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第3話 悲鳴は王子の喉から。殿下!私の体を弄らないでください!

入れ替わりから数日が過ぎた。


私、リリアにとって、それは地獄の業火と天国の羽毛が一緒くたにミキサーにかけられたような、めくるめく混沌(カオス)の日々の連続だった。


中でも、私を最も悩ませ、毎晩のように精神力をゴリゴリと削り取っていったのが『入浴』のミッションである。


お父様、お母様。


娘は今、人生最大の試練に直面しています。


まさか自分の手で、殿方の裸を……しかも王子様の玉体を洗う日が来るなんて!


「うぅ……どうして男の人の体って、こんなにゴツゴツして骨ばっているんでしょう……」


湯気がもうもうと立ち込める、王宮の大浴場。


私(中身は侍女)は、泡だらけのタオルを両手に構え、自身の――いや、第三王子ギルバート殿下の体を洗うという超高難易度クエストに悪戦苦闘していた。


胸のふくらみはないし、お尻は頼りないほど小さい。


私の体なら、雑巾がけの要領でガシガシ洗えるのに! 


この王子様の体は物理防御力がスライム並みだから、ちょっと強くこすったら骨折しそうです!


何より……股間にぶら下がる、あの『エクスカリバー』の存在感が恐ろしすぎる。


洗おうとタオルを近づけるたびに、うっかり自爆スイッチでも押してしまいそうで、指先が生まれたての小鹿のようにプルプルと震えた。


洗わなきゃ不敬罪……でも、下手に刺激したら何かが、それこそ恐ろしい『魔神』が封印から目覚めてしまいそうで怖いんです……っ!


「おいリリア。いつまでオークに怯える村娘みたいに震えながら洗っているんだ?」


湯気の向こうから、呆れきった声が響いた。


ハッとして振り返った私の目に飛び込んできたのは、あまりにも扇情的な、目に毒すぎる光景だった。


歩いてきたのは、私の体をしたギルバート殿下だ。


殿下は白いバスローブを一枚羽織っているだけだった。


だが、その着こなしは致命的にだらしない。


防御力ゼロだ。


胸元は大きくはだけ、さらしから解放された豊かな双丘の谷間が無防備に露わになっている。


濡れた艶やかな黒髪が白い鎖骨に張り付き、バスローブの裾からは、むっちりとした太ももが惜しげもなく投げ出されていた。


ひいいぃぃっ! 


私って、あんなにハレンチなボディラインをしてたんですか!? 


ち、違います、私が着る時はもっとさらしでガチガチに防御力を高めて、隙なんて一ミリも見せないのに!


「で、殿下! そんな無防備な格好で入ってくるなんて!せめてインナーを着てください!」


「君が中々出てこないからだ。それに、僕の体の洗い方が全くなっていない。……貸せ」


殿下はバスローブを翻してズカズカと近づくと、私からスポンジを奪い取った。


そして、あろうことか「自分自身(私の体)」にその泡だらけのスポンジを押し当てたのだ。


「いいか、体というのはこうやって洗うんだ」


殿下は、私に見せつけるようにわざとバスローブを大きくはだけさせ、自身の豊かな胸部装甲を乱暴に、しかしひどく愛しむようにこすり上げた。


純白の泡が、深い谷間をタラリと伝い落ちる。


「ひゃっ!?」


私(王子)の口から、可愛らしい悲鳴が漏れた。


――感覚共有。


目の前で自分の体が洗われている視覚情報と共に、胸を鷲掴みにされる生々しい感触が、この王子の体にリアルタイムで伝わってくるのだ!


ああっ、だめ!胸を揉まれてる!


胸の奥がジンジンして……触られているのはあっちなのに、こっちの体まで熱くなってきちゃいます!


「ほう、声が出たな。……やはり、ここの感度は良好だ」


「や、やめて……! 殿下が自分の体を洗っているだけなのに、なんで離れている私がクリティカルヒットを受けてるんですかぁ……!」


                     ◇


その夜。


開かずの間では、翌日から始まる学園生活に向けたスパルタ特訓が行われていた。


「違う! だから、もっと堂々としろと言っているだろう!」


殿下の容赦ない叱責が飛ぶ。


私は王子の体で、騎士の基本である直立不動の姿勢をビシッととっていた。


「で、でも……こうですか? 背筋を伸ばして、隙を見せないように……」


お父様仕込みの完璧な騎士の構えです! 


これならどこに出しても恥ずかしくないはず!


「それは『閲兵式に臨むガチガチの騎士』だ。王子というのはもっとこう、優雅に、アンニュイに、隙を演出して敵を誘い込むように振る舞うんだ」


殿下は深いため息をつき、手本を見せるように私の体でポーズをとった。


腰を艶かしくくねらせ、気怠げな流し目を送る。


その仕草一つで、ただの地味なはずの侍女服が、国を滅ぼす魔性の夜会ドレスのように見え、周囲の空気が甘く色めき立つ。


それは高貴な王子というより、勇者を惑わすダンジョン最深部のサキュバスの色気だった。


なんですかその破廉恥なポーズ! 


私の顔と体でそんな夜の蝶みたいな動きしないでください!


「……殿下。それ、色気のデバフがダダ漏れで周囲が全滅します」


「む。君の体のポテンシャルが無駄に高すぎるせいだ」


殿下は不服そうに唇を尖らせたが、すぐに悪魔のような意地の悪い笑みを浮かべた。


「なら、実践形式でいくか。君がどんな状態でも、『王子』の仮面を被って涼しい顔ができるように」


「えっ、何を……」


スッ……と。


殿下が、ゆっくりとご自身の……いや、私のメイド服のスカートの中に、素手を滑り込ませた。


えっ? ちょっと、何事ですか!? 


なぜごく自然な動作で、私の純潔なスカートの中に魔の手を滑り込ませているんですか!?


「僕が今からどんな『物理攻撃』を仕掛けようとも、君は眉一つ動かさずに『王国の情勢』について語ってみせろ」


「は、はい? ちょっ、待っ……!」


クチュ、クチュ……。


部屋に、いやらしい水音が響き渡った。


殿下の指が、私の誰にも踏み入られたことのないシークレットエリアを、容赦なく掻き回し始めたのだ!


物理攻撃じゃないですか! 


精神と尊厳に対する防御力無視の貫通ダメージです!


「あ、ぐぅっ……!?」


「ほらどうした。西方の国境問題について意見を述べよ、第三王子」


私は王子の細い体で膝をつきそうになるのを、必死の腹筋で堪えた。


脳髄に直接流し込まれる、強烈な快楽ダメージ。


自分の『そこ』がトロトロに溶けていく感覚。


それを、目の前の「私」が涼しい顔で弄っているという、脳の処理速度を超える異常事態。


「せ、せえほーの……国境、に現れたオークの群れ、は……あっ、んぅ……!」


「声が震えているぞ。もっと丹田に力を入れろ。それにオークの話なんてしていない」


殿下は執拗に指の機動力を上げ、ダンジョンの最奥にあるシークレットスイッチを、熟練の盗賊(シーフ)のような手つきで的確に弾き、容赦なく抉る。


あああっ、頭が真っ白に……! 

 

目の前で、私の顔をした変態が、私の体を弄っている! 


情報量が多すぎて頭がおかしくなりそうです!


王国の情勢なんて知るもんですかぁぁっ!


私は恥辱に顔を真っ赤に染めながら、それでも王子の体から逃げ出すこともできず、その背徳的な光景を目に焼き付けさせられた。


「あ、うぁああ……ッ! だ、だめ……!」


限界を超えた快感の連撃に、ついに私が床に崩れ落ちると、殿下は濡れた指を引き抜き、這いつくばる私の顔の前に突きつけた。


「口を開けろ」


「え……?」


「テイスティングだ。自分自身からドロップした特級ポーションの味くらい、知っておけ」


拒否する間もなく、愛液に濡れた指が、私(王子)の口に強引にねじ込まれた。


鉄錆のような血の味と、脳が痺れるような濃厚で甘い香り。


それは、間違いなく「私自身」から生み出された味だった。


私、自分の味を舐めさせられてる……っ! 


もうお嫁にいけない……完全にゲームオーバーです……。


「んぐ、ぅ……!」


「どうだ? 悪くないだろう」


殿下は、自身の指を私にしゃぶらせながら、妖艶に微笑んだ。


その顔は間違いなく私のものなのに、表情一つでこれほどまでに淫らで凶悪な女になるのかと、私は完全敗北を悟りながら意識を遠のかせたのだった。

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