第1話 まだ景品だった
はじめまして。人生で初めての小説投稿になります。
拙い部分ばかりですが、温かい目で見守っていただけると嬉しいです。
どうぞよろしくお願いします!
ここは、愛知県のゲームセンター。
眩しいライトとけたたましい音に包まれた中に、いくつものクレーンゲームが並んでいる。
そのうちの一機で、山積みにされていた。
俺は、ペンギンのぬいぐるみだ。
頭には小さなコック帽、手にはおもちゃみたいなフライパン。
どうしてこんな姿なのかは──もちろん分からない。
まわりには、同じ格好をしたペンギンのぬいぐるみが積まれていた。
コック帽をかぶり、それぞれがお玉やフライ返しを握っている。
何人かが獲得され、いつの間にか俺は上のほうにいた。
そこへ、一人のおばさんがやってきた。
レバーを握る手は不器用で、アームは何度も空を切った。仲間をかすめては落とし、ため息をつきながら、それでもおばさんは何度もコインを入れ続けた。
やがてアームが、俺の手に握られていたフライパンをガチリと挟んだ。
ふわりと宙に持ち上げられた瞬間、下にいる仲間たちが俺に手を振っているような気がした。
自我はほとんどないはずなのに、その光景だけは妙に焼き付いていた。
おばさんは俺を獲得すると、満足そうに笑った。だがその笑顔は俺に向けられたものではなかった。
欲しかったのは俺じゃなく、「景品を取れた」という達成感。それだけだった。
家に連れて帰られた俺は、ほんの少し撫でられただけで、すぐに押入へ。
そこには同じようにクレーンゲームで取られたらしいぬいぐるみや、遊ばれなくなった子どものおもちゃが、雑多に積み重なっていた。
暗くて、静かで、どこかカビ臭い世界。
同じケースの中にいた仲間たちが手を振っていたような光景が、残像みたいに浮かんでくる。
俺は押入れでただ転がっていた。
そのときの俺には、まだ自我と呼べるものはほとんどなかった。




