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06 火付け


 最初は、白狼隊の騎士さまたちからの、謝罪。


 知らぬ事とはいえ、乙女の手作りクッキーに順位付けしてしまうなど、紳士としてあるまじき行為。


 心からの謝罪だったそうです。



 しかし、戦乙女さんたちの反応は、ツァイシャ女王様の擁護でした。


 行為の内容はともかく、今回の一件は、


 場を和ませようというツァイシャ女王様なりの御好意、


 謝罪には及びません、と。



 納得いかないのは白狼隊の面々。


 戦乙女さんたちがいかに近衛の立場であろうとも、


 主君のやらかしを諌めもせずに、全く問題無しと受け入れるのはいかがなものでしょう、


 過ちを正すことも臣下の務めではないのでしょうか、と。



 戦乙女、スイッチが入っちゃいました。


 近衛のお役目は、女王様に仇なす者たち全てからの守護。


 最後の防波堤となるべき私たちが女王様と道を分つなど、いかなる理由があろうともあってはならない。


 それこそが私たち、近衛騎士団の、覚悟。



 白狼隊、スイッチが入っちゃいました。


 国が健やかであるためには、


 誰かが過ちを正して回らねばならぬ。


 相手の身分いかんに関わらず、その間違いを正す者こそが、


 国と民を守る最後の防波堤。


 それこそが我々、独立騎士団の、覚悟。



 和やかだったお食事会は、


 戦場もかくやというほどの、一触即発の場に。



 ---



 正直、戦乙女さんたちも、白狼隊の皆さんも、どちらも間違っていないと、僕は思います。



『七人の戦乙女』さんたちは、近衛騎士団。


 ツァイシャ女王様を守護するためなら、どんなことでも厭わないし、全てを犠牲にする覚悟だってある。


 つまりは、ツァイシャ女王様至上主義。



 白狼隊の皆さんは、独立騎士団。


 この国を、いや、この国の民を守るためなら、立ち塞がる者はどのような身分の者であろうとも、その間違いを正す。


 例え王族や貴族であっても、間違いを犯した者は真っ直ぐに諌める、それが矜持。


 つまりは、国家としてのエルサニア王国が健やかであることが絶対。



 どちらも正しいけれど、時と場合によっては衝突してしまうのです。


 ただ、今回の件は、どちらも間違っているとも言えます。



 白狼隊の皆さんは、清廉な騎士としての在り方に誇りをお持ちでなのでしょうけど、


 ならなおさら、立派な紳士を目指す殿方であるべきですよね。


 乙女のお茶目をさらりと流せず、むやみに目くじら立てるのは、紳士的振る舞いと言えるのでしょうか。



 戦乙女さんたちが女王様をお慕いする気持ちの真剣さには感服しますが、


 アレなわがままを盲目的に全て許しちゃうのはただの甘やかしですよね。


 素敵な女王様であってほしいのであればこそ、度を越した戯れを諌めるのも務め、


 それこそ、いちばんお側で終日共に過ごしている同性乙女としての進言しやすさを活かすべきでは。



 ってか今回の件、誰がどう見たって、非があるのはツァイシャ女王様ですよね。


 女王様御自身は、この騒ぎをどうなさるおつもりだったのですか。



「えーと、私室の小部屋に閉じこもって、お菓子づくりざんまい、だったそうです」

「次は絶対に負けないからっ、ですって」



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