四つあってよかったね
前回の〜・・・あらすじ!
ポンコツ勇者が訪れた。
・・・
さて、どうしてくれよう、この危険人物。
「戦闘力53万ですから、普通に強い勇者ですねぇ・・・」
サポちゃんスカウターによってコグゥの戦闘力が叩き出されました。
実は結構、ちゃんとした精度だったりします。
つまり、普通に強いですぅ・・・。初期のフ⚪︎ーザ様並じゃないですかぁ!
「ちなみにマスターの戦闘力はたったの5ですぅ♪ゴミめ!」
誰でしょう、このお口の悪い妖精。親の顔が見てみたいです。あ、うちの子ですね。
しかし、戦うのは論外です。私は死にませんけど痛いのは嫌です。
あと魔王城が壊されるのも勘弁して欲しいので穏便に済ませたいのですが・・・。
「幻覚で勝たせてあげたら満足して帰ってくれないかなぁ?」
「無事だって分かったらまた来るんじゃないですぅ?」
来そうですねぇ・・・。面倒な奴です。
今までもあの手この手で勇者の面々には帰って頂いてたのですが、会話が通じないタイプが一番厄介なのです!
そこで私は思い付きました!!
「よく考えたらギルドのお偉いさんが今、うちにはいるじゃないですか♪説得して貰いましょう!」
私はギルドに保護されているのです!私は益獣です♪
メルフィが説明すれば、彼も納得する事でしょう。我ながら妙案!
とりあえずポンコツ勇者には、顔を洗って出直して頂きましょう。
好戦的な戦闘狂の様ですし・・・
「私は今、万全ではありません。先日、膝に矢を受けてしまってな。なので3時間後に出直して下さい」
こう言っとけば出直してくれる事でしょう。
「それはてぇへんだ!わかった。3時間後にまた来る!!」
別に来なくていいんですけどね・・・。
どうせ来るだろうから、それまでになんとか準備をしておきましょう。
「ちょっとサポちゃん、メルフィ達を呼んできて貰えます?」
「仕方ないですねぇ。魔王城が壊されたら私もこまりますしぃ」
・・・
『ワン!ワンワンワンワン♪』
元気いっぱいのケルベロスちゃんの鳴き声がまた鳴り響きます。
メルフィ達がきた様ですね♪サポちゃんが出ていってすぐの事でした。
仕事が早いですねぇ♪
『ピンポーン♪』
北側のインターホンが鳴りました。
ん?北側?
嫌な予感しかしません・・・。
「あの〜・・・すいません。ここに最弱の魔王が住んでるって聞いたんですけど・・・」
誰ぇ?
そこには、少し頼りなさそうな、それでいてイケメンな黒髪の前髪が目が隠れそうなくらい長い謎の青年が立っていました。全くもって覚えがありません。初見さんです。
「魔王最弱なリスは私ですが?」
自分で言うのもなんですけどね。
「すいませんが、私に倒されてくれませんか?」
「嫌に決まってるでしょうに」
私は思わず即答していました。そりゃそうです。
「ですよねぇ・・・」
とてもショボくれた表情を浮かべる青年。う〜ん、悪い子ではなさそう。
なんと言うか庇護欲が湧くと言うかなんと言うか・・・。
とりあえず、事情を聞いてみる事に。
・・・
結論。この子はとても可哀想でいい子でした!
長いお話のあらすじを端的にお伝えすると、彼は異世界からの召喚に巻き込まれたらしいです。一応、勇者と称されているらしいですが手に入れた能力が生産系だった為に放り出されて、しかも魔王を倒して心臓を持ってこないと元の世界に帰して貰えないらしいです。
・・・酷くね?
どうも近くの人族の国の王様に召喚された様ですね。
魔王の呪いによって眠るお姫様を目覚めさせるには魔王の心臓が必要らしく、しかし魔王を倒せない王族達は異界の勇者を差し向けたらしいです。
「貴方は関係ないでしょうに。そんなの断ったらいいじゃないですか」
どうせ碌な奴らじゃなさそうですし異界へ戻す術なんてきっとそいつら知りませんよ?
「言葉も片言にしか通じないし、お金も常識も知らない世界に放り出されて、しかも呪いをかけられたせいで逆らうと命を奪われかねないんです・・・。実は元の世界にはあまり未練はないんですけどね・・・」
ナニソレ、可哀想・・・。
そんなお話を一通りお聞きしていたその時でした。
『ワン!ワンワンワンワン、ワワワン♪』
『ピンポーン♪』
『ピンポーン♪』
『ピンポーン♪』
「マスター♪メルフィ達を呼んできましたよぉ〜」
と南側のインターホンからサポちゃんが・・・
「パパ〜。ちょっと問題事が起きたんで相談したいのですが!」
と東側のインターホンからニューが・・・
「オッス!魔王!!そろそろ3時間経ったか?もう暇で暇で」
西側からポンコツ勇者。
まだ一時間くらいしか経ってませんよ!!
四面楚歌とはこの事か・・・。