16 取説
てな感じで、連休最終日の夜。
本当に、大満足な長期休暇だったのです。
おっと、そういえば、
僕の新しいおサイフの確認がまだでしたね。
どれどれ、取り扱い説明書をば。
いえ、これでも『収納』魔法を付与された魔導具ですので、
立派な取説が付属しているのですよ。
えーと、なになに……
『クルゼス クロコダイル コインパース』
『略称:C3』
えーと、なかなかオシャレな略称ですね。
でも、これくらいなら、まあ日常茶飯事ですから。
『この度は当製品のお買い上げ、誠にありがとうございます』
『何の因果か、無料で手に入れちゃった諸兄も、それなりにありがとうございます』
はい、それなりにどういたしまして。
何ですかね、脳内であの人の声で再生されちゃうんですけど、この取説。
まあ、こんなこともありますよね、長い人生。
『この製品の外装には、大変に希少な"クルゼスクロコダイル"の本革が使用されております』
『どのくらい希少かと申しますと、狩猟許可証にクルゼス王国アルゼハルト王の御署名が必要だったほど』
マジかっ。
おサイフのために王様からサイン貰っちゃったんだ。
スゲェ……
『いえ、このクルゼスクロコダイル、希少種であることもさることながら、討伐する際の難易度がハンパ無いのでありますっ』
『なにせ大好物が水竜の生き胆ってくらいの暴れん坊ワニさん』
『ちょっと腕自慢な程度の冒険者なんて、オヤツ代わりにパックリカミカミされちゃうんです』
オヤツ……
『なんとか狩猟許可証をゲットした私は、ヤツらの溜まり場である"ペルネ湖"へと進行』
『そこで私が見たものとはっ!』
なんすかっ!
『続く……』