得意な事
ほとんどの人が得意なことが1つくらいあると思う。スポーツが得意な人、絵が得意な人、料理が得意な人。私は得意なことを見つけなかった。料理が得意な人ははじめて料理をして、楽しいと思って、また料理をする。その繰り返しで、いつしか料理が得意って言える。そんな感じじゃないのかな、得意って。 そんな事を考えていたら、背中に ドン! という強い衝撃がきた
「こーうーはー!どうしたの?ボーッとして」
そんな声が聞こえて、私は思わず振り返った。
そこにいたのは、金髪に赤い瞳、ブカブカの靴下に長い前髪を3本のピンでとめている、絵に描いたようなギャルだった。
「あ、ごめんルカ。ちょっと考え事してた。」
「へー、そうなんだ。早く帰ろ。」
そう言ってルカは教室を出て行った。時計を見てみると時刻は4時前、私は急いでルカの後を追った。
昇降口にはルカと、もう1人少女がいた。彼女の名前は四季ことね、明るい茶色の髪に三つ編みをしている優しい感じの女の子だ。対して私はオレンジ色のカーディガンに黒髪ポニーテール、若干吊り目だから優しいというより、怖いって感じかも・・・・。
「はーい、じゃあ帰るよー!」
私が敗北感を滲ませていると、それを感じ取ったルカが仕切ってくれた。
「そうですね!帰りましょう!」
ことねも元気に返事をした。
「ありがとうルカ〜。帰ろう。」
私が涙目で言うと、ルカは笑顔で返してくれた。
そして、いつもの道を、いつもの3人で、無駄話をしながら帰っていった。