表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
23/35

第23章 — 電動カート王国(そして報われない愛のショック)

カイは乳製品コーナーをよろめきながら抜け出し、

叫び、転び、滑り──

完全に敗北の味に染まりきっていた。


リュウナはいつも通り後ろから追ってくる。

幸せそうに、輝きながら、恋に落ちて、そして危険。


「カーーーイ!!」

彼女は割れたジュースの瓶の間をぴょんぴょん跳ねながら呼んだ。

「もっと遊びたいの? 私ならいくらでも遊べるよ!」


「遊びたくねぇ!! 生きたいんだよ俺は!!」


カイが曲がり角を飛び込むと──

そこにあったのは、予想外の光景。


高齢者用の

電動カート。


あの小さくて、遅くて、うるさくて……

でも 電気で動く カート。


カイは笑った。


完全に正気を捨てた人間の笑顔で。


「あぁ……うん…… sanity は第11章で終わったんだな……」


彼はそのカートに飛び乗った。

緑のボタンを押した。


カートはこう言った:


ビイイイイイ……カチッ……


そして動き始めた。


遅い。


遅い。


信じられないほど遅い。


カイは周りを見回した。


「……嘘でしょ。」


カートは

8秒で半メートル 進んだ。


そこへリュウナが曲がり角から現れた。


瞳が星のように輝く。


「カイーーー! 動く玉座を選んだのね!」

「玉座じゃねぇ!! 緊急脱出用の乗り物だ!!」

「膝の上に座っていい?」

「絶対ダメ!!!」


カイはすべてのボタンを押しまくった。


全部。


全部。


するとカートは──


カチッ、ウィウィウィ、ピッピッピ、ガガガガ……


そしてついに──


加速した。


遅い。


けど加速した。


カイは感動した。


「動いた! 動いたぞ!!」


リュウナはカートの横を楽に走っていた。


「カイ、遅いよ……押してあげよっか?」

「押すな!!」

「ちょっとだけ。」

「触るなこの聖なる乗り物!!!」


リュウナは──

軽く押した。


ほんの少し。


彼女にとっては。


しかし物理法則にとっては

大災害。


電動カートはロケットのように暴走。


カイは叫んだ。


「ぎゃあああああああああああ!!!」


彼は恐怖速度で通路を突っ走り、

レジを突き抜け、

パンを倒し、

そして店の外へ飛び出した。


警備員はもう諦めて見ているだけだった。


カートは道路へ出た。


カイはしがみつきながら叫ぶ。


「も、もう操縦不能だぁぁぁぁ!!」


「私がいるから大丈夫!」

リュウナは自動ドアを押し広げて出てきた。


カートは消火栓を轢きそうになり、

右に曲がり、

電柱に当たり──


バフッ。


横倒し。


カイは宙を舞い、

また地面に叩きつけられた。


「……自分の人生に有給取りたい……」


リュウナはそっと近づき、

濡れた子猫みたいにカイの襟首をつまんで持ち上げた。


「カイ……危なかったよ……」

「おまえがいると全部危ないんだよ!!!」

「でも勇敢だった……」

「勇敢じゃねぇ!! ただの絶望だよ!!」

「海竜はね、綺麗に走る子をパートナーに選ぶの。」

「文化の話すんなぁぁぁ!!!」


リュウナが顔を近づける。

髪の水滴が星みたいに光る。


「カイ……ついに来たね……この瞬間……」


「ど、どの瞬間だよ……!?」


リュウナがゆっくりと爪を上げる。


青い光。


静かな夜。


迫りくる破滅。


「……あなたを、今……やっとマーキングできる瞬間……♡」


カイは跳ね起きた。


「やめぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」


彼は全力で走り出し、

転びまくり、

方向を2回間違え、

犬にぶつかりかけた。


リュウナは追いかける。


魚の天ぷらも追いかける。


夜は更ける。


街は壊れる。


そして──

この星で一番カオスな恋物語は、まだ続く。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ