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瑠璃子

 瑠璃子を不思議そうに見つめる男がいた。その男は長身で髪は長く、かなり痩せている。瑠璃子にはその男の身体から放つ半透明の色が見えていた。その男は瑠璃子の右手の歪みが見えていた。

 ここは最寄りの駅から徒歩十分の場所にある公園。

 芦屋は、まだ霊を操る自覚がない。自分の目に映る空間の歪みが、霊の塊だとは知らない。だから気味が悪いので、歪んで見える空間には近づかないようにしている。その気味の悪い歪みを自分の腕に巻きつけている女性が、前の方から歩いてきた。芦屋は足を止め、どうしても女性の腕が気になり、目を離せなかった。

「これが見えるんでしょ。」

 瑠璃子から芦屋に声をかけた。

「……。」

「名前は?」

「……芦屋正太郎。」

 芦屋は、子供の頃から怖かった歪みの正体を、教えてくれる人だと確信した。

 

 芦屋がインストラクターを勤めるヨガ・スタジオに、瑠璃子が体験レッスンにきた。動きやすい地味な上下のスウェットが、逆に目立つ人気のスタジオだった。それでも瑠璃子は気後れせずに、受付で借りたヨガマットを敷いて、芦屋の動きに合わせてポーズを取り始めた。

 しばらくすると、芦屋が瑠璃子に近づいてきた。

「瑠璃子さん、動きに呼吸を合わせてください。」

 そういって、芦屋は戻っていった。

「えっ?」

 そんな声が、どこからか聞こえた。少しざわざわしている。スウェット姿の瑠璃子を失笑していたグループだ。

「下の名前を呼んだわよね。」

 芦屋目当ての生徒なのが、瑠璃子にもすぐに分かった。

「でも、先生よりずっと上でしょ。」

 確かに、どう見ても瑠璃子の方が年上だが、そういえば芦屋の年齢を聞いてなかった。年齢はどうでもいいが、心を開いてもらわなければ、霊の操り方を伝えることが難しい。

 素人の瑠璃子から見ても、芦屋のヨガは美しい。公園で見たときは、ヒョロっとして華奢な人だと思ったが、まるで別人に見える。身体に芯が通っていて、なのに柔軟性もあり、バランス良く引き締まっている。それに身体を取り巻く半透明な色が、ヨガの何かに影響されて変化している。

 この殺伐とした雰囲気が漂う瑠璃子の周辺に、気づくわけでもなく、芦屋は淡々と流れるようなポーズを決めていく。

 気軽にヨガを習いに来て、気軽に声をかけて、気軽に霊の操り方を教えようと思ったが、気軽に声をかけられる環境ではなかった。芦屋が無口で積極性も無かったので、瑠璃子の方から動かないと、また偶然に公園で会うのを待つことになりそうだったから。

「従姉弟。」あの人たちには、そう言っておこう。

 瑠璃子自身も積極的に何かをするタイプではない。芦屋に霊を操る能力がなければ、そもそも話をすることもありえなかった。家族以外の能力者、強い力を持つ潜在的な能力者を探すことは、賀茂家の末裔の宿命なのだろう。

 帰りに声をかけて、霊の塊があるところに連れて行こうと思っていたが、今日は挨拶だけして帰ることにした。

 レッスンが終わると、芦屋はいつものように早々とスタッフルームに消えていった。瑠璃子も挨拶ぐらいと思ったが、今日は入会の手続きを済ませて帰ることにした。

「これ、ありがとうございました。」

 瑠璃子はレンタルのヨガマットを受付に返し、入会金や月謝を確認した。入会手続きを記入していると、スタッフの女性が瑠璃子にメモ紙を渡してきた。

「先日の公園のベンチで 芦屋正太郎」と書かれていた。


 公園には、薄暗い外灯に照らされた芦屋が、ベンチに座って佇んでいた。

「お疲れさま、正太郎君」

 瑠璃子は芦屋の隣に座り、さっきできなかった挨拶を済ませた。

 改めて時間と場所を用意しても、実際に何から説明すればいいのか迷っている。危険ではあるが、自分が小さい頃から慣れ親しんでいる霊という存在は、一般ではオカルトのカテゴリーに入る実在しないものだから。

 まず、瑠璃子は自己紹介をした。そして平安時代から霊の浄化を行っていること。賀茂家の末裔として、特別な能力を引き継いでいること。霊の危険性、家族以外の能力を持った協力者が必要なこと。

「瑠璃子さんの言う霊と、世間でいう幽霊とは違うんですね。」

 芦屋には、なぜか戸惑いのようなものがなかった。最初からこのオカルト的な話を受け入れている。

「平安時代の呪いや祟りが発端だから霊って言ってるけど、人が持ってるエネルギーの方がしっくりくるかな。」

 芦屋にエネルギーと言う解釈をしたのは瑠璃子だった。

「だとすると浄化というのは、そのエネルギーから力を奪うこと、無力化するということですね。」

 芦屋の質疑は止まらなかった。ヨガ以来の興味の対象のようだ。

 こうして瑠璃子と芦屋は、毎週ヨガのレッスン後に公園で会うようになった。瑠璃子が高校生の娘を持つシングルマザーなので、一時間弱を目安に解散する。芦屋にとっては物足りないが、それでも楽しみの時間になっていた。

 

 レッスン中の芦屋はほとんど口を開かない。他のスタッフに対しても、必要最低限の会話しかしない。無口で、無感情で、無表情の芦屋が、公園で霊の話をしている時だけ口が動く。目も少しだけ開くときがある。

 霊を身体に取り込むことを実技というなら、まだ学科の授業が続いている。

 体験レッスンから半年が過ぎていた。サクラの用事だったり、霊の浄化と重なったりするので、レッスンに行けないときもある。それと芦屋の質疑が多すぎて、なかなか話が進まない。

 

 芦屋の身体に霊が入っていた。慣れないうちは身体へ取り込んだときに違和感があるから、芦屋自身も気づいているはずだ。レッスン中、瑠璃子はそれが気になっていたが、霊を移す気がなければ他の人に影響がないので心配もしていない。情緒が不安定だと無意識に移す可能性もあるが、芦屋の精神は常に安定している。

「河川敷で……。」

 公園のベンチで、芦屋が話し始めた。

「無力化するイメージが、浮かばない。」

「正太郎君の中にある霊を温かく透明で美しいものに変えてください。それを身体から解放しましょう。」

 瑠璃子は芦屋の胸に手を当てて、呪文のように唱えた。

「ダメだね。なんでだろ?」

 芦屋の中にいる霊に変化がみられない。

「もしかしたら、浄化できないタイプなのかな。」

「イメージが……。温かくて美しいもの?」

 芦屋は首を傾げた。形の無いものを思い浮かべるのが苦手のようだ。

「解放というのは、身体の外に出すことですか?」

「どっちかっていうと、消えてなくなる感じかなぁ。」

「……。」

 芦屋は、また目を閉じて集中し始めた。瑠璃子の腕をつかみ、自分の胸に引っ張る。

「あれっ?無くなった。えっ、どんなイメージで消したの?」

「無です。無に霊を吸収させました。」

「……ダークだね。」

 次に霊を取り込むときは、必ず一緒にいるときと約束した。万が一、人に移したとき、無というイメージがどういう影響を及ぼすのかが想像できないから。移すことがないとしても、芦屋の能力よりも強い霊を取り込むと、芦屋自身も危険だし、精神が不安定になる恐れがある。


 海を見たことがない、という芦屋を連れて海に来た。天気も良いので、芦屋を後ろに乗せてオートバイを運転する瑠璃子。サクラのヘルメットはさすがに小さいと思い、古かったが父親のヘルメットを芦屋に被らせた。

 瑠璃子は芦屋に青い海や澄んだ空がイメージできるようになれば、霊の浄化に役立つと思った。それに霊を移すときのイメージで良薬にもなるし、猛毒にもなる。善玉菌にもなるし、悪玉菌にもなる。キノコのように免疫力を高めたり、幻覚を見せることも、殺すこともできる。すべては、霊を移すときのイメージで決まる。

 

「気持ちいいね。正太郎君。」

 潮風に長い髪がなびく。太陽がまぶしく、波の音が聴こえる。

「……。」

 芦屋は、今、この状況の何が気持ちいいのか、わからない。そもそも気持ちが良いという感覚がわからない。確かに海は青いが、見たままの表現以上に何も感じることはない。美しい景色を見て感動させたいらしいが、感動というものがわからない。子供の頃に記憶している感情は、怖かったことだけ。うれしい、楽しい、寂しい、悲しいという感情も意味は理解しているが、自分の中で込み上げてきたことはない。今まで一度も怒ったことすらない。親の愛情というが、芦屋は生まれたときから親を知らない。

 芦屋は情報として、この青い海と澄んだ空を記憶した。瑠璃子が霊の浄化や操るときに必要だと言ったから。

 

 柳原の車が向かっているのは、小高い住宅街。その近くの事故多発という注意看板が設置されている場所。瑠璃子のオートバイは、柳原の後ろを走っている。下りの緩いカーブに入る手前で車を止めた。瑠璃子はこの先にあるバス停を確認してから、柳原の車まで戻った。

「バス停がどうかしたのか?」

「なんでもない、行こ。」

 後日、芦屋を連れてくる予定なので、バス停が手前と先とで近いほうを確認していた。バスならカーブの先で降りたほうがいい。

「このカーブ、霊に反応する人だとヤバいね。無意識に林の方へ顔を向けちゃうよ。」

「だから、事故が多いんだろ。」

 柳原のこういう言い方に、瑠璃子はイライラする。元刑事だからなのか、性格なのか。特に瑠璃子の父親が引退してからは、笑った顔を一度も見たことがない。もちろん頼りになるし、感謝もしてるが、絶妙な距離を感じる。

 その林の方へ降りて行った。

「この場所って、霊が溜まりやすいんだね。」

 似たような大きさの霊の塊が、三個並んでる。小さな霊は吸収されて、同化しているようだ。

「三個か。」

「うん、三個。」

 柳原は、瑠璃子のようにはっきりと霊が見えるわけではないので、必ず数を確認する。瑠璃子はそれに応える。

 何も言わずに、柳原が左側にあった霊を取り込み始めた。少し残ったが、そのまま浄化に入った。目を閉じて、黙って深呼吸をしている。1分ほどで取り込みから浄化までが終了した。

「ちょっといい?」

 次の霊を取り込もうとしたとき、瑠璃子が声をかけた。

「なんだよ。」

「ねぇ、浄化するとき、どんなこと考えてんの?」

 瑠璃子は、柳原が取り切れなかった霊の残りを自分の身体に取り込んだ。

「何も考えてねぇよ。」

「……、そんなわけないでしょ!」

「そんなわけって、しょうがねぇだろ!考えてねぇんだから!浄化してるときに心臓がバクバクいうから、落ち着かせるために深呼吸はしてるけどな。それも癖みたいなもんだ。」

「そうなんだ。」

 芦屋が浄化するときの参考になるかと思い、聞いてみたが、瑠璃子の思いと真逆の答えが返ってきた。むしろ何も考えていないのなら、芦屋の『無』のほうが近い。

「次、いくぞ。」

 柳原も、瑠璃子に対してイライラしている。質問があれば答えるが、何のための質問なのかを教えないからだ。自分だけならいいが、サクラに対しても本音で会話をしていない。だから高校生なのに、芸能界なんていうふらふらした世界に足を突っ込んじまったんだ。と、柳原は本気でそう思ってる。

「ちっ、カラスが来た。」

 カラスが霊のそばに来たときは、霊を操ってはいけない。カラスには霊が見えるらしく、カラスが霊に触れているとき、霊を身体に取り込むと、恐ろしいことが起こると言われている。カラス憑きと言い、これは賀茂家の言い伝えで、本当に何かが起きるとは誰も信じていない。ただ何らかの理由があると思い、迷信とはいえ、カラスが近くにいるときは霊を操らないようにしている。

「どうする?」

 カラスが柳原に対し、威嚇するように鳴いている。

「今日は止めよ。なんかあったら嫌だし。」

「なぁ、さっきの。お前は浄化するとき、なんか考えんのか?」

 この場から退散しようと、柳原は下を見て歩き出した。

「お前って言うな!って何度も言ってるでしょ。呼び捨てでいいから、名前で呼んでくれ。」

 瑠璃子は、本気で怒ると言葉が雑になる。

「はいはい、瑠璃子さん。」

 柳原は名前を呼ぶのが照れるらしい。そのことを瑠璃子もわかっているが、お前と呼ばれるのも嫌だった。

「私は、透明感のある空とか海とか、頭の中を光でいっぱいにしたりとか。人に移すときも一緒。」

 瑠璃子は、さっき取り込んだ少量の霊を柳原に移した。

 

 日曜日。午前十一時から午後三時まで、芦屋のレッスンが空いている。その時間を利用して、カラスのために浄化できなかった霊を芦屋の練習用にする。

 いつも利用している公園前からバスに乗った。バスの利用客は思った以上に多く、瑠璃子と芦屋は並んで座ることになった。背筋が伸びて姿勢の良い芦屋は、バスの中でもかなり目立っていた。

 こんなところを芦屋の生徒に見られたら、ぞっとする。従姉弟という設定はどこまで通じるだろう?そんなことを考えてる割に危機感はなく、瑠璃子は何気に窓の外を見ていた。

 目的の一つ手前のバス停を発車し、瑠璃子は『次停まります』のブザーを押した。

 小高い住宅地を抜け、下り坂に入ったとき、突然、バスの運転手が苦しみ出した。緩いカーブを曲がらず、動かなくなった身体はハンドルを固定し、対向車に脇から突っ込まれ、横転したまま道路脇の花壇を飛び越えて林の手前で止まった。

 強い衝撃を乗客全員が受けた。右側に転倒したので、左側の乗客は席から放り出された。堪えた人も数名いた。苦しそうに声を上げる人、意識を失ってる人、すでに亡くなってる人。

 瑠璃子は右側の窓際に座っていた。芦屋は瑠璃子を覆い囲むような姿勢で耐えていた。瑠璃子の呼吸を確認すると、座席を伝って運転手のところまで移動した。

 運転手の呼吸は完全に止まっていた。霊が消えずに身体から分離していたので、芦屋は自分の身体に取り込んだ。瑠璃子のところへ戻り、右手に意識を集中し、瑠璃子の身体に霊を移した。

「痛ぇっ。身体中が痛いんだけど、……なに、どうなってんの?」

 瑠璃子が意識を取り戻した。

 瑠璃子は移した霊が、毒なのか薬なのかを確認した。

「大丈夫みたい。それより、苦しそうな人に移してあげて。」

 意識は戻ったが、瑠璃子のケガの状態は人の心配をしている場合ではない。

 苦しむ人たちの声が、バスの中に響いている。

「……?」

 芦屋は、どうして他の人に霊を移すのか、意味が分からなかった。ただ瑠璃子に言われたから、移し始めた。しかし瑠璃子を含めて四人分で無くなった。バスを見渡しても、亡くなった乗客で霊を残してる人はいない。

 バスの方に誰かが近づいてくる。ケガをしているようだ。おそらくバスの脇に突っ込んできた乗用車の運転手だろう。

「もうすぐ、救急車が来ますから、安心してください!」

 横転したバスの正面に回り込み、大声で叫んだが、ほとんどの重症患者の耳には届かなかった。

 芦屋は、天を向いている左側の窓から、まわりを見渡した。道路とは反対側の林の手前に、霊の塊があった。そういえば、緩いカーブのところに事故多発と書いた看板があった。その窓から外に出て、林の手前にあった霊を取り込んだ。

「カァ~。」

 霊のそばにいたカラスが、芦屋を威嚇するように鳴いた。

「君、大丈夫なのか?中の人たちは無事なのか?」

 その言葉を完全に無視して、またバスの中に戻った。

 横転しているバスの中の移動は、足場も悪く歩きにくい。芦屋も足をケガしているらしく、バランスを取るのに苦労していた。よく見ると、背中もケガをしていた。バスが横転したとき、左側の乗客と荷物が芦屋の背中に落ちてきたのだ。

 それでも芦屋は、瑠璃子に言われた通り、苦しんでいる人に霊を移し始めた。芦屋にとっては、霊を操るためのレッスンぐらいにしか思っていない。

「正太郎君、あなたも血が出てるけど。」

「……さっきバス停を降りた男性が、ドライバーに霊を移してました。」

 瑠璃子の隣に戻ってくると、そう言って気が抜けたように気を失った。

「正太郎君!なに、えっ、どういうこと?」

 パトカー、救急車、消防車など、サイレンが響き渡る小高い住宅街。

 

「……生存者は、八名です。そのうち意識不明の重体が三名、そして運転手を含む十三名の死亡が搬送先の病院で確認されました。前代未聞の大事故です。」


 事故から一週間後、瑠璃子は搬送先の病院に入院していた。警察からいろいろ聞かれたが、「気づいたら、バスが横転して……。」としか答えられない。

 芦屋はどこにいるのだろう?この病院に搬送されたのかもわからない。生存者の名前に芦屋の名前もあったから、治療を受けて、警察の事情聴取も受けているはずだ。警察から芦屋の名前が出てこないのは、芦屋が一人で乗車したと証言している可能性が高い。もしくは、聞かれなかったか。

「とにかく、命があることに感謝だな。なぁ、サクラ。」

「ほんとだよ、もう。」

 瑠璃子の手を握り、涙ぐんでるサクラを見ると、最近までのプチ反抗期はよその家の出来事のように思えてくる。

「結局助かったの、五人だけなんだね。」

 瑠璃子は深いため息をついた。

 芦屋が霊を移しても、そのときにはもう手遅れだったのか?っていうか、最初に芦屋が移した霊って、どこから取り込んだの?あっ、誰かが運転手に霊を移したって芦屋が言ってたような……。芦屋から話を聞かないと、いや、……聞いたって何も変わらないのか?瑠璃子は、なんだか吐き気がしてきた。

「ママ。看護師さん、呼ぼうか?」

「あっ、大丈夫。いろいろ思い出したら、気持ち悪くなってきて……。」

 さすがに、あのときのバスでの状況は思い出したくない。バス中からうめき声が聞こえてくる。みんな、血を流してた。かろうじて会話をしてたのは、瑠璃子と芦屋だけだった。そして動けたのは芦屋ひとり。

「あれっ、サクラ、学校は?」

「今日は、日曜日だよ。」

 

 翌日、瑠璃子のところに刑事が二人来た。

「この男性、ご存じですよね。」

 浅沼という男性の刑事が、瑠璃子に芦屋の写真を見せた。

「はい。」

「あのバスに追突した車の男性が……。」

「すいません。あのバスって、追突されたんですか?」

 余計なことを言わないつもりが、刑事の衝撃発言に反応してしまった。

「知らなかったんですか。あの、今回は確認だけで長話をするつもりもありませんから、大丈夫ですから。」

 大丈夫って何が?あっ、そういうことか。刑事が、瑠璃子と芦屋の関係については触れません、という意味を匂わせていることに気づいた。

「その車の男性が、心配して様子を見にバスのところへ降りてきたら、この写真の男性がおかしなことをしていたって言うんですよ。」

「おかしなこと?」

「とはいっても、バスから降りて、また戻っただけなんですけどね。」

「それの何が?」

「いやね。外へ出たとき、威嚇するカラスに向かって、何かしてたらしいんです。その男性が『大丈夫ですか?』って声をかけても聞こえてないみたいで、気味が悪かったって言うんですよ。そのまま、またバスに戻っていったそうです。」

 そういって浅沼は、瑠璃子の顔を見た。

 芦屋は、カラス憑きの霊を移していたのか?迷信だと思っても、瑠璃子の動揺は隠せないほどだった。

「どうかしましたか?」

 浅沼は、目を細めた。

「いや、何でもないんです。思い出すと血圧が上がって、吐き気がするんです。」

「そうですか、申し訳ない。で、お聞きしたいことは、芦屋さんがバスの中で何かされてましたか?」

 簡単な話だ。目撃者が、おかしな人がいた!と言ったから、おかしなことをしていたかを確認しているだけだった。事故の原因とは全く関係性はないが、念のため火事場泥棒のようなことが起きていないかを聞きたかっただけらしい。

「何もしていないと思いますけど。普段から、口数の少ない方なので……。」

「普段というのは?」

「浅沼さん!」

 浅沼の言葉を、高田という女性の刑事が止めた。

「ヨガ教室ですけど。」

 どうして男女コンビで病室に来たのか?たぶん、女性の病室だから。今の警察は、いろんな制限があって大変なのだろう。きっと瑠璃子と芦屋の関係も、事故とつながりがないため、プライベートな質問には立ち入れないのかもしれない。

「芦屋さんのケガは?ご存じないですか?」

「それも知らないんですね。彼なら、もう働いてますよ。」

 刑事たちは、あっさり帰っていった。


 瑠璃子のヨガは、かなり上達していた。初心者コースからのステップアップも考えている。今回の事故の件で、一緒のバスに乗っていたことも話題になり、あのクラスは居心地が悪い。芦屋が養護施設で育ったことは知られており、従姉弟という設定には無理があった。偶然乗り合わせたと言い張るつもりだが、たとえその嘘が本当だとしても、人というのは都合のいいほうにはなびかない。

 一ヶ月後、ヨガ・スタジオでコースの変更をお願いした。受付の女性が、書類の記入をしている間、瑠璃子のケガの心配をしてくれた。

「森川さんって、森川サクラちゃんのお母さんなんですね。」

「えっ、はい。」

 事故のニュースで、サクラも話題になっていた。奇跡の生還者の娘として、どこかの週刊誌に書かれていたのだ。同じ苗字だから、気づく人が気づいた程度だが。

 久しぶりのヨガ。今月中は初心者コースのままだが、来月からは曜日と内容が変わる。しかし、この初心者の教室に変わったことがあった。この教室には芦屋の他にもう一人、霊を操れる男がいたのだ。芦屋ほどの能力は感じないが、芦屋の前に見つけていたら、声をかけていたかもしれない。

「初めてですよね。よろしくお願いします。内村と言います。」

 向こうの方から、瑠璃子に声をかけてきた。

「よろしくお願いします。森川です。」

 握手を求めてきたが、丁寧に深々とお辞儀をし、取り繕った。

 どうせ、来月からは会わないし。

 すぐにレッスンが始まり、事故の後遺症と硬くなった身体が悲鳴を上げた。ステップアップの手続きを後悔した。そんな瑠璃子を見て、気のせいかもしれないが、芦屋の顔が緩んだように見えた。

 レッスンが終わり、いつもの公園に芦屋が来ることを信じ、片付けて教室を出ようとした。芦屋が気になり、何気に振り返ったら、内村と芦屋が会話をしていた。スタッフ以外で芦屋と会話している人を初めて見た。

 悪いことではないが、よりによってお互いが霊を操る人だとは。一般の人が自力で能力を自覚することは、可能性は低いがゼロではない。教室に霊を持ち込まないように気をつけよう。

 

 信号が黄色に変わり、柳原はいつも通りにブレーキペダルを踏み始めた。いつも通りに車は止まる。

「ブレーキ、もっと優しく踏んでよ!」

 いつも通り、瑠璃子は柳原の運転にケチをつける。

 その交差点を左折し、コンビニの前を通り過ぎると、まもなく登り坂に入る。バス停を通り過ぎて車が坂道を登り始めると、瑠璃子の様子がおかしくなった。目を強く閉じ、両手を胸の下で組み、ため息のような呼吸になっている。

 柳原は、優しくブレーキを踏んでハザードを点けた。

「……やめるか。」

「ふぅ、血圧が上がったみたい。うん、大丈夫。行こ。」

 深呼吸をして、瑠璃子は落ち着いたそぶりを見せた。

 しょうがねぇな、と言いたげな顔で、柳原はまた車を走らせた。

「源蔵さん。ハザード。」

 柳原は返事もせずに、ハザードのスイッチを切った。

 事故現場の緩いカーブの手前に車を止めた。もう一ヶ月以上経つというのに、花やいろいろなお供え物が飾られている。瑠璃子と柳原は、手を合わせて冥福を祈った。

 林の方へ降りていくと、手前にあった霊の塊が一つだけになっていた。

「どういうことだ。」

 瑠璃子は、芦屋のことを話し始めた。

「……、まだ名前は言えないけど、もう少し知識と技術を身につけたら、源蔵さんに紹介する。それで霊の浄化の練習にこの霊を使おうとして、バスに乗ってきたの。そしたら、事故にあって。」

「その男が、あの霊を使ったってことか?」

「うん、間違いなく。私は霊を移してもらったとき、回復していくのを感じたの。だから、みんなに霊を移してって。……それなのに、ほとんどの人が助からなかったでしょ。どうしてなんだろう。それにカラス憑きの霊かもしれないけど、私、ほらっ、元気でしょ。」

 風が吹き抜けた。もう身体は元気なのかもしれないが、心は入院中と変わらない。

「霊を移して助からなかったのは、もう手の施しようがなかったんだろ。カラス憑きの霊は、ただの迷信だ。……もういいだろ、帰るぞ。」

 昼間の服装のままでは、少し肌寒い。それにここは小高く風の通り道になってるようだ。

「お前がその男と会ってんの、見たよ、賀茂神社で。ヒョロっとしたやつだろ。」

 柳原は寒さに耐えきれず、車のほうへ戻りだした。わざと「お前」と言って怒らせようとしたが、別に大した反応もなく、瑠璃子は黙って柳原の後ろを歩き出した。

 車に乗ってエンジンをかけたとき、残りの霊を浄化しに来たことを思い出したが、いまさら戻る気にもなれなかった。

 

 芦屋と霊を操るときは、賀茂神社で待ち合わせをしている。待ち合わせといっても、瑠璃子にとっては家にいるのと変わらない。芦屋がわざわざ足を運んでいる。人目につかず、安心して練習ができるからだ。

 賀茂神社近くの国道に止まるバスは、最寄りの駅から三十分おきに出発している。練習時間を一時間だとすると、レッスン終了後に乗れるバスは二本だけ。三本目に乗ると帰りのバスに間に合わなくなる。だから二本目のバスに芦屋が乗っていないときは、今日はもう来ないとわかる。

 アナログな約束だが、二人とも連絡先を知らないから、慣例が生まれる。そしてこの約束は、天気の良い日、雨が降らない日というのが原則なので、賀茂神社で実技をするときはオートバイでヨガに行く。電車とバスを乗り継ぐよりも、圧倒的に早い。

 芦屋が来る三十分前には、うす暗い神社に明かりを灯し、事務所のお湯を沸かす。

 境内にはしめ縄で結界をしている場所がある。神聖な場所といわれているが、その由来を正しく知っている人はいない。ただ外灯の配置的なこともあり、この周辺が練習場所になる。

 いつものように、芦屋が黙って境内に入ってきた。挨拶もなく、すーっと入ってくるので、初めて来たときは心臓が止まるかと思った。でも芦屋なので仕方がない。

「最初のバスに乗れたんだね。」

「はい。」

「じゃあ、少しだけ霊を移して。」

「はい。」

 バスの横転事故のときより、霊の質が良くなってる。あれから何度か練習したけれど、霊の扱い方はスマートになり、芦屋自身の負担も軽くなったはず。しかし霊の質に変化は感じなかった。今日は違う。あれだけ辛かった下腹部の痛みが、じんわりと治まっている。生理痛のイライラも消えたようだ。

「前よりも間違いなく、治癒力が高くなってる。」

「あぁ、そうですか。」

 芦屋にも心当たりがあるようだ。プラスに作用する新しいイメージを見つけたのかもしれない。

「うん。腹痛が酷かったんだけど、治まったみたい。頭痛も治ったかな。」

 なんとなく、芦屋には生理痛と言いにくかった。

「霊を取り出す前に、圧縮して物に移してみたいのですが。」

「えっ、どうして?」

 まさか呪いたい人がいるのか?とは聞けない。

「もっと治癒力の高い霊を移せれば、部屋に置くだけでヒーリングの効果を出せないかと思って。」

 瑠璃子は、そんなことを考えたこともなかった。賀茂家の末裔として生まれ育ったから、使命として霊の浄化活動をしているだけ。仕方なく、と言っても嘘じゃない。誰に感謝されるわけでもなく、油断すれば命を落とす可能性もある。見返りはある。国からの報酬と引退後の年金。

 しかし芦屋は見返りもなく、純粋に他人の健康や幸せを考えている。

「すごいね。素敵だと思う。」

 圧縮した霊を鏡や人形に移し、相手を呪う。そういう迷信が本当にあったのかは知らないが、それを病気や死ではなく、治癒に使用するという発想らしい。呪いの場合は、相手がそれを手にした瞬間、霊が移ってしまう。芦屋が望むのは、移した霊を芳香剤のようにじわじわと時間をかけて放出すること。

 イメージする能力が高ければ、すべては可能だ。イメージがすべてだから。問題は瑠璃子も経験が無いということ。それでも無機質な物質に霊を本当に移せれば、その先へ進めるようになるはず。

「まずは、鏡や人形の人工物じゃなくて、こういう石、自然のもので試そうか。」

 瑠璃子は少し大きめの石を手に持ち、芦屋に渡した。

 芦屋は石を持つ手に集中し、霊を移そうと試みた。芦屋なりにイメージを変えながら何度か挑戦しても、霊が移ることはなかった。

「難しいね。まぁ、これからだよ。私もいろいろ試してみるね。とりあえず、今日はこのくらいにしよ。ほらっ、今日は身体から霊を出す方法を知りたいんでしょ。」

 瑠璃子は、たぶん呪いのほうが簡単だと思った。目的がより明確で、気持ちも憎しみや恨みのほうが強いから。

「身体に、ドンっていう衝撃が来るからね。」

 瑠璃子は手に霊を集中させ、芦屋の胸の下に手のひらをぶつけた。身体には触れていないが、霊と霊の反発を利用するので皮膚や筋肉ではなく、身体の内側にダメージを受ける。それでも普通の霊なら、慣れないから驚くだけでダメージは少ない。

「おふっ。」

 芦屋が珍しく変な声を出した。

「ごめんね、痛かった?」

「いえ、大丈夫です。」

 芦屋が後ろを振り向くと、そこに自分の身体から抜けた霊が漂っていた。

「どうして、瑠璃子さんと私の霊の見え方が違うんですか?」

「正太郎君。四色型色覚って、聞いたことある?」

 瑠璃子のように霊が色つきの半透明に見える人。芦屋のように歪んで見える人。その違いは、四色型色覚のように瑠璃子には普通の人よりも多く色が見え、さらに網膜ではなく目を閉じても霊が脳内で映像化される。これが賀茂家の末裔の遺伝的特徴。芦屋のように歪んで見えるのは、視細胞に異常があり、霊を取り込める体質にその異常の原因があるらしい。色の見え方は、色覚異常の人と同じ。

「どう?」

「……。」

「土御門家の研究施設で、霊が歪んで見えるサングラスとライトを開発したらしいよ。ライトは夜用だって。」

「……。」 

「そんなの興味ないよねぇ。私も、全く理解はしてないし。」

 芦屋も聞いては見たものの、途中から耳が拒絶しそうになっていた。

「瑠璃子さん、ご飯、美味しかったです。」

「えっ、……あーっ、前に来たとき雨降ってきたからね。私、料理苦手なんだけど。良かった、喜んでもらえて。……って、いつの話よ。もう。」

 前回、この賀茂神社で待ち合わせしたとき、突然雨が降り出したので、瑠璃子は傘を持ってバス停で待っていた。芦屋を乗せたバスが到着しても小雨は続き、その日は練習を中止にして家でご飯をご馳走した。サクラも仕事で遅くなるから、本当に適当な料理だった。

「霊の治癒力が高くなったのは、おそらく瑠璃子さんのおかげです。」

「どうして?」

「料理をいただいて、とても気分が良くて、幸せというのは、こういうものなのかと。瑠璃子さんの顔を見るとそのことを思い出すよう……。」

 話の途中に、瑠璃子は芦屋を優しく抱きしめた。

「ごめん、正太郎君。ハグしていい?……もう、してるけど。」

 この人は、本当に純粋なだけなんだ。でも私の料理を食べて霊の治癒力が高くなるなんて、うれしいけど怖い。もしもキスやセックスをして芦屋が幸せを感じてくれるなら、どんな病気も治せるような治癒力を持つのだろうか。

「はっ!」

 なんてことを考えてるんだろう。瑠璃子は心のモヤモヤをかき消してから、静かにハグを解消した。

「よし!正太郎君、料理を美味しく食べてくれてありがとう。また作るから食べに来てね。」

「……はい。」

 何かを決心したような食事の誘いに、芦屋は戸惑いながらも返事をした。そして取り出した霊をまた身体に戻したとき、何かいつもと違う身体の異変を感じた。

「正太郎君のオーラが、すごいことになってる。それって、調子がいいの?それとも悪いの?」

 瑠璃子も異変に気づいていた。瑠璃子の目には、芦屋の身体が炎に包まれていたから。

 芦屋がさっきの石を手に持った。すると身体中の炎がその石に集中し、芦屋はいつもの色のついた半透明なオーラに戻っていた。炎が揺らめくその石は、どんな念のこもった霊が閉じ込められているのだろう。

 芦屋は、その石を瑠璃子に渡した。

「いいの?……すごくキレイな石。」

「そうなんですか。私には歪みしか見えませんので。」

 石に霊を移す。さっきまで移せなかったのに、今、当たり前のように移した。芦屋の身体に何かが起きたのだろうか?瑠璃子よりも能力が高いかもしれない。でも芦屋に何かを望むのは、無駄だと思った。浄化を手伝ってもらうことも、芦屋にとっての負担にしかならない。この男は仕事や使命などでは動かないし、ましてや縛ることもできない。

「この石は、結界の中に隠しておくね。パワーが強すぎるよ。」

 瑠璃子がそう言うと、芦屋はただ頷くだけだった。

 

 数ヶ月後、瑠璃子は賀茂神社で殺された。

 

 初七日を終え、瑠璃子の父親が土御門家の新堂と話をし、福井へ帰ることになった。新堂の判断で、あえて父親には瑠璃子の霊の存在を知られないようにした。気づいたら、必ず身体に取り込んで、命を懸けてでも浄化しようとするから。しかし新堂が本当に恐れていたのは、そのことではなかった。土御門家の資料にある鬼のことがあったから。資料には血液などの物理的な内容で残されているが、話の矛盾を取り除くと、血液ではなく霊を移している可能性が高いのだ。

 父親が霊に近づけないように、現場検証が終わっても立入禁止のままにしてある。

「源蔵。本当に申し訳ないが、サクラのことを頼んだぞ。」

「あとのことは心配しないでください。サクラは大丈夫ですから。」

 柳原は、瑠璃子の父親を駅で見送った。一緒に霊の浄化をしていたとき、あれだけ大きくて頼りがいのあった人なのに面影すら感じない。警察時代のどんな先輩よりも怖かったのに……。

「瑠璃子さんの霊は、土御門家で何とかします。」

 サクラのいないところで、新堂と柳原が相談を始めた。

「あそこは何も建てちゃいけないって聞いてたけど、祠とかで囲わねぇと危険だろ。どこかに転がって見失ったら、お手上げだしな。」

「そうですね。上に相談して早急に手を打ちます。」

 新堂がそう言うんだからと、土御門家に任せることにした。

 サクラは学校に通っている。慌ただしく騒がしい葬儀に、逆に救われたのかもしれない。学校の友達、同じアイドルグループの仲間、芸能事務所の面々、そしてマスコミ。バスの横転事故から一年以上経っているが、その流れもあり、売れないアイドルにもマスコミが集まったようだ。おかげで、途中から悲しみに浸る余裕もなくなっていた。葬儀が終わり、まわりが落ち着いたとき、気がついたら肩の力が抜けてなんだか笑ってしまった。そのときに気持ちの切り替えができたのかもしれない。

 柳原に呼ばれ、サクラは賀茂神社に来た。

「サクラ。瑠璃子さんの霊、本殿に移動したんだってよ。」

 柳原に言われ、サクラは拝殿の前から、裏にある本殿へ足早に歩き出した。

「あっ、ここからでも感じる。」

 歩き始めてすぐに、サクラは母親の霊を感じ取った。そして本殿に上がり扉を開けると、人が座って入れるくらいの箱が置いてあった。蝋で固めた和紙が全体に貼られている。

「瑠璃子さんは、神様として祀るんだってよ。聞いてたか?」

「新堂さんから電話はあったけど、出られなかった。折り返しもしてないけど。」

 ここに母親がいる。しかも感じることができる。話をすることはできないけど、そばにいるだけで安心する。芸能活動を始めたのは、母親と森川家の血筋に対する反抗だった。母親も苦しんでたはずなのに……。

 新堂から引っ越しするようにいわれたが、高校を卒業するまで延期してもらった。ここなら、毎日母親に会えるから。卒業後は、この家に柳原が住むことになり、サクラは土御門家が管理するマンションに引っ越す予定だ。

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