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第27章 — 悲劇の橋(そして人類が考えた中で最悪の作戦)

カイは湖から飛び出し、まるで自分の運命から逃げているかのような速度で走った。

全身びしょ濡れ、泥だらけ、混ざったシャンプーの匂いを放ち、

そしてポケットには気づかぬままプラスチックのアヒルが入っている可能性すらあった。


リュウナはその後ろをふわりと追ってくる。

湖の上を恋に狂った神のように滑りながら。


「かぁ〜〜い!! 濡れてるの、めっちゃ可愛いぃ〜〜♡」

「可愛くていいわけないだろぉぉぉ!!」

カイは叫び、木の根に躓いて、恐怖の力だけで体勢を立て直した。


彼は走り続け、そして見つけた。

公園を横切る木製の遊歩橋。


古い。

狭い。

弱々しい明かりに照らされ、少し歪んでいる。


カイは笑った。


“もしかしたら、いや、本当に…バカが勝つ時が来たかもしれない”という笑み。


「これだ…橋を壊せば…アイツ、落ちる!」


「カイ〜?」と後ろからリュウナ。

「手をつないで歩くロマンチックな場所?」

「違うぅぅぅ!!! 罠ぁぁぁ!!!」


カイは橋の入口をドンッと踏んだ。

古い木。

ギィギィ鳴る。

無謀な作戦には最高の素材。


彼は走って橋に乗り──

中央に到達した瞬間。


タタタタッ—バキィィッ!!


一部が崩れた。


カイは落ちかけた。


「うわあああああああ!!?」


手すりにしがみつき、呼吸を整える。


「よし…ここを…蹴れば…」


蹴った。


何も起きない。


もう一度蹴った。


何も起きない。


三度目。


橋全体は揺れたが──壊れない。


カイは絶望と怒りと人生放棄の叫びを混ぜた声をあげた。


「壊れろぉぉぉ!! 壊れろよバカヤロォォォ!! 何十年もここにあるんだろ!! 協力しろよぉぉぉ!!!」


リュウナが橋の入口に立った。

月に照らされるその笑顔は、明るすぎて逆に恐ろしい。


「カイ…木に怒鳴ってるの?」

「だって! 何一つ俺の味方しないんだよ!!」

「私は味方だよ。」

「お前は味方じゃないぃぃぃ!!」


リュウナが橋に足を乗せた。


橋がうめき声を上げる。


ボルトが涙を流す。


板が悲鳴をあげる。


カイの目が見開かれる。


「ちょっ…待っ……本当に壊れるかも……!」


リュウナがもう一歩。


橋が3センチ沈む。


カイは死──いや、マーキングの幻を見た。


「だめだだめだだめだだめだだめだだめだだめだ──!!」


リュウナはさらに一歩。


そして起きたのは……


橋の完全崩壊だった。


ドオオオオオオオオン——ガガガガガガガガガッ!!!


カイは落ちた。

リュウナも落ちた。

アヒルも落ちた。

世界も落ちた。


カイは絶叫。


「なんで触っただけで全部壊れるんだよおおぉぉ!!?」


ボチャ。


二人は橋の下にある浅い池へ落ちた。

この夜二つ目の“浅すぎる池”である。

多分、運命がわざと配置したとしか思えない。


カイは泥水を吐きながら上がってくる。


「浅い水もうイヤだぁぁぁ!!」


リュウナも現れた。


浮きながら。


髪に天ぷら魚を引っかけたまま。


笑顔で。


「カイ…一緒に落ちてくれたんだね♡」

「落ちてない!! 巻き込まれただけ!!」

「一緒に落ちるのは、海竜的には“結びつきの儀式”だよ。」

「そんな儀式ない!! 今作るな!!」


カイは池から出ようとした。

泥が足をつかみ──

顔から転んだ。


リュウナは脇を抱えて彼を持ち上げた。

まるで濡れた服か何かのように簡単に。


「はい、これでよし。カイ、すごく可愛いよ…」

「可愛くない!! 屈辱なんだよこれは!!」


リュウナは彼の顔に近づく。

本当に近い。


「カイ…そろそろ…」


カイは凍りつく。


「……やだ。」

「……マーキングするね。」

「やだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」


カイは本物の魚のように彼女の腕から滑り落ち、

池を走って飛び出し、

転び、滑り、意味不明な呪いを叫びながら逃げた。


リュウナは当然のように後ろをふわりと追ってくる。


そして天ぷら魚は、

三度目の水没を経て、

平和に湖面を漂っていた。

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