢見ることすらしてはいけない。
それは遠い遠い異世界のこと。
僕たちは、本当にからっぽだ。
るうがまた僕の車に乗ってきた。
今夜は客と飲んできたらしく、少し酔っているみたいだ。
るうが「こないだのチョコ、食べた?」と聞いてきた。
僕にとってオヤツはとても豪勢なカテゴリーだったから
「1日1つずつ戴いています」と答えたら
にんまり笑って「変なモノ入ってたりしなかったんだ?」と言った。
その時僕は、なんだかるうがとても愛おしく感じた。
体張って、命さえ張って働いているってことが
ぞっとするほどリアルに感じられた。
僕は「入ってたとしてもいいですよ」と言った。
るうは、上目でバックミラーをちらっと見て
興味なさそうに窓の外に顔を向けた。




