***初収入♪***
とんでもない結果で冒険者登録試験を終了したコウ
ギルドはギルドで何やら画策している様子だがはたして…
2人が何やらいろいろ話している間に僕らは登録とパーティー申請をしていた
「これで登録とパーティーの申請は終了よ?」
「かたじけない
でわクエストの報告も頼む」
「確か今回は狼5頭の退治だったわね?」
なんか試験の後マリアンさんの口調がいきなり砕けたような気がするな…
「ああ、その通りだ」
「じゃあ牙の提出お願いね?」
「それが…牙だけじゃないんだ…」
「あら?
獲物ごと持ってきたの?
ロゼさん達にしては珍しいわね?
じゃあ奥の解体場に行きましょうか」
僕らはマリアンさんの案内で解体場に行こうとした
「ちょっと待った!」
ギルマスが突然僕らを呼び止めた
「シジイが気になるって言うから俺らもついてくぜ」
という訳で僕らはマリアンさんの案内の元、ギルマスオルセンさんとスレイヤスさんを伴って解体場に向かった
解体班を呼ぶ前に僕は3人に忠告した
「すみませんがこれから見る事はあまり公けにはしないで下さいね?」
マリアンさんは首を傾げたがギルマスとスレイヤスさんは無言で頷いた
僕はリムの顔を見る
リムもコクりと頷いてくれた
「亜空間収納!」
僕はあえて叫びながら今日1日で倒した解体してない獣を全て出した
ドーーン!
大猪1頭
ワイルドボア2頭
狼35頭…
「なんと!
亜空間収納の魔法まで使えるのか⁉
大型アイテムバックかと思ってついてきたんじゃが…
こりゃたまげた!」
さすがのスレイヤスさんも目をまるくしてびっくりしている
「コウ殿!私達と会う前に1人でワイルドボアを倒していたのか⁉」
「うにゃー⁉びっくりにゃ!」
「おいおい…狼35頭って…
てゆーか、こいつぁグレイウルフ?
上位種のブラッディウルフまでいるじゃねえか!」
「ロゼさん!これだけの狼の大量発生も魔物の発生も大事ですよ⁉
緊急討伐クエストを発生しないと!」
「マリアン、今日はもう遅い
明日の朝イチに討伐隊を組むからそれだけ告知を張っておけ!」
「わかりました!」
マリアンはダッシュで緊急討伐クエスト報告を張り出しに向かった
「さて…
こいつの処理だが…」
確認したところ狼のうち1頭は上位種魔物のブラッディウルフ…こいつが集団を率いていたらしい
他にはグレイウルフが7頭もいた…
「どうやら森全体の魔素が急激に増えているか大きな魔素溜まりがあるかのようですね…」
リムが淡々と分析する
「嬢ちゃん、くわしいのお」
「常識として知っていただけです」
悪気がある訳ではないだろうが淡々としている分だけ
ギルマスやスレイヤスさんには他人事のように聞こえるかも…
少し人との会話の仕方を教えておく必要があるかもしれない…
「で、こいつら全部買い取りでいいのか?
ボア肉は旨いし牙や毛皮は貴重な素材だぜ?」
「普通の猪肉はあるし明日にはまた討伐にでますからワイルドボア1頭分の牙と毛皮だけもらえば今夜加工する分も足りるんで他は買い取りでお願いします」
「了解だ
おーい、解体班ーっ!
全員集合ーっ!」
「へいっ!」
「ワイルドボアの牙と毛皮1頭分以外買い取りだ
それと明日から緊急討伐クエストだから人集めしとけ!」
「了解でさあ!」
ごっつい男が8人、手際よく捌き始めた
「うちの解体班は10人だが緊急時は肉屋や素材屋、経験者にも声かけるから明日の午後からは大人数だぜ?」
「退治ターゲットは?」
「基本的に魔物は片っ端から退治だな
あとは熊や狼なんかの一般人に迷惑かけそうなのは退治でいいぞ?
お前らは出来るだけ大物倒してくれると助かるがな?」
「じゃあ今夜は報酬貰ったら早めに宿とって寝るとします」
「おお、そうだ
小僧とちっちゃい嬢ちゃんはDランクな?
明日の成果によっちゃあCランク昇格で6人でBランク昇格試験受けに王都のギルドに行ってもらうぜ?」
「えっ⁉私達もですか?」
「こいつらロゼ嬢ちゃんのパーティーメンバーだろ?
だったら当然だろが」
ロゼさんも困惑するよな…
それにしても初日にBランク昇格の話になるとは…
「じゃあ受付で手続きして金もらいな
牙と毛皮はもっていってやる」
「はい、ありがとうございます」
「小僧はもっと男らしくしてな?
こんな綺麗な姉ちゃん5人とパーティーなんだから野郎共にケンカ売られるぞ?」
「はい…じゃなくて
ああ、わかった!…」
「ちっ、つええのにしまらねえ小僧だな(笑)
まあ、あの試験見た奴らは間違っても絡まねえだろうがな?ガハハハ」
そう悪態をつきながら手をひらひらさせて“さっさといけ”とでも言いたげだった
笑ってはいても元勇者パーティーのプライドが悔しい気持ちにさせてるんだろな…
僕らはマリアンさんのところに行ってギルドカードを受け取った
「こちらがコウさんのギルドカードです
ギルドマスターの指示で明日の討伐予定の成果を含めてCランクでさせていただいております」
いいのか?そんな皮算用で…
氏名 コウ=タバタ
職業 魔剣士
ランク C
ん?魔剣士?
爺さんの入れ知恵かな?…
「コウ殿、報酬だが私達4人は狼10頭分の報酬だけで構わん、それ以上の対価にバックまで貰ってしまっているのでな?」
“コウ様、ここは遠慮しては失礼になります
彼女達は既にCランクで稼いでおりますがこちらが無一文なのも周知されておりますので…”
確かに…
「わかった
じゃあ今日のところは遠慮なくいただくよ♪」
「でわ本日の報酬ですが…
討伐報酬5頭 銀貨10枚 プラス依頼報酬 銀貨4枚
追加討伐分27頭 銀貨54枚
魔物退治料金として
ワイルドボア2頭 金貨4枚
グレイウルフ7頭 金貨7枚
ブラッディウルフ1頭 金貨3枚
2メートル超の大猪は討伐にはなりませんが素材は買い取りですのでロゼさん達は銀貨24枚ですのでお一人様それぞれ大銀貨3枚となりますがよろしいでしょうか…」
「うむ、全然大丈夫だ!」
この世界の貨幣価値は聞いたところによると
青銅貨1枚 50円
銅貨 500円 青銅貨×10
大銅貨 1000円 銅貨×2
銀貨 5000円 大銅貨×5
大銀貨 1万円 大銀貨×2
金貨 10万円 大銀貨×10
白金貨 100万円 金貨×10
白金板 1000万円 白金貨×10
白金板は王城のみの発行でオークションや大手商会との取引、王都依頼の高額報酬で王公貴族のみが使える
宿代を考えたら銀貨6枚じゃせいぜい4日分といったところだろう…なんか申し訳ないが明日から一緒のパーティーで取り戻させてあげよう
「でわ続けて素材の買い取り価格の査定ですが質の良い物、悪い物含めて素材別の価格だけ申し上げますね?
先ずは肉ですが
普通の狼の肉は筋ばって食肉価値が低いので全部で銀貨4枚
グレイウルフとブラッディウルフの肉は魔素で柔らかいので合計銀貨7枚
大猪の肉は銀貨2枚
ワイルドボアの肉は銀貨8枚です
狼の骨や牙は骨粉にして肥料にしかならないので銅貨6枚
グレイウルフの骨と牙、ブラッディウルフの骨は薬の素材として銀貨5枚
ブラッディウルフの牙、ワイルドボアの骨と牙は鍛冶そざいとして金貨1枚
狼の毛皮は銀貨12枚
グレイウルフの毛皮が銀貨13枚
ブラッディウルフの毛皮は銀貨15枚
ワイルドボアの毛皮は金貨1枚
以上の合計で
金貨20枚、大銀貨6枚、大銅貨3枚になります」
ん~っ…
1枚当たり金貨が10万、銀貨が5000、銅貨が500だから…
200万の6万の2500…
何!?…206万2500円???
たった1日でか?
彼女達の取り分を考えたらそれほど稼げないのかとおもったけど…全部で山分けしても1人46万じゃないか…
いいのかな…俺だけもらって…
“コウ様、Cランク冒険者ともなれば一回のクエストで1人頭5万~10万がざらで最低の日でも獣退治だけで2万は確実に稼ぐ能力を持っているのですよ?
ですからコウ様のご心配はかえってCランクのプライドを傷つけてしまいます
まあ高ランク冒険者に寄生してランクを金で買うような実力D以下の貴族も山ほどおりますけどね?”
“あいつか…
確かに全然強そうには見えなかったしな?”
“あ奴のパーティーは何十人もの騎士に守られてDランククエストを山ほどこなしてCランクに上がり試験官に裏金を渡してBランクになったパーティーですからパーティー自体もCランクの実力すらない太鼓持ちのごろつきパーティーといったところでしょう”
“まるで騎士を私兵にしてるようなもんだな…”
“それでロゼ様を罠にはめて失脚させ自身の奴隷にしようと企んでいるのでしょう
親も奴隷メイドを何人も持っているようなので承知させているのでしょうね…”
“どうしようもない親子だな…”
“おそらくは領主を含めた何人かの貴族も同じような事をしているのでしょう…
ギルマスやスレイヤスさんはそれを一網打尽にする為に動き始めた…
コウ様に出会えたから…”
“そうか…僕が現れたからこの世界は変わろうとしてる…
女神セレナ様はもしかしてこれを望んで僕に力をくれたのか?”
“それは違います
それはあくまでもついでであってコウ様には生きたいように生きてほしいと望んでいるのてすよ?
…私の…旦那様として…ポッ♡”
ん?
なんか最後に小声でスゴい事いってなかったか?
「コウさん?
大丈夫ですか?」
「あ、ああ…
あんまりにスゴい金額でびっくりしちゃって…」
「大金ですのでギルドカードに貯金する事も可能ですがいかがしますか?」
「えっと…
じゃあ金貨20枚分は預けておこうかな?」
「端数だけで足りますか?」
「明日になったら稼ぐから今日の分あれば大丈夫だよ」
「確かに、コウさんならまた明日も大金を稼いじゃいそうですもんね♪」
「あはは…」
「出金は冒険者ギルドか商人ギルドでできますし、ギルド登録済みのお店では引き落としでお支払もできます
ですので屋台のような所以外ならほぼギルドカードでの買い物もできますから大丈夫ですね?
あとこれは魔獣の体内にあった魔石ですが買い取りも可能だったのですが錬金術や鍛冶にも使うだろうからとギルマスに言われたのでお渡ししますね?」
「魔石?
何にどう使えばいいの?」
「錬金術で魔道具を作る時の触媒にしたり、武器や防具に魔法を付与したり、魔導師の杖に付けたりすると魔力の増加や発動のしやすさ等にも影響がでるのでやってみてください
魔道具屋や鍛冶職人に聞くと教えてくれたりもしますし、余った物はギルドでも高価買い取りさせていただきます」
「なるほど…
ところでマリアン、リムと泊まるとこを探してるんだけど…」
「コウ殿、それなら我らの宿泊しておる宿屋に案内しよう
1人1泊朝夕2食付きで銀貨1枚だが食事も旨いし何より女性パーティーでも安心して泊まれるギルド公認の宿なのです」
「そりゃあいいな
リムが1人部屋でも安心できる」
「ん?
そこは1人部屋は無いぞ?
全て2人部屋なのだから…」
「何⁉
じ…じゃあ2部屋借りて…」
「さっき行って1部屋だけ残ってたの押さえといたにゃ~♪」
「リムちゃんと寝るのがイヤならわたくしと一緒の部屋が良いですわ?♡」
「おにいちゃまはわたしとねるのですぅ~♪」
「にゃ~!あたいがキープしたんにゃからあたいの権利にゃ~」
「いえ!こ…コウ殿の危険は私が守る!」
いや…ロゼ…
真っ赤な顔で言っても説得力無いぞ?…
「コウ様は私の婿になる予定
だから私が一緒で問題ない!」
「あら~
コウさん、既にみんなに狙われてるのね~
よかったら私の家に来てもいいのよ?
借家だけど1人住まいだから♡」
「マリアンは参加しなくていいにゃ!」
「あらっ?
あっちに座ってる冒険者の女の子達も参加したくてウズウズしてるみたいよ?」
「み、見せ物でわないぞ!
これはパーティー内の話だ!」
「コウさ~ん
パーティーで揉めてるみたいだからうちのパーティーに来ませんか~♡」
「私と2人でラブラブパーティー組みましょ~♡」
おいおい…
ギルド内の男性冒険者の妬みの視線が一気にあつまってるんだけど…
「あ~
とにかく腹も減ったから宿屋に行こ~」
これ以上のトラブルはごめんだよ…
「マリアンさん
また明日きます!
おやすみなさ~い」
僕は揉めてる5人の背中を押して冒険者ギルドを後にした