***いざスタンピード!***
スタンピードに備えるはずが朝からドタバタ…
それでも直前になればしっかりまとまるチーム力
さあ、討伐スタート!
なんだかんだで朝食を終えた僕らは一番乗りでギルドに到着した
昨日の試験官だった老魔導師スレイヤスが僕らの戦闘を観察したいので同行するという事で少し待たされたが、なんとか冒険者でギルド内がごった返す前に森へと向かう事ができた
森の手前でホーンラビットやバグスライムのような小物魔獣もいたが初級冒険者の為に残して先を急ぐ
森へ入ると入り口付近には普通の狼や猪がうようよ…森の奥に強い魔獣や魔物がいるのだろう…
ただ本来いるべきゴブリンやコボルドがいないというのはおそらく近隣の小さな町や村を襲おうとしてる…いやもう既に襲われているかも知れない
僕らは森の奥に行くよりも先ずそちらに行くのが優先と判断した
加速魔法【アクセラレーション】を使えば一気に行けるかもしれないが着いた時点で敵の戦力がわからない以上疲れきったじょうたいで行くのは得策でない
むしろ身体能力を高めるだけにしておいて疲れを軽減しておく方が得策だろう
とわ言え手遅れになっていたら意味がない…
とりあえず僕とミャーが先行して他のメンバーはスレイヤスさんやネリーに無理の無いペースで来るよう伝え【アクセラレーション】を自分とミャーにだけかけて道案内をしてもらい森に一番近い村『サム村』に向かった
サム村に着くと既に脚の早いコボルドが侵入をはじめていて村の男衆が農耕具や斧を手に追い払おうとしている
「ミャー後からくる敵の牽制を頼む!
僕は侵入したのを先に駆逐してくるから少しの間堪えてくれ!」
「手投げナイフはいっぱいあるから牽制なら任してにゃ♪」
身体能力強化にアクセラレーションをつけていると言ってもコボルドも動きが俊敏なので大量だとやっかいだ
ゴブリン、コボルドくらいなら一気に魔法でといきたいが村人もいるのでそうはいかない…
分身とか瞬間移動とか使えたら…
ん?まてよ?
アクセラレーションでストップ&ダッシュをすれば瞬間移動みたくならないか?
とりあえず試しに…
シュン
ズバッ!
シュン
ズバッ!
おおっ!これならいける!
僕は一気にすでに入り混んでたコボルド20数匹を倒し村人にポーションをいくつか渡すとミャーの援護に向かった
ミャーも倒した数は少ないものの、上手く足止めしてくれている
僕はミャーと離れたゴブリンの一団をアースニードルで地面から串刺しにすると同時に後からくる敵の進路を塞いだ
「ナイスにゃ、コウにゃん♪」
侵入路が狭まったのと後ろに僕がいるおかげで四方を気にせずすむようになった為前方からくる敵をミャーがズバズバ倒していく
その上後続のパーティーメンバーも到着したおかげでゴブリン、コボルドくらいなら魔法を使うまでもなく一網打尽だ
「コウ殿、待たせた!
ハーッ!」
ビシュッ!バシュッ!
ロゼが一気に数を減らしてゆく
「コウ様、村人に怪我人は」
「リム、ポーションは渡したが診てあげてくれ」
リムは僕の言葉で村人達のところに向かった
「さて、わしらは倒れちょるゴブリンとコボルドの始末でもしておくかの
ネリー嬢ちゃんに村の衆、耳を削いだ後で燃やすから手伝ってくれんかのお
ティアちゃんは起きてくるのがいないよう援護してくれんか?」
スレイヤス爺さんの指示があるから後ろを気にせず戦える
流石百戦錬磨の勇者パーティーの知恵袋だ
などとおもってたら森の中からミシミシと木の倒れる音と共に巨大な影が…そして怪しげな声が聞こえてきた
「む?いかん!
呪文の詠唱じゃ!
防御魔法を!」
スレイヤスの言葉が終わる前に森の中から火の玉が飛び出してきた
僕はとっさにショートソードで火の玉を凪払ったが、払うと同時に鉄のショートソードが折れてしまった
「くっ!
かなり手荒く使ってたから保たなかったか…」
「小僧!
この剣を使え」
スレイヤスはアイテムボックスから1本の剣を取り出し僕に投げてよこした
「これは?」
「【飛燕の剣】、またの名を秘剣【燕返し】
軽い剣じゃが材質はオリハルコンに鳳凰の翼を練り込み使いなれると一振で二度の斬擊を与え大きく振ると魔力無しでもウインドスラッシュが飛び出る優れものじゃ!
まあ魔王退治の拾い物でアイテムボックスの肥やしになっちょったもんじゃがのお」
「そんな凄い物…
いいんですか?」
「よいよい、わしにゃ使えん代物じゃ
くれてやるからさっさと倒してこい!」
よし…【アクセラレーション】!
僕はおもいっきり加速して森に突っ込んだ
ロゼとミャーが左右から続く
後方支援は弓と精霊魔法のティア
回復の終わったリムと耳の回収を終えたネリー、スレイヤスは森の中のどこに冒険者がいるかわからないので大きな魔法は使えないから素材回収の為に待機だ
敵は…
ゴブリンシャーマン×1、ゴブリンメイジ×2、ゴブリンソルジャー×10、ゴブリンアーチャー×5、ライドファングに乗ったゴブリンライダー×12、後ろのでかいのは…ゴブリンキング、その少し後方には足の遅いオークの集団が控えているようだ
僕は先陣を騎って飛び道具のシャーマン、メイジ、アーチャーを一蹴するとゴブリンキングに挑んだ
「まったく…あの小僧を見ていると若い頃の勇者を思い出すわい…」
スレイヤスは自分の老いた身体が奮い起つようにかんじていた
手のひらにはバリバリと雷撃魔法の輝きが…
ゴブリンキング
でかいし硬い…
だが、この剣なら豆腐を切るように斬れる!
他の敵はロゼとミャー、それにティアの弓にどんどん倒され残りわずかだ
僕はキングに【パラライズ】をかけ動きを止め一気に心臓部を狙い剣を突き刺した
ズズーーン!
Bランク上位種ゴブリンキング討伐!
ロゼとミャーも残りゴブリンを叩き、次はオークの集団だ!
ゴブリンの上位種は耳の形状ではわかりづらいと思い死体はすべて収納した
ズズン!
キーン!
ぎゃーっ
うおーーっ
あっちこっちで戦闘がおこなわれているようだがここでは戦況がわからないし僕らは僕らで少しでも強い魔獣、魔物を駆除していくだけだ
次はオーク!
目の前には40匹以上のオーク…肉!
オークの肉は豚肉とほぼ同じでこの世界ではドラゴン、グレートバッファローに次ぐ旨さと評判だ!
よーし♪大量ゲットの…
「【エレクトリックサンダー】!」
ピカッ!
ドドーーン!
「な、なんだ?」
いきなり奥のオークの群れに雷が落ちた
「ふぉっ、ふぉっ、ふぉっ
久しぶりの大魔法は気分がいいのお♪」
スレイヤスの雷上位魔法がオークの群れに炸裂したようだ
幸い感電させただけのようだから肉には問題無さそうだ
【エクスプロージョン】でもやってたら丸焦げだったろうけどそこはベテランオーク肉の価値をわかってらっしゃる
仮死状態のオークはまとめて収納
生き残ったオークに止めを刺すと…
残るは大物、Bランク下位種ハイオーク×5更にAランク下位種オークキング!
コイツは多少魔法耐性があるから物理で叩くのが早いが…ゴブリンキングよりも硬い…
はたしてこの剣で斬れるか…
「ロゼ、ミャー、先ずオークキングの攻撃を躱しつつハイオークを減らそう!」
「了解した!」
「わかったにゃ、あたいがキングを撹乱してるうちに2人で高い豚肉あつめるにゃ~♪」
ミャーは動きのトロいハイオークを足場にピョンピョン飛び跳ねキングにチマチマと傷をつけている
キングにとっては蚊に刺されるような攻撃かもしれないがかなり苛立ってミャーを払おうとしている
この隙に僕とロゼとティアで1匹、また1匹とハイオークを減らしあっという間に残りはキングだけ…
この剣…使わないからとか簡単に貰っていい安物でわないと思うんだが…
だが確かに僕やミャーが使うにはあってるかも…
シュシュッ!
うん…オークキングの硬さだとこの剣で普通に斬っても致命傷にはならないな…
ロゼの剣も深くは傷付かないし…
ん?
魔法は効きにくいけど剣に纏わせたらどうだ?
炎はオークキングには効きにくい…剣の適性ならば風?…いや敵との相性を考えて氷か!
「【アイスソード】!」
ロングソード並みの長さの氷の剣
これならオークキングの首を落とせるか?
いや、この剣なら一閃で切り落とせなくとも返しの刃【燕返し】がある!
「いくぜ!
アイスソーーード!
秘剣!燕返ーーし!!!」
タタタタッ!タン!
キーーン
シュバッ!シュキーン!
くるくるっ
スタッ!
ズルッ…
ドスン!
ズズーーン!
「やりましたわ」
「コウ殿…」
「一撃だにゃん♪」
「見事なまでにあの剣を使いこなしておるのお…」
「コウ様
この先に驚異は感じられませんがここからアドバンスガルドに向けて強い魔獣が向かっているようです」
「ああ
だいぶ苦戦してるようだな?」
「はい
特に突出した一団が…」
「どこにバカだ?」
「ともかく急いで向かうのじゃ!」