***ようこそアドバンスガルドへ***
森の中で冒険者パーティーと出会ったコウ
冒険者としての生活を始めようと街に案内してもらうが…
※アドバンスガルド正門前※
僕はそこで立ち止まった
“ここが僕の新たな拠点になるんだな…”
「そこの2人!
身分証の提示だ!」
門番に僕とリムは止められてしまった
“しまったー!僕達は身分証なんかないぞ⁉”
「門番殿
この2人は旅人で我がパーティーの危機を救ってくれてパーティーに加入してもらう為連れてきたのだ
これからギルドで登録してもらうので通してはもらえぬか?」
「こっ…これはCランクパーティー【白き薔薇】のロゼ様」
「ロゼ様のパーティーに加入される方であれば後程冒険者証をお持ちいただければ結構です!」
門番2人ともいきなりデレデレだなぁ
まあこのパーティーメンバーなら誰でもデレデレだわなぁ…
「改めてアドバンスガルドの街へようこそ」
ともかく無事に街に入れたなら言うことはない
ロゼの後から冒険者ギルドに向かう
『冒険者ギルド
アドバンスガルド支店』
流石冒険者の街のギルド…
支店でもかなり大きな建物だ
街の中では教会と商業ギルドに次ぐ大きさの建物らしい
一階は冒険者受付の2つの窓口とクエスト受付の3つの窓口と予備窓口が1つその奥にはクエスト納品倉庫がある
正面入り口ドアの右側は冒険者待機スペース、左側は軽食スペースと薬草やポーション、携帯食などの販売所があり、右奥の壁にはランク別にクエスト依頼書が張り出されている
受付脇の扉の奥はドラゴンサイズも入る広さの解体場
地下には高位の防御魔法で囲まれたランク試験場
二階の右側は金の無いFランク新人が1週間だけ止まる事の出来る簡易宿泊施設と医務室、左側は一階から上れるロフトタイプの軽食スペース
更に三階はギルド長室と応接間、ギルド職員専用スペース、それと魔法で管理された過去クエスト資料倉庫がある
冒険者の街ならではの充実したギルド施設らしい
ロゼ達4人が入り口の扉を開いて入るとそれまでざわざわと騒ぐ声が聞こえていた室内が静かになった
そして…ほんわかした空気?が
「ロゼ様よ?いつ見ても凛々しいわ~♪」
「ティア様だ!あの胸で癒された~い♡」
「獣人アイドル、ミャーちゃんだ~♪」
「ロリ魔導師ネリーちゃ~ん♪」
男女それぞれ反応は違うものの…このパーティーはやっぱり目立つよなぁ…
続いて僕とリムが入っていく
「おおっ!誰だ⁉あの可愛い娘は?」
「天女か?女神か?」
「なになに⁉スッゴいイケメン♡」
「どこの貴族様?御忍び?」
“うそーっ、なにその反応?
リムはわかるけど僕まで?”
ツカ!ツカ!ツカ!
ん?誰だ?こいつ
ずいぶん派手な装備のタカビーっぽいそれなりイケメンな男がロゼに近寄ってきた
「やあやあロゼ殿
やっと私、ワルドレイン子爵家長男でBランクソロ冒険者のキザーナ=ワルドレインとパーティーを組んでくれる気になったかね?
ハーッハッハッハ!」
なんだ?こいつ…貴族のボンボンか…
ん?
ロゼ…?怒り?
「貴殿とは絶対パーティーなど組まんと言ったはずだ!」
「そんな事言って良いのかな?
元騎士爵殿?」
ん?元騎士爵?…これはこいつ絡みで何かあったのかな
「まあ、パーティーなど組まなくとも我が元に来させる事はできるのですが…
あんまり無理強いは好きではないのであなた自らお願いされるようにしようとは思っていますがね?
クックック…」
“コウ様…ワルドレイン子爵に対しての情報ですが
どうやらかなり悪どい子爵のようです”
“リムか?念話か…”
“はい
ワルドレインという子爵は闇の奴隷商人と結託して亜人や獣人、ヒト族の子供や若い女性を拐い裏の人身売買で儲けた金で成り上がった悪人貴族です
当然の事ながら繋がっている別の貴族やごろつき集団などもおりますのでその力を利用してロゼ様を失脚させた上、今度は女好きなキザーナの奴隷としてパーティー全員を罠にはめようとしているようです”
なるほど…
こいつの余裕はそこからきてるのか…
「これ以上用がないのなら失礼する!」
ロゼはかなり腹を立てているようだな…
よし…【スネア】!
ツルッ
ドテ~ン!
僕は転ばし呪文のスネアをキザーナにかけて、ド派手に転ばしてやった
どわ~~っ
ワッハハハ
見ていた冒険者から大爆笑だ
「Bランクのお兄さんよお
若いのに足腰弱いのか?」
「そんなんで女の子喜ばせられんのかい?」
「大剣じゃなくて木の杖の方がいいんじゃない?」
「きっ…貴様ら!
おぼえていろっ!」
キザーナなは恥ずかしさと怒りで真っ赤になってギルドを飛び出して行った
「誰だかわからんがスネアの魔法とはやるの~
おかげで何十年ぶりかの大爆笑じゃわい(笑)」
老練の魔導師にはバレてしまったようだが別に気にはしない
それよりもこれからの事だな…
しばらく街の中で一般クエストでもやって街に馴染もうかと思ってたけど、権力と戦うには権力が必要だ…
目立ちたくはなかったけどせっかくできた信頼出来る仲間を守るにはこっちもド派手な事をしないといけないな…
“コウ様…
考えてる事が私にダダモレしてますよ?”
“あれっ?
念話にしたつもりなかったんだけど…”
“強い意思は念話でなくても私に伝わるんです
ド派手…となると…ドラゴンのような大物退治とかがよろしいかと…”
“今の僕で退治できるの?”
“素早さや剣術は既にMAXに近いです
魔法なども退治に向かう前哨戦でどんどんあげられるでしょうしこのメンバーでしたら大丈夫です
回復は女神の娘である私にお任せ下さい”
なるほどね…
そうとなればさっさと冒険者登録して雑魚討伐クエストでも受けてついでにやっちまうか♪
「ロゼ
大丈夫か?」
「はい…
さっきのはもしや…」
僕はニッコリ笑顔で答えた
「コウ殿…いえ…コウ様…♡」
やった!
ロゼが完璧にデレた♪
「とりあえず登録だな」
「はい、コウ…殿…」
まだ照れがあるみたいだなぁ
「マリアン、まずコウ殿とリム様の登録をお願いしたい!
それが終わったらパーティー申請だ」
受付嬢はマリアンと言うのか
これまた美人のメガネが似合う秘書タイプ…
それに…デカい!
ティアに勝るとも劣らぬデカさだ…
2人とも反則級だろ…
ギュッ
「いてっ!」
みんながキョトンとして僕を見ている中、リムはなに食わぬ顔をしてる
どうやらリムが僕のお尻をつねった犯人だな…
「コウ様にリム様ですね?
冒険者登録は基本的にFランクからスタートでクエストをこなしていく事でCランクまではランクアップしますがBランクからは王都での試験が必要になります
でわ先ずはこの書類の書ける部分だけお願いします」
“う~ん
書ける部分って言っても名前と年齢ぐらい職業は…細工師でいいか(笑)出身地も日本って書くわけにはいかないから空欄で…
ん?今気がついたが読めるし字もかける…
考えてみたら言葉も喋れてるもんな”
「細工師?…ですか?
リム様は…聖女見習い?ということで…
よろしい…ですね?…」
2人でコクンと頷いた
「でわ次に賞罰判定の玉と魔力判定の玉に触れていただきます
賞罰判定の玉は悪事をしていないかどうか
魔力判定の玉は魔法属性と魔力量を判定いたします
でわ…」
「ちょっと待ちんしゃい!」
突然さっきの爺さんが割り込んできた
「その魔力判定の玉じゃ間違いなく割れる!
上級用で割れない方のを持ってくるのじゃ!
ついでにオルセンも連れてこい」
「ですがスレイヤス様…ギルマスのオルセン様をですか?」
「そうじゃ、この2人の試験はわしとオルセンで行うからのお」
「は…はい、かしこまりました!」
受付嬢マリアンさんの慌てかたは尋常じゃないな…
この爺さん何者だ?
「おいおいジジイ
また寝ぼけたのか?
忙しいんだからジジイの寝言に付き合わせるんじゃねえよ!」
ごつい体に豪快な声
この男がギルドマスターのオルセンか?
「どうせ上で昼寝でもしてたのじゃろ?
いいからこの2人の魔力判定を見とれ!」
そう言うとマリアンが別の玉を持ってきた
「でわお願いします」
マリアンに言われ僕とリムは先ず賞罰判定の玉に触れた
2人共真っ白に輝いた
「うむ、淀みの無い純白…正に聖女のような清らかさじゃのお…」
続いて魔力判定の玉
先ずは僕から…
パアーーッ
力加減がわからず全開の魔力が伝わり部屋中が虹色に輝きそこにいた全員が驚いて倒れるわ転げ回るわ大騒ぎになってしまった
爺さんはニヤリと笑いギルマスは目を丸くしていた
続いてリム
やはり虹色に輝いたがどうやら力を抑えたようで僕の時ほど眩しくはなかったが、それでもギルマスは更に驚いて目はまん丸、口もあんぐりと開いたままだった
ロゼ達は僕らの正体を知ってはいるもののそれでもここまでとは思わなかったらしくてびっくりしている
「さて…と
オルセン!呆けている場合か!」
ギルマスはハタと正気を取り戻し
「よしっ!
試験じゃ!
ガチでやるぞ!」
とノリノリの声を上げた
ウオーーッ
冒険者達も特等席で見学しようと我先にと試験場の観戦席に向かった