決別の時1
出だし、暗いです!!
双子の姉の美桜が痛いです。
一話が長かったので、半分にしました。
「もう、あなた達とは一緒に住めません」
十八年間ずっと一緒だった私の妹が、高校卒業と言うイベントの最中に発した言葉だった。真桜は私達家族と決別すると言い出す。
同じ顔で同じ声で、紡がれる言葉は刃のように鋭い。
そんな双子の妹に対峙する。
『何でそんな意地悪な事を言うの?』
『嘘でしょ?』
『だって私は真桜のお姉ちゃんなんだよ。真桜と一緒に居なきゃダメって事なんだよ』
『パパやママ達だって、ずっと真桜と一緒に楽しく暮らしたいんだよ』
いつもの言葉で言い返せば、絶対に優しい真桜だもの。考え直してくれるって信じてたのに…どうして?
どうしてそんな酷い事を言うの?
「美桜、あんたがそれを言うの? 笑えるよ。私はねあんた達を家族だなんて認めない。もうこの家にも帰ってこない。あんた達が私を要らないって言ってたんじゃん」
『真桜違うぞ。俺だって母さんだってお前の事を家族だと思って…』
「家族?違うでしょ。金ヅルでしょ?」
『違うわ!母さんも父さんもあなたのためを思ってやってあげてたのよ』
「私のため?全部自分たちのためでしょ? 家族旅行に行くから金を出せ、出したら今度はあんたは留守番に決まってるでしょ、これがあんた達が言う家族なんだ。私はね雑草でも石ころでもないの。生きてる人間なの」
『真桜、酷いよ』
真桜の酷い言葉にポロポロと涙をこぼした。いつもなら『ごめんね美桜』すぐに折れて来る真桜なのに。どうして今日に限って、真桜は私達に意地悪ばかり言うの?
今まであんなに楽しく過ごしていたじゃない。
「ねえ、美桜知ってた? 虐待されて、詐取されて来た方は今までの(されて来た)事を覚えてるけど、した方は何にも覚えてないのよね。それって理不尽だし、おかしいと思わない?」
だからね、美桜。私はあんたにも会いたくないの。
声も聞きたくないの。
だからもう、私の前に現れないで。
今まで通り好き勝手に人のクローゼットの中を荒らして、金目の物は自分の物にして、傲慢に我儘に生きてれば?
謝って貰っても、あんたとあの人達が私にして来た時間は戻らないの。
そう言い残して、真桜は私の双子の妹は私達家族の前から消えた。
それから一週間経っても、真桜は家に帰って来なかった。
朝から不機嫌だ。だって、あれほど明日は大学の入学式だから早く起こしてねって頼んでいたのに、ママったら起こしてもくれないし、朝ごはんだってそうだ。いつもなら皆んなの食べたい朝食がテーブルの上にあったのに、今朝はトースト一枚だけって、何よこれ。いつもだったら、ママはトーストとスープに野菜たっぷりのスクランブルエッグ、パパはご飯に焼き魚、卵焼きに味噌汁、私はフルーツを乗せたホットケーキとカフェラテが定番だったのに。
一体どうしてなの?
家の中は少しずつおかしくなってる。
シャツだっていつもアイロン掛けてあったのに。
ボタンだってほつれてたら、すぐに直してあったのに。
ママは仕事もしていないのに、食卓の上に並ぶのはコンビニのお弁当ばかり。ママは今まで見たいな一汁三菜のご飯も作ってくれなくなった。
パパはパパで、前まで月に一度は日帰り旅行に行っていたのに、それもなくなった。半年に一度の泊りがけでの旅行もなくなった。
どうして?
ママもパパもイライラしてるし、すぐに喧嘩するようになった。
今までママ達が喧嘩なんてしてるのを見た事なかったのに。
やっぱりママもパパも真桜がいなくなっちゃったから、寂しいんだ。だって家族だもんね。
今だったら、真桜があんな酷い事を言ってても、私達は優しいから許してあげるの。だってそれが家族なんだもん。
大学には真桜の友達も結構通っている。
彼女達に真桜の居場所を訪ねたけど、皆んな何故か白い目で私を見てくる。
何で?だって真桜さえ帰って来てくれれば、皆んな幸せなんだよ。
何回か読み返しているのですが、もしかしたら誤字脱字があるやも知れません。
もし、ありましたら…コソッと教えてください。