表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/4

僕の仕事

何とか僕が見つけ出したのは、夜の街を徘徊する運転手。

いわゆる営業許可なしの運転手だ。

営業許可なしで働いている夜の女の子たちをお金持ちの元まで運ぶ。


一晩中走りっぱなしで、昼間は魂が抜けたように眠る生活を、僕は案外気に入っていた。

何も考えずに生きていけるから。


このご時世、昼夜働く同業者おじさんが多い中で

僕は毎日決まった時間に真面目に出勤し

また、夜の蝶たちを誘うような度胸もなかったから

店側としては使いやすいらしく、そこそこ仕事をもらえた。


僕も人生の底辺に堕ちたと自負していたが

夜の蝶たちは本当に奈落の底だった。

車内で少しばかり話をすることもあるが、何だか僕が元気をもらえるような

ひどい話ばかりだった。

そして、みんなあきらめていた。


僕たちが生きているこの世界は、どうしてこうもうまく回らないのだろう。

自業自得という言葉で方をつけるというには、あまりにも切ない気がする。

騙し騙され、そしてまた騙し、こんな繰り返しが

綿々と続いていることに愕然とする。


僕はある夜、るうという蝶に出会った。

るうは、とてもおとなしい女の子だった。

というより、とても警戒している女の子だった。


僕もべらべら喋る方ではないので、初めは挨拶程度しか交わさなかったが

ある夜るうは、「どうぞ」と僕にチョコレートを差し出した。

「お客さんの海外土産」と手渡された僕は、御礼を言って受け取った。

チョコレートが嫌いなのか、くれた客が嫌いなのかは聞かなかった。


るうはそれから黙って、窓の外に流れてく夜の街をじっと見ていたが

突然「ねえ、私を可哀相だと思う?」と聞いてきた。

僕は、自分を可哀相と思うことすら考えつかなかったので、面食らって「全然」と答えてしまった。

るうはにっこり笑って「でもイマドキのコみたいに、買い物するお金のためにやってるんじゃないの」

と、ぼそっと呟いた。

僕は何も言えなかった。

るうに何があったかなんて、るうの口から話させるのもいやだったし

何より僕が聞かれたとしたら、その相手とは一生仲良くなれそうにもない。


るうは何もなかったように、また窓の外を見つめていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ