表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
22/35

第22章 — ターボ買い物カート作戦(そして狂気のレース)

カイはシャンプーでツルツルになった体のまま通路を滑り、

巨大なペットフードの山に顔面から突っ込んだ。


よろよろと立ち上がるカイは、

まだ桃とミントと絶望の匂いを放っていた。


リュウナは後ろで滑りながら、

人生で一番楽しそうに迫ってくる。


「カーーーイ!!!♡」

「滑り方うますぎ! 感動しちゃう!」


「感動するなぁぁぁ!! 逃げてんだよこっちは!!」


カイは滑りながら通路を飛び出し──

その瞬間、見つけてしまった。


買い物カート。

ずらっと並んだ金属の軍団。


カイは狂気の笑顔を浮かべた。


「これだ……」

「カイ? なんでそのカートを武器みたいに見るの?」

「武器だからだよ!!!」


カイはカートに飛び乗った。

座った。

柵を両手で握った。


そして──

全力で床を蹴った。


カートは、ワックスの効いた床の上を

鉄のミサイルみたいに加速!


カイは叫んだ。


「ターボォォォォォォ!!!」


リュウナは感動していた。


「カイ! 人間の乗り物になったのね!! 素敵!!」


カイは棚の横を猛スピードで通り抜け、

スナックを倒し、

米を散らし、

コーヒーを飛ばし、

トイレットペーパーの山を爆散させた。


しかし──


リュウナはただ走って追ってきた。


……そして彼女のほうが速かった。


カイは振り返り絶叫。


「なんで!! なんで制御不能のカートより速いんだよおおお!?!?」

「だって私、恋してるもん♡ 恋した海竜はもっと速くなるの♡」

「理屈ゼロォォォォ!!!」


リュウナが迫る。


カイはカートを左に切った。


切った。


……そして

横転した。


カートは空中で回転し、

カイは吹っ飛び、

意味不明なアクロバットをしながら──


乳製品コーナーに墜落。


バフッ。


頭の上に大量のチーズが降ってくる。


カイは放心しながらつぶやく。


「……人生……嫌い……」


リュウナが現れた。

ぐにゃっと曲がったカートを片手で持ちながら。


完全に玩具。


彼女はキラキラした目でカイを見た。


「カイ……買い物カートをあんなに優雅にひっくり返すなんて……♡」

「優雅じゃねぇよ!! 事故だよ!!!」

「でも……飛んでるとこ、すっごく綺麗だった……♡」

「綺麗じゃねぇぇぇ!!!」


リュウナはしゃがんで、首をかしげる。


「カイ……転んだし……見つけたし……なら、もう“あれ”してもいいよね……♡」


カイは弾かれたように飛び起き、

額についたチーズをむしりながら叫ぶ。


「ない!! ないから!! “あれ”も!! “儀式”も!! “ちょっとした爪痕”も!! なぁぁぁんにもない!!」


リュウナは微笑む。


「そんなに怒っちゃって……かわいい♡」

「かわいくねぇ!! パニックなんだよ!!!」


カイは再び走り出す──


が、ヨーグルトを踏んで滑り、

フリーザーの横の壁にぶつかり、

そのまままたフリーザーの中に落ちた。


バタン。


「なんで!! なんで毎回こうなんだよぉぉぉ!!!」

カイは内部から叫ぶ。


外ではリュウナがガラスをトントン。


「カイ……♡」

「開けるな!!」

「カイい〜〜♡」

「今! 凍死中!!!」

「海竜になれば寒くないよ♡」

「理論がひどい!!!」

「じゃあ出てきて♡」


カイは紫色になりながら扉を開け、

氷の塊のようにフラフラ出てきて、

再び逃走。


リュウナは楽しげに追う。

その笑顔は恋と狂気のミックス。


「カイ〜〜待ってぇぇ♡ まだ印つけてなぁぁい♡」


「つけなくていいわぁぁぁぁぁ!!!」


そして2人は、

スーパーの別のエリアを盛大に破壊し始めた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ