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第30章 — パラソルの塔(そして青い愛の竜巻)

カイはもう走っていなかった。

彼はただ、永遠の逃走という存在状態になっていた。

一歩ごとに助けを求め、

一息ごとに生物学への抗議となり、

叫び声は前よりさらに情けなく細くなっていた。


リュウナは後ろからふわりと浮かび、

まるで太陽が空から降りてきて勝手に二人のロマンスを見守っているかのような輝く笑顔で追ってきた(もちろんカイの意思とは無関係)。


「カァァァイ〜〜!」

彼女は呼んだ。

「どんどんビクビクして可愛くなってるよ! 大好き!」


「ビクビク可愛いで愛されても困るんだよおおお!!」


カイは公園の一角へ走り込んだ。

そこには大量のパラソルが置きっぱなしになっていた。

どうやら、開催されなかったイベント用の物らしい。


大量。


めちゃくちゃ大量。


カイはまばたきした。

そして笑った。


あの笑み。


あの、災害の前兆となる笑み。


「そうだ…塔を作る!! 無敵の塔だ!!」


カイはパラソルを積み始めた。

一本、その上にもう一本、そしてもう一本。

倒れ、滑り、揺れ、奇跡的なバランスで積み上がっていく。


物理法則が退職届を出すレベルで不安定な塔が完成した。


「へへへ…よし…登るぞ!」


カイは塔をよじ登った。

落ちかけること八回。

死にかけること十三回。

だが、なんとか頂上へたどり着いた。


「ハハハ!! リュウナでもここまでは届かない!!」


リュウナが塔の下に現れ、目をきらきら輝かせた。


「カイ…これ、あなたが作った中で一番綺麗だよ」


「綺麗を目指してない!! 高さだ!! 高さ!!」


「空に近づいて、私から逃げようとするなんて…ロマンチックだね」


「ロマンじゃない!! 逃避だよ!!」


リュウナは塔の根元に手を置いた。


塔が…きしんだ。


カイは頂上で凍りついた。


「やめ——」


「カイ…」

リュウナは微笑んだ。

「私も登っていい?」


「だめ!! やめて!! 登る場所ないから!!」


「浮けるよ?」


「……」

「……なんでいつもその能力忘れるんだ俺……」


リュウナはふわりと浮かび、塔の中間まで上昇。


カイは進化した絶望に突入した。


「来るな!! 来るなってば!!」


「カイ…今が最高のタイミングなんだよ」


「何のタイミングだよ!?!」


「あなたが苦しむのをやめて、私のパートナーになるタイミング」


彼女は両腕を広げた。


青いオーラが空気を循環し始めた。


優しい風が渦を巻き始めた。


光る微風がパラソルたちの周囲を回り、


そして——


青いミニ竜巻が形成され始めた。


塔全体が揺れた。

パラソルが舞った。

月がカオスを照らし、

鳥たちは逃げ、

宇宙が沈黙した。


カイは絶叫した。


「俺を捕まえるために竜巻作るなああああ!!」


「優しい竜巻だよ!」

彼女は笑った。


「竜巻に優しさなんてない!!」


塔は分解を始めた。


パラソルが殺傷力のある花びらのように落ちていく。


カイは空へ吹っ飛ばされた。


「アアアアアアアア!!」


リュウナは竜巻を登るようにして上昇し、

カイを空中でキャッチした。


そして、とんでもなく嬉しそうだった。


「つかまえた」


「捕まりたくなかったあああ!!」


「でも捕まった。これが運命」


「運命じゃなああああい!!」


リュウナはカイを力強く抱きしめた。

カイは逃げようともがいた。

失敗。

もう一度。

美しく失敗。

二十回目。

絶叫しながら失敗。


リュウナは彼を抱いたまま地面へ着地した。


カイは魚のようにもがいた。


「離せぇぇぇ!!」


「カイ…もう逃げ場はないよ」


「逃げ場はいつもある!!」


「今日はないよ」


彼女は顔を近づけた。


青い爪が光った。


その優しい笑顔は夜を照らした。


「カイ…今こそ——」


カイが震えた。


「やめてやめてやめてやめてやめて!!」


「……あなたに印を—」


カイは最後の本能的パニックで、

ポケットに手を突っ込み、

湖からずっと入っていたアヒルのおもちゃを取り出し——


彼女の口にねじ込んだ。


リュウナは固まった。


完全にフリーズした。


アヒルをくわえたまま、竜巻の上で静止。


カイは芝生に転がり落ちた。


沈黙。


リュウナはゆっくりとアヒルを口から取り出した。


アヒルを見る。


カイを見る。


アヒルを見る。


そして——


「カイ…あなた……」


カイは固まった。


「……わたし……」


カイは息を止めた。


「……これ、大好き!!」


「アアアアアアアアアアアアア!!!!!」


そして追跡は、

これまでで一番激しく再開した。

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