12 巡り
サイリ所長復調のお祝いは、『ルロリーサよろず相談所』が誇る3人娘の手作りお菓子。
三者三様の素敵な乙女たちによる甘ーいおもてなしは、
そりゃあもうスウィート極まりないお時間だったわけで。
そんなこんなで、帰宅時間が遅くなった満腹野郎には、
お夕飯は入るはずもなく。
こういう時の我が家の乙女たちは、
かなり容赦無いのです……
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今日も休養日、つまりは長期連休な、僕。
朝からお庭で奮闘中のおふたりを眺めながら、
お休みの日の朝を満喫中。
素敵な和風メイド服姿のルルナさんと、
新しい調理器具の習熟訓練しているシュレディーケさん。
野営料理の訓練などと申しておりますが、
とどのつまりは、昨日の夕飯をお残しした僕への、
おしおきちっくお食事会。
おふたりとも、楽しそうで何より。
お料理が楽しいのか、おしおきが楽しいのかは、
神のみぞ知る……
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まさに本気の野営料理を完食して朝から満腹、
僕の食べっぷりにシュレディーケさんは幸福に降伏、
ちょっとミニスカな和風メイド服ルルナさんは眼福、
これぞまさに至福。
さて、今日はこれから何しようかな。
「このお天気ならお昼寝日和だよね」
なるほど、良いかも。
でも、せっかくの休日だからお出かけしたい雰囲気も無きにしもあらず。
って、おはようございます、フィナさん。
「おはよう、フォリスさん、皆さん」
「ここはいつ来てものんびりしているよねえ」
お褒めに預かり光栄です。
フィナさんも、のんびりしていってくださいね。
フィナさんは、見ての通りの小さな妖精さん。
ロイさん宅のご馳走に釣られて、
じゃない、見聞を広めるために人里に来て、
こちらでの生活を楽しんでくれております。
今は主にサイリさんのお宅で、ぷかぷか暮らしておられるのです。
「今日はフォリスさんにお願いがあって来たんだけど」
はい、何なりと。
「ほら、僕って一応妖精でしょ」
「フォリスさんのお知り合いの精霊さんたちにご挨拶した方が良いのかな、なんて」
なるほど、挨拶巡り行脚ですか。
僕の知り合いの精霊さんたちは、そういうのはあまりうるさくないと思うのですが、
気軽にご挨拶って感じで巡ってみましょうか。
「よろしくね」
というわけで、本日は精霊さん巡りの旅へ。
我が家の乙女ふたりは、
更なる料理訓練に燃えておりますので、
フィナさんとふたりでのお出かけに、出発!