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プロローグ

 2024年、アスルの小さな村にて


 俺は普段盗み癖があり、そこらの人の金や貴重品を盗んでいる。


 今日もいつも通りに盗んだ。ただし、盗む相手を間違えた。

 相手は暴力団(ギャング)だった。名前は『ジェノ・ギャング』。ジェノっていうのはグループのトップの愛称だ。奴らは人々の金目のものを盗み、殺すことにも抵抗しない。

 アスルには十数のギャングが存在するが、奴らはその中でも1、2を争うほどの強さ。

 当然、そのジェノ・ギャングに喧嘩を売ってしまったため、ボコボコにされて今死にかけているところだ。


 「家族のもとに帰りたいか?」


 数人が俺の顔面にめがけて何度もナタで斬りつけたせいで、喋るための舌と顎は、もう使い物にならなかった。


 俺は普段、あまり話すことがなく、思っている事が表情に出ることはない。

 ただし死にたくないという気持ちで、必死に助けを求めた。

 しかし全くもって話すことができない。

 

 ああ、もう無理かなあ、死ぬまで、もう10分もないかもしれない

 息を吸うたび、血が気道に入り何度も溺れかける。


 「ああ冗談だ……まさか、生きて帰れるなんて思ってるのか? お前が俺らにやったこと、それは挑発だ。何も俺らにしてなけりゃ生きて済んだってのになぜお前は最悪なルートを選んだんだ?」

 「まさか力自慢じゃないよな? 見た目の時点で非力そうなお前ごときが俺らを殺せる訳ねえからよ」


 流石にギャングには対抗できなかったのだ。

 俺には盗む才能はあったが、力の才能は皆無に近かった。俺は弱かったんだ。


 「まぁ来世でつえーヤツになればそれでいいだろ? そのためにもとりあえず死のっか?」


 そうして男たちは俺の頭を床に押し付けて、首をはねる準備をした。

 そしてまず気道辺りに一発斬りつけた。ボゴッという音を立てながら血があふれ出た。

 そして2発、3発。ナタと俺の首が接触する度に、肉を断ち切るような音が立つ。

 あ、もうすぐ死ぬんだと思った。


 首の骨が断たれる直前、俺は心の中で後悔した。


 俺の家庭はすごく貧しいし、生活するためにも悪事をしなければならないのは仕方ないんだ。でも、もし治安が良く、裕福な家庭に生まれていればどうだっただろう。きっとそんなことをしなかったはずだ。もしかしたら転生できるかもしれない。

 転生できれば俺はサノロイドの裕福層の一人として生きていきたい。できれば、魔法が使えるようにもなれたらなあ


 サノロイドというのは、アスルの北に位置する大国だ。警備が行き届いており、裕福な家庭が多く、アスルと同じ言語を使用している。俺たちアスルの人間から見れば別世界みたいな国だ。

 また、サノロイドには魔法学校があり魔法使いがいる、一時期は争い時に過剰な戦力になるという理由で魔法が禁止されたが、今では正当防衛目的や伝統目的であれば問題ないことになっている。


 そしてついに俺の首が飛んだ。切られた頸動脈からは噴水のように血があふれ出た。

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