スカルド魔法学校
今日は学校の入学式だ。ミジェーおじさんとはすでに別れの挨拶を交わし、俺は学校に着いた。校庭にはすでに多くの新入生が集まっており、俺もその中へ向かった。校庭の奥にある校舎の屋上には校長が校庭に集まった俺たちを見下ろすように立っていた。
数分後、先生らが新入生が揃ったのを確認できたのか、一人の先生が校長に合図を送った。そして校長が式辞を始めた。
「魔法に興味を抱きに来た者たち、スカルド魔法学校にようこそ!私は校長のサミルだ。本校のシステムを軽く説明しよう。本校は名の通り魔法を学べる数少ない学校なのだ。授業は九時から始まり、一日6時間授業があるが、そのうちの3時間は魔法に関する授業を行っている。残りの3時間は他の学校でも行っている通常の授業だ。そして、授業終了後は本校付近にある寮がありそこで過ごす。そこに先生は来ないが、くれぐれも夜更かししないようにな。そして、優秀な成績を残した生徒には卒業した後、冒険に出てもらおう。成績次第で早く卒業できるかもしれんぞ?」
なかなか厳しそうだな……
俺は少し不安が脳裏をよぎった。
「以上で本校のシステムを軽く説明したつもりだ。詳しくは後ほどその時になったら説明する。改めて言う、スカルド魔法学校にようこそ!」
校長の式辞が終わり、先生の合図で、新入生たちは大きな拍手をした。
後々気づいたのだが、周りを見渡すと新入生の保護者が俺らを見ていてそこに俺の両親もいた。
その後、新入生代表による宣誓や校歌斉唱などをした。本校の校歌の奇妙さが俺たちに微妙な空気を漂わせたが入学式終了後、その空気は消えていった。
今日から寮での生活かあ。なんかちょっと自宅が恋しいが、まあすぐ慣れるか。
入学式の後は近くの寮に行った。
寮のドアを開けると入口には、従業員が俺らを笑顔で見ていた。周りには俺らの為か壁や窓、接客カウンターに多くの花が飾られていた。俺が思ってる以上に綺麗でまるで高級ホテルにいるような感覚がした。俺らは部屋に行く前に宿で俺らの面倒見るのを担当する人に班決めをされた。結果、俺は男三人と一緒になった。
「今日からよろしく頼むなっ!」
一緒になる男らの一人が俺に声を掛けてきた。
俺は指定された番号の部屋に行った。ドアを開け、入ってみるとやはり綺麗だった。そこには学校で疲れた体をすぐに癒してくれそうなふわふわしたベッドや、スカルドならではの広大な雪景色を十分に見渡せる大窓、そしてベッドの傍にある勉強は勿論、それ以外でも応用が利くテーブル等があった。
俺はふわふわしたベッドに座ろうとしたその時だ。
「そこをどけえっ!」
さっき俺に声をかけてきた男ではないもう一人の男が俺をどけて真っ先にベッドに飛び込んだ。飛び込んだ振動が今いる部屋中に伝わった。
「おいやめろ!」
俺はその男に注意した。
「あははは、ごめんごめん」
男は後頭部を掻きながら言った。
「あーえっと、俺はエルマルクだ。で、君の後ろにいるのがエスだ。」
俺らがこの班に決まった時、俺に声を掛けてきた男の名前がエスらしい。
「二人ともよろしく! 俺はアベル。ところで残りの子は誰?」
俺は残りの一人の男のことについて聞いた。
「ああ、俺の隣にいる女みたいな茶髪の子か?分からん。こいつずっと黙り込んでいるからな。」
「俺もだ。なあ君、名前は何て言うんだい?」
エスとエルマルクがそう言った。
「あっえっえ、えっと……ぼ、僕はその。カノ……」
その時だった。
「ぎゃあああああああっ!」
2階付近から女子生徒の叫び声が聞こえた。
俺は彼女のいる所に行こうとした。
「待ってくれアベルっ!俺らも行くわ」
俺はエスとエルマルクと一緒に彼女の所に反射的に駆け出した。。その先には彼女がうつ伏せになって倒れ込んでいた。
「大丈夫かあ!?」
エルマルクが彼女の反応を確認した。
「うっうう……」
彼女は意識が朦朧としていた。
一体何が…?
俺が彼女が倒れていた先を見ると、怪しげな手紙が落ちていた。俺はその手紙を拾い、中を開けて文章を読んだ。
……アンタを殺めた黒幕は今を生きておる。数年後だ。気を付けろ。
この手紙には誰が書いたか記されていなかった。文字はかすかに赤色をしていた。
ん? どういうことだ? ジェノ・ギャングの一員が今俺がいる世界にいるのか?
俺は妙な感じがした。
その後、倒れていた彼女の意識が回復した。
「ああ、あなたがアベルなのね…?なんだかよく分からないけど、助けてくれてありがとう」
彼女は少し震えた声でお礼を言った。何故俺のことを知っているのだろうか。何はともあれ彼女が無事で一安心した。
俺は自分を知っている彼女ならこの手紙のことについて何か知っているだろうと、彼女に聞いた。
「えっと、ごめんなさい。私には分からないわ。私があなたを知っているのは、師匠があなたのことについていつも熱く語ってくるからねー」
多分ミジェーおじさんのことだろう。俺は顔が真っ赤になった。
ミジェーおじさん、他の人に俺のことについて話すのは恥ずかしいなあちょっと……
♢
夜になり、俺らは寝る準備をした。カノなんたらという子は俺らよりずっと先に寝ていた。
「あー、三日後早速授業があるのかー。アベルは魔法のことについては問題無いかい?」
エルマルクが俺に聞いてきた。
「うん、勿論っ! 俺は今までで半分くらいの魔法を一応覚えているからね」
俺は余裕の表情で答えた。
「いいなあアベルは。俺は1ミリも覚えてないや」
エルマルクは不安げな顔だった。
「気にすんなマルク。魔法なんて楽勝や。分からなかったらアベルの力を借りな?」
エスがエルマルクを落ち着かせようとした。
「まあ、そうだね。アベル、エス、そして既に寝てる子……。一緒に頑張ろうね」
そうして俺らは明かりを消して、一日を終えた。




