第一幕:〜ブタの目、砂の城〜
やあ、君。今回の物語は、ファウストが天に召された後の話だ。
彼の壊れた魂は、次の誰かに受け継がれた。
もしかして、君の時代にも彼の魂を持つ者がいるかもしれない。
ボクが誰かって?
語り部ファウストさ。
ヨハン・ゲオルク・ファウスト。
君と共に物語を見つめる者であり、
君の友だ。
やあ、君。今回の物語は、ファウストが天に召された後の話だ。
彼の壊れた魂は、
次の誰かに受け継がれた。
もしかして、君の時代にも彼の魂を持つ者がいるかもしれない。
ボクが誰かって?
語り部ファウストさ。
ヨハン・ゲオルク・ファウスト。
君と共に物語を見つめる者であり、
君の友だ。
今度のファウストの魂を引き継ぐ者がわかった。13世紀頃のイタリアのヴェローナの古い石畳の家から始まるんだ。
彼女はカプレット家の娘として、絹のベビー服に包まれた。
この少女の中で、
ファウストの悪魔的な知性と探究心によって壊れた魂が、
雄叫びをあげていた。
彼女の名はジュリエット・F・キャピュレット
Fとはファウストだ。
この秘密の名はボクらだけが、
知っている。
物語が本格的に始まるのは、
13歳頃だった。
それまでは、
彼女の人生は恋愛物語に埋もれていた。
様々なジャンルを読み漁り、
探究していった。
この傾向はファウストの業だと思う。
でも言わせてもらえば、彼女の乳母が年中発情期に入ったようなブタのような女のせいだ。この女は、金に汚いは、恋愛や噂話になると、トリュフを見つけたかのように鼻面を突っ込んでいく。
まあいいさ、話を進めよう。
そのせいで、彼女の世界は麻縄で首を締めあげていくように、狭まった。
もっと周りを見るべきだった。
彼女の周りには、
ある問題があった。
バカな家同士が、
バカなプライドのために、
バカみたいに長く争った。
二つの家名をもつ家は、
互いに争い仲良く貧乏へと落ち込む。
喧嘩両成敗の世の理だ。
彼女の豪華な生活は、
砂の上にある。
彼女の世界が本格的に、
ぶち壊されたのは、この時期だ。
彼女は、金を持つ貴族に売られる。
14歳になり、
出荷される。
まるでブタのように。
ブタみたいな乳母に育てられた令嬢。
彼女は出荷先の大公の親戚の青年伯爵に会わせられる。
彼女は、彼を一目見た時から、
不愉快な男だと判断した。
鋭すぎる知性は青年伯爵をこう結論づけた。
彼女が若いというだけで、
買い取ることを決めた男だ、とね。
(こうして、第一幕はブタの目と共に幕を閉じる。)
こうして、第一幕はブタの目と共に幕を閉じる。
ジュリエットの鋭い視線が、ファウストの魂を呼び覚ます瞬間。次幕では、地獄のファンファーレが響くよ。君も一緒に、ヴェローナの闇を覗いてみないか?