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魔王最弱なリスは平穏に暮らしたい  作者: フィガレット
第一章 瓦解する日常
9/12

リス、魔王やめるってよ?

 前回の〜・・・あらすじ!!


 可哀想な勇者が来た。


・・・


 四面楚歌な事態に思考停止しておりましたが、私はなんとか冷静を取り戻しました。


「まず、コグゥ!貴方は時計も読めないんですか!?」


 他はともかく、コヤツはおかしい!


『ん?時計なんてもってないからな!早かったか?』


 先に言いなさいよ!


「まだ一時間しか経っていないので、もう少しそこで待っていて下さい!膝がまだ治っていないのです!!」


 確かそんな嘘をついていたはず。


『わかった!呼ばれるまでここにいるぞ』


 素直ですね。悪いやつではなさそうなだけに困ったものです。

 まぁ、でもとりあえず一つは保留出来ました。

 次は・・・ニューですかねぇ。急ぎかもしれませんし。


「ニュー、どうしました?」


 とりあえず要件を聞きましょう。


『隣の魔王が攻めてきました!』


 はぁ!?


「煉獄さんですか!?それとも豊穣さん!!?」


 まだお名前すら知らないんですけど・・・。

 流石の私もそれは焦ります。


『いえ、それが豊穣の魔王と敵対している機械の魔王メカーニらしいです!』


 誰ぇ・・・?


『地形的に豊穣の魔王の領土を攻める上でニューグラストの場所に拠点を造るのが都合が良いらしいのです・・・』


 ギルド的には私の領土になってるって言ってませんでしたっけ?

 ギルドさん、その辺どうなってるんです!?普通に攻めてきてますやん。


「今はどんな感じなんです?」


 切迫している様ですが現状は如何に・・・。


『素性は明かさずに森の妖精として向こうの斥候部隊と接触して侵攻を待って貰っています。向こうは責任者との対話を望んでいるのですが・・・。あとその様子を豊穣の魔王も察知してそっちからもせっつかれています。「メカーニの側に着くなら容赦しない」と言っていますよぉ。パパ、なんとかして下さいいぃぃ!!』


 ナニソレ、面倒くさい・・・。私の知らない所で板挟みになっておる。

 どうしてくれよう、この状態・・・。別に勝手に殺り合え、と思ったりしますが森に侵入されると肥沃の大地がバレてしまいます。


 元々は中立な森の民の土地で不可侵だった様ですが、今は私の土地となっており、その件については両者共に納得がいっていない模様。泥欲の腐敗の事もあり互いに攻めあぐねていた所、怠惰の森の広がりにより安定してしまい争いの火種になっておる様です。そんな種を蒔いた記憶はないのに!!


 ギルドに丸投げしたい・・・。


「とりあえず、両者はどのくらい待ってくれそうです?」


 40年ぐらい保留に出来ませんか?


『明日にでもとりあえずの返答か、対談の席を設けて頂きたい、と両者が言ってきています・・・』


 うわぁ・・・。40秒で支度しな、とでも言いそうな勢いです。


「マスター、涙目♪わらわら」


 しれっと戻ってきていたサポちゃんが状況把握をして大爆笑しておりました・・・。

 このお気楽妖精め!他人事じゃないと言うのに、それはもう楽しそうです。

 まぁ、そのおかげでいつも私は助かっているわけですが・・・。


 まだまだ情報が足りない感が否めませんが、急がなければまずい状態ですねぇ・・・。

 可哀想勇者とポンコツ勇者はなんとでもなりそうですが、問題はニューグラストの問題ですね。あといい加減、メルフィと今後どう上手くやっていくかも決めないと、ここでの一手に関わります。


「・・・メルフィに賭けるかぁ」


 魔王達は良くも悪くも自由で、ギルドですら縛る事は難しい。むしろギルドに縛られない「危険因子を魔王と呼んでいる」と認識している人も多いのです。

 この世界のギルドは、秩序の番人なのです。流通や冒険者達を取り纏める公平なシステムとも言えるギルドは国家よりも高い影響力と意味を持ちます。

 ギルドがなければこの世界は成り立たないのです。


 魔族、エルフ、ドワーフ、妖精族、人族、竜族、獣人族。これら全ての人類を存続させる為に最適と思われるシステムを構築する。その揺るぎない信念の元にギルドはあります。ギルドが私利私欲の為に落ちた時、この世界の今の在り方は崩壊します。


 ちなみに人類とは、この世界では人語を解する存在の事を言います。獣も言葉を一定以上、理解して喋れる様になれは人類と認識されます。あらゆる異形の者も、魔族と分類されて人類と認定されるのです。


 なぜギルドはそれ程に公正でいられるのか。普通に考えれば不正が蔓延るはずです。

 それ程に心とは脆い。それでも人類が安定したギルド誕生の瞬間からずっと、ギルドは公正であり続けているのです。きっとそこには誰も知らない秘密がある、そんな気がしているのです。


 まぁ、そんな事はさて置き、そんなギルドさんにとってこの侵略行為はアウトー!なはず。でもギルド登録されているとはいえ、まだ明確に意思表示もしていないニューグラストは私に領土としてはまだ曖昧です。むしろ私はいらん、と思ってますし。


 更に、公正なギルドではありますが、基本的には戦争には不干渉です。

 あくまでギルドとしては・・・戦争ダメですよー。どっちの支援もしませんし救済を求める国民はギルドが受け入れますよー。そういった人達がギルドの庇護下に入る事を邪魔したら容赦しませんよー。あまりにも酷い侵略は侵略される側を支援しますよー。と言った姿勢なのです。

 

 つまり、今の現状としてはちゃんと説明をして、ギルドの支援を受けたい。

 その窓口は今、メルフィだと言う事です。


 さぁ、メルフィに伝えよう♪


「と言う事で、カクカクしかじかなのですよぉ。助けておくんなまし♪」


 と、私はサクッとメルフィに豊穣さんと魔王メカーニさんの板挟みについて説明しました。すると・・・


「え?リスさん、魔王を辞めるんですか?」


 メルフィがポカンとした顔で、意外そうに言いました。


「マスター、魔王やめるってよ。わらわら♪」


 ああああああ。そうでした!私、魔王でした・・・。

 有益な魔王として認定されているので勇者とかギルドの庇護下にある国家達はうちを攻めてきませんが魔王達は無法者です。魔王管轄領地にギルドの法は届かないのです。

 むしろそれこそが魔王たる由縁。


 魔王を辞めないと支援を受けられません。じゃぁ、納税ってなんぞ?と言う話ですが、それは有益な魔王であり続ける為に支払う必要がある分になります。

 私がギルドの流通やサービスを必要としない生活をしていたのは、有益な魔王である事で『ギルドの討伐対象にならない事』『ギルドに領地を認めてもらう事』この2点に対する納税を免除して貰っていたのです。


 でも・・・ギルドの法に縛られるのは・・・


「嫌です!!」

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