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第31章 — 巨大水族館(そして深海のピエロ・カイの復活)

カイはパラソル竜巻から逃げながら、

もはや正気から逃げているのか自分から逃げているのか分からない状態だった。

リュウナは手にプラスチックのアヒルを持ち、

まるで恋人からもらった宝物のように揺らしながらついてくる。


「カァァァイ! このプレゼント大好き!」

「プレゼントじゃない!! 絶望が物質化しただけだああ!!」


追跡はそのまま観光エリアへと続き、

公園近くの巨大な水族館へたどり着いた。


巨大な看板が光っていた。


AQUÁRIO OCEAN BLUE – ABERTO ATÉ MEIA-NOITE

(オーシャンブルー水族館 深夜まで営業)


カイは一瞬凍りつき——


そして笑った。


あの笑み。

自殺的な覚悟を秘めた笑み。


「水があるなら……罠が作れる。」


「カイ?」

リュウナが微笑む。

「一緒にお魚見たいの?」


「見たくない!!! 水族館の水圧システムを罠に使いたいんだよおお!!」


カイは自動ドアを全力で駆け抜けた。


リュウナは三秒後に入ってきて、受付の女性に手を振った。


「こんばんはっ! 旦那さんを追っています!」

カイは振り返った。


「俺は旦那じゃねぇぇぇぇ!!」


受付嬢はまばたきした。


「……あー…が、頑張ってください。」


カイは水族館の最初のエリア——

巨大な水中トンネルへ突入した。


上では巨大な魚たちが泳ぎ、

青い光がゆらめき、

音は静かで、

雰囲気は美しく、

全体が落ち着いていた。


カイはそのすべてを憎んだ。


「水環境……水環境……これ全部アイツのフィールドだろ……!」


リュウナがすぐに現れ、うっとりした顔で言った。


「カァイ、ここ世界で一番キレイ……海と、あなたと……一緒……」


「一緒じゃない!! ガラスで隔離されてる!!」


彼女はガラスに手を当てた。


ガラスが震えた。


カイの目が見開かれる。


「ま、待て!? やめ——」


「カイ、見て」


彼女がガラスを指先でなぞると——

ガラスが、

……内側から歪んだ。


カイは一歩後ずさった。


「水族館壊す気かああ!?!?」


「カイが逃げたら壊すかも。」

「逃げなきゃ壊さない?」

「うん。」

「じゃあ壊すな!!」

「じゃあ逃げないで。」

「逃げるわあああ!!」


カイは隣のエリアへ走った――

クマノミ水槽エリア。


オレンジと白の小さな魚が群れで泳ぎ、

まるで幸せの象徴みたいに見えた。


カイは水槽に手をついて小声で呟いた。


「ごめん……利用する……!」


リュウナが背後に現れた。


「カイ……お魚、可愛いと思う?」

「思わない!! 便利だと思っただけ!!」


カイは水槽横の非常レバーを思い切り引いた。


警報が鳴り響く。


『警告:水槽の水交換を開始します』

という自動音声。


カイは目をむいた。


「サイレン鳴るのは想定外!!」

リュウナは拍手した。


「カイ、ライトつけてくれたの!? すごくきれい!!」

「キレイにするつもりじゃねぇぇ!!」


水槽の水が渦を巻き始めた。


カイは笑う。


「よし……これでアイツが近づいたら……渦に落として……回して……俺は逃げる!!」


リュウナが近づいてきた。


カイは全力で押した。


リュウナは前へ倒れ込み——


そのまま…

水の中を自宅みたいにスルッと通過した。


カイは絶叫した。


「お前、魚にもなるのかよおおお!!!?」

「水は私を愛してるから。」

「俺は水が大っ嫌いだ!!!」


リュウナは完全に水中で浮かび、

完璧すぎる姿勢で待っていた。


カイはガラス越しに彼女を見る。


リュウナは水中で両腕を広げ、

「おいで」とジェスチャーした。


「カァァイ〜〜飛び込んで。一緒にキラキラしよ?」

「結婚してないのに離婚したいレベル!!」


カイは再び逃走。


リュウナは水槽から飛び出し、

大量の水しぶきが爆発した。


カイは濡れた床で滑り、

“滑りやすい床”の標識に突っ込み、

尻もちをつき、

自分の悲鳴で死にかけた。


リュウナはふわりと彼の上に降り立った。


「カイ……水族館って、パートナーに印を付けるのに最高なんだよ。自然の中だし。」


「いやだぁぁぁ!!!」

「お願い♡」

「お願いって言えば良くなる問題じゃない!!」

「ちょっとだけの引っかき♡」

「イヤ!!!」

「ほんの甘噛み♡」

「もっとイヤ!!!」

「水中キス♡」

「いちばんイヤだああああ!!!!」


カイはクロケットのように身体を丸めて回転し、

リュウナの下をすり抜けて逃走。


向かった先は——


サメの大水槽エリア。


リュウナが部屋全体を笑顔で照らす。


「カァイ……サメ水槽は最高の場所だよ。なぜかわかる?」


カイは涙目で振り向いた。


「なんでだよぉぉ!?!?」


「ドラゴンマリンはね……サメの王なの。」


カイは青ざめた。


「え?????」


リュウナは嬉しそうに笑う。


「一緒に遊ぼ?」


カイは肺の限界を超えて叫んだ。


「イヤァァァァァァァァァァァァ!!!!」


そしてまた走り出した。

叫び、滑り、助けも未来も希望もないまま。

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