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魔王最弱なリスは平穏に暮らしたい  作者: フィガレット
第一章 瓦解する日常
7/12

ポンコツ勇者の襲来

 会議を終えた次の日の平穏な朝。


 ニューはニューグラストへ帰って行きました。調査団が来ても姿を消して隠れていて貰う事になっています。姿を消すのは妖精の基本スキルですね。

 まぁ、私にはそのスキルは通用しないのですが。


 とりあえず昼からメルフィと調査団が来る予定になっています。

 朝から調査したいとごねられましたが、森の制御で忙しいと誤魔化しました。


 ギリギリ、嘘ではありませんよ?


 という事で午前中は自由です♪自由とは素晴らしい。

 まずは惰眠を貪り二度寝をして10時ごろに目覚めました。


「おはよう、サポちゃん。今何時?」

「へ?今って朝でしたっけ?」


 遮光カーテンを閉めて、サポちゃんは夜通しFPSゲームをしていた様です。

 私も昨日は深夜四時くらいまで、配信動画を見ていました。

 気付いたら寝落ちしてたんですよねぇ。いつもの事です。

 サポちゃんに至っては脳死でエンドレスマッチをしていたせいで時間感覚がバグっています。まぁ、いつもの事です。


「とりあえず、朝ごはんを作りますヨォ〜」


 私は適当に朝食の用意を始めます。サポちゃんも食材を作り出せる事が判明した訳ですが、結局は私が作っています。


「朝ごはんはなんですぅ〜?」


 ダラダラとしながら眠そうな声でサポちゃんがフワフワと浮いています。


「ピザトースト風の何かですよ」

「もうそれ飽きたですぅ〜・・・」

「文句を言うんじゃありません!美味しいでしょうが!!」


 トーストにケチャップをかけてチーズを乗せて焼いただけのモノである。

 そこに目玉焼きとベーコンを乗せて完成。私はこれが気に入っています。

 マイブームなのです。


「流石に1ヶ月、毎朝これはきついですぅ〜!」


 サポちゃんが涙目で訴えて来ました。美味しいんだからいいじゃん。


「食パンの消費期限、大丈夫だっけ?えっと〜・・・まだ3日過ぎてるだけですしオッケーですね♪最近、寒いし!」

「マスター、ちょいちょいそれでお腹を壊してるのに一向にこりませんよねぇ・・・」

「こないだの2週間超え生卵は流石に反省しましたよ?地獄を見ましたし・・・。今度はちゃんとしっかり加熱します!」


「消費期限は危険なのですぅ〜!!せめて賞味期限にしてくださいぃ・・・。あと生卵は本当にもう勘弁です。卵かけご飯で食べるなんて無謀すぎでしたよぉ!!」


 当然の様にサポちゃんもお腹を壊しました。

 食材生成はとても面倒なのでいつもわりと纏めて作るんですよねぇ。

 多めに作った方がコスパがいいですし。

 なので食材が傷みがち。結果的に日持ちのする食材がメインになるのですが、硬いパンは美味しくないのですよねぇ。まぁ、3日なら余裕です!

 カビも生えていませんし♪


「うん♪今日も美味しい!」

「まぁ、不味くはないですしいいですけどぉ・・・」


 まぁ、そんな感じで今日もうちの魔王城は平和です。


・・・


『ワン!ワンワンワンワン!!』


 鳴り響く番犬ケルベロスちゃんの鳴き声。

 そういえば、ケルベロスちゃんの毛艶が最近、妙にいいと思っていたらニュー達に餌付けされていたとは・・・。最近、やたらと東門から出入りしていると思っていたのですよ!ちなみにニューグラストは我が魔王城の東側へ広がっています。

 我が魔王城は東西南北に出入り口があるのです。

 何故かって?楽だからですよ♪しかし・・・


「あれ?随分と早いですね?」


 昼からと言う話だったのに、まだ11時過ぎです。

 まぁ、ダラダラとしている訳で問題はないのですがあまり早く来られてもねぇ。


『ピンポーン♪』


 そして、インターホンからチャイムが鳴ります。ケルベロスちゃんが先に鳴いてくれるのでいつも来客は先んじて気付けます。たまに別の事で鳴いている事もありますけど。


 って、あれ?西門から?


 メルフィ達は確か南の怠惰の森(グラスト)で野営してるって言ってた気が・・・。

 私はインターホンを覗き込みます。すると・・・


『オッス!オラ勇者コグゥ!いっちょってみっか?』


 らないで欲しいです・・・。


「さしぶりの勇者襲来でしたねぇ♪わらわら」


 このタイミングで一際、個性的な勇者が到来してしまった様です。

 トゲトゲ頭に小豆色の道着を着た男がそこには立っていましたとさ・・・。


・・・


「私はギルドに『有益な魔王』として登録されています。討伐はお互いの為ではありませんよ?」


 勘違いの可能性も含めて私は懇切丁寧に説明をしてあげます。

 まともな勇者は、私を討伐になんて来ないのです。なのできっと画面の向こうにいるのはまともじゃない勇者ですね♪


 帰って欲しいです!!


『ん?ギルド?よくわかんねぇけど、オメェつえぇ奴なんだろ?オラ、ワクワクして来たぞ!』


 人違いです。私は魔王最弱です。


「魔王違いです。私は弱いです!」


 正直に言っておきましょう。


『本当につえぇやつは自分の強さを表にはださねぇってかめ仙人のじっちゃんが言ってた!さてはオメェ、すげぇつえぇヤツだな♪』


 誰だよ、瓶仙人。余計な事を教えないで欲しい。


「いや、私は本当に魔王最弱なんですよ!どこからの情報なんですか!?」


『へ?フルマに貰った魔王ランキングの一番上に載ってたオメェが最強なんだろ?』


 それ、下から数えてるヤツです・・・。

 私は魔王ランキングの最下位。自他共に認める、名実共に最弱な魔王なんですよ!!


「そもそも戦う理由がありません」

『オラはつえぇヤツと戦うとワクワクすっぞ!』


 自分と戦って下さい。貴方は自制心を養うべきです。


「私はワクワクしないので帰って下さい」

『でも魔王なんだから倒さないとなんだろ?』


 おぉ、神よ、この脳筋に知性を与えたまえ・・・。


「今では有益な魔王は共生関係にあるんですよ!多様性の時代なんです!悪と決めつけて排除しようとしてはいけません!!」


 私は全力でお説教を試みます。


『さてはオメェ・・・』


 やっと分かってくれましたか!?


『いい奴だな♪』


 そうだけど、そうじゃないですぅ・・・。

 

『でぇじょうぶだ!オラは別に殺すつもりはねぇ。(手加減は苦手だけど)』


 おい、いまボソッと物騒な事を言っただろ。聞こえたぞ?死亡フラグが立ってるじゃないですかぁ、やだぁ!!


「本当にマスターのところには変な奴ばっかり集まって来ますねぇ♪わらわら」


 サポちゃんは、それはもう楽しそうに爆笑しておりました・・・。

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