ハエと激闘
「死に晒せえ!!!」
『里栗 木苺』は全力でスリッパを振り回していた。
狙うは憎き標的。
その標的は一瞬にして消えてしまう小さくて黒い『アイツ』。
「クッソ! 躱された!」
まるで嘲笑うかのように飛び回り、視界から消えてしまう。
「絶対逃がさないから!!」
「……どうしたの姉ちゃん?」
弟の『里栗 団』が問いかける。
「団! ハエ! ぶっ殺すよ!」
「いや、何をそんなに殺気立ってるのさ」
「私のケーキの上に乗った罪を死を持って償わせる!!」
「あー、姉ちゃんの大好物に……」
「ほら叩く物持って!」
「へいへい」
周囲を見渡し、古新聞を筒状にして、新聞バットにする。
「で、どこらへんにいる
「そこお!!」
スッパァンと、団の尻をフルスイングする。
「いってぇえええ!!?」
「逃したか」
「わざと?! ねえわざとやった!?」
羽音を響かせ、あっちへこっちへ飛び回っている。
「本ッ当に鬱陶しい!!」
「姉ちゃん、このままじゃ埒が明かない。一旦落ち着こう」
「飛び回ってんのに落ち着けないわよ!」
「こんな時だからだよ。ほら、深呼吸
スッパァン!!
「えぼし!!?」
「ごめん顔の横にいたもんだからつい」
「ハエ顔面に叩きつけるつもりだったの?!」
されどハエは倒せず。
10分後
「今度はなりを潜めたね」
「隙間とかに逃げたかも、よっく探して!」
「こういう時って意外と天井にいたりして」
ブウン
「せいやあああああ!!!」
スッパン!!
「にぎゃあああああ!!?」
「あ、悪い姉ちゃん」
「女の尻を叩くんじゃない!!」
「さっき俺の尻叩いといてよく言うよ」
ブーン ピタ
「どっせい!!」
スッパァン!!
「あひいん!!?」
「逃した!!」
「男の股間を叩くんじゃない!!」
またハエ倒せず。
20分後
「台所に飛んでった!」
「まずい! あそこには今日のおやつが!」
「俺の饅頭!」
ブーン ピタ ごちです♪
「許さん!!」
「今度こそ死なす!!」
スパン! スパン! ブーン
「ちくしょう絶対許さねえ!!」
しかし、見失う。
30分後
「見つけた! カーテン待機してる!」
「ここで倒す……!」
すり足で近付き、気付かれない一歩手前まで迫る。
「ッ!!」
スパン!!
ブーン
「おしい!!」
「私がトドメを!」
スッパァン!!
ブーン
「ダメか!」
「ここまでか……!」
パァアン!!!
ポト
「「あ」」
「こういうのは長年の経験がものを言うのよ」
「「お母さん!!」」
こうして、帰宅した母により、ハエとの長い戦いが終わった。
「……いや、殺虫剤使いなよ」
by 帰宅した父
お読みいただきありがとうございました。
1000文字企画で出そうと思ってたのですが、テーマを見落として書いちゃったため普通に投稿することにした作品です。
楽しんで頂ければ幸いです。
お目汚し失礼いたしました。