第21話 かけがえのないもの
夜勤中のはなちゃんが、今日はびっくりするほどなにもないことを投稿していた。
コメント欄のフォロワーたちがはなちゃんの体調を心配してコメントをのせる。
なんだか泣きそうと、投稿してまたコメント欄が、心配であふれる。思わず
なんてあったかいフォロワーたちだろう
と書き込んだ。
一方でDMには、
〝終わったらいっぱい、ぎゅーしてあげるから、泣かないでね〟
〝夜勤が、無事に終わって夜にはなちゃんと水炊きとお酒でデート出来ますように〟
立て続けに送ると返信がきた。
〝泣かないけど笑笑
ほんとに静か…〟
〝ねぇ、よっしー、
勘違いしてる承認欲求の強い中学生みたいってどういう意味だと思う??〟
〝??どういうシチュエーションで言われたの?〟
〝最新の投稿のリプで言われた笑笑
残念なんだって〟
〝最初のはなが好きだったのかな??最近素が出過ぎだから〟
確かに当初小悪魔よりだった彼女は喜怒哀楽を前面に出してきてるようにも見えなくもない。
コメント欄を開くと該当するものが1件あり、アカウントの投稿や返信の中に時々不穏なものが散見された。
〝いや、彼ASD&鬱って宣言してるから関心引きたいタイミングで攻撃的になるタイプだと思うよ〟
〝わたしもそれ思った笑笑
誰かへの返信で自分で言ってたよね笑笑
言った後、急に気分が沈んだりする感じかな。
患者さんだと思うことにしよう〟
〝僕知り合いの中学男子に絡まれた時、こんな感じだった笑〟
〝多分はなちゃんに向けてるけど自分のことを言ってるかな。スルーで良いのでは〟
〝そうだね。そうする笑
初期はかなり猫被ってたからね〟
〝夜穏やかに過ごせてるのなんだかほっとする〟
〝??よっしーが??〟
〝うん。そうだよ〟
〝なんか良いことあったの??〟
〝はなちゃんが夜勤を穏やかに過ごせてるのが良いことだよ〟
〝よっしーってさ、独身なの??〟
〝独身だよ〟
〝すごい良い人なのに、何か理由があるの??
言いたくないことは言わなくて良いからね。〟
〝鋭いね。実はちょっと前まで無気力に近い状態。かろうじて仕事が出来る状態でこのまま枯れ果てるなかなって状態だったの〟
〝そっか…何かきっかけがあったってこと??〟
〝自分の限度を越えた疲労だったんだと思う。課題は見えてるのに行動に移せない。〟
〝頑張り過ぎちゃったんだね。
よっしーらしいかも〟
〝今は少し変わってきたのかな?〟
〝ある馬鹿みたいな方法で復活するんだけど。はなちゃんに絡み出す位からゆで卵毎日6個食べてるの今3週目笑笑。いやー元気元気笑〟
〝食べ過ぎは良くないよ。
少しずつ減らしていかないと。
だから,夜もあんまり眠れないの?〟
〝睡眠の質が上がったの。食事もバランス良くなって目覚めも良いの〟
〝そっか。それは良い事だね。
栄養バランスも心がけているのは素晴らしい〟
〝病院には定期的に行ってるの??〟
〝病院行ってないよ。気管支喘息で呼吸器内科は行ってる。
自分の身体を作るのは食事なんだとすごい実感して頭の回転とか体力とか10年前に戻った感じ。〟
〝同じだね。わたしも気管支喘息なの。季節の変わり目は苦しいよね〟
〝本当に食事は大切だよね。〟
〝介護の現場は本当に想像を絶する世界だと思う。それこそ自分をすり減らして仕事をこなすような感じだから。
それを長く続けてるよっしーはすごい!!誰がなんと言おうとも、よっしーはすごい!!〟
〝はなちゃん、もっと惚れさせてどうするの?僕はね、はなちゃんに関わる中で自分を取り戻せたから、感謝してるんだよ。〟
〝それは私じゃなくて、よっしーが自分の努力で取り戻せたんだよ
頑張った、頑張ったね、よっしー!〟
〝ありがとう泣けちゃうよ。
大好きな人にほめてもらえるの
嬉しいね〟
〝よっしーはさ、優し過ぎていろんなこと考えちゃうんだよね、きっと。
今日だって、みんなは私が泣きそうな理由なんてわからなかったのに、よっしーだけ分かってたでしょ??
素敵な才能だよ。〟
〝ふふふ、そういうところは、はなちゃんも一緒でしょ〟
〝そんな事ないよ。私には出来ない。〟
〝僕は はなちゃんは、関わる人にきっかけをくれる人なんだと思ってるよ〟
〝そんなたいそうなことはしてないよ笑〟
〝まあ、はなちゃんの為に頭フル回転したのは、おかず募集だから、たいしたことではないのか〟
〝それかぃ笑笑〟
〝それなのよ笑笑〟
〝いや、あれは衝撃的だった〟
〝うん、あれがきっかけ〟
〝なるほどね笑
今でも思い出すとニヤニヤしちゃうもん笑〟
〝すごい感動的な流れだったんだけどはて、でもあれは外せないし。〟
〝みんなボッキした物を送りつける中で、一際輝いて見えたよ〟
〝立ち姿ですか
なんかね。こちらの意図を感じて喜んでくれてすごい勢いで自分を取り戻したんだよ。〟
〝んなもん見たところでなんも感じないしね
あの時にそんな重大なことが起こってるとは想像もつかなかったよ( ゜д゜)〟
〝そしたら、会ってはなちゃんを喜ばしたくて筋トレやら色々と鍛えて今にいたるなんだよね。
体重3kg落ちた〟
〝そ、それはよかったんだよね??〟
〝うん、あとははなちゃんに披露して実際の感想をもらうだけ〟
〝動画で楽しみにしてるね〟
〝あ、動画に逃げる気だ笑笑〟
〝な、なんのことやら…〟
〝真面目な話。多分いたしたら関係変わっちゃうかな?〟
〝変わる。もう会わない。
それは曲げられない。〟
〝自分は目的果たしたら、会えなくてもこのやり取り続けられると思うけどこのやり取りもしないの?
実際このやり取りは普通に身体重ねる以上に濃いけどね。〟
〝しない。ごめん。
よっしーがいい人なのは分かってるけど、私は割り切れない。〟
〝確かにね笑〟
〝はなちゃんは割り切れないよね。
わかる。〟
〝うん。?〟
〝はなちゃんと会って、はなちゃんを卒業するか、この営みよりも濃い関係を続けるかか。はなちゃんが良ければ卒業させて欲しいな。そしたら新し出発出来るかな。〟
〝ごめん。考えさせて。
私は、できれば今のままがいい…〟
〝うん、わかる。
この関係、はなちゃんにとって、
かけがえのないものかな?〟
〝うん
ごめん。よっしーのためを思うなら先に進ませてあげるべきなのに…〟
〝凄く嬉しい〟
〝見回り行ってくる。
もう寝ないとダメだよ。
おやすみ。〟
〝はーい大好きなはなちゃんの仰せのままにお休みなさい。夜勤がんばってね。〟
〝落ち込まないでね。愛してるよ。〟
〝はなちゃんがステイしてる間に鍛え続けるだけだしね。〟
〝バカだなぁ、ほんとに…〟
はなちゃんの最後の言葉はだれに向けた言葉か…
とにかく、伝えるべきは伝えた。
スマホをそっと閉じ、眠りについた。




