クレスト オブ AOMORI ~灼熱のインディアン戦士~ 「海の覇者と地上の帝王が大激突。限界爆裂アルティメットバトル!勝つのはどっちだ!?」
登場人物
① 暁大作
作中では暁ジェロニモと名乗る主人公。身長二メートル15センチ、体重100キロ。
重さ55キロのトマホークを自在に操る。補助輪無しでは自転車に乗れない。
② 蝦夷馬糞薫
ジェロニモの好敵手。実家は株式会社青森エゾバフンウニ水産加工工場という地元ではメジャー企業。
華麗な容姿から女性ファンが多い。全裸にならなければ用を足すことができない。
③ 村崎宇仁子
水中プロレス部の顧問。28歳独身。かつて全国高校生異種格闘技大会で佐賀県代表として優勝経験がある。当時は適当な特産品が無かったので「ロマンシングサガ」をアップした。現役時代のあだ名「佐賀のマーメイド」と呼ぶと首をねじ切られる。危険人物。
④池垣博人
グランドキャニオン高校の校長。第一回全国高校生異種格闘技大会で優勝した過去を持つ強者。基本的に人畜無害だが、カラス天狗に育てられた過去についてしつこく訪ねると切れる。玉ねぎを生で食べれない。
⑤ ふじわらしのぶ
圧倒的かつ世界的に有名な強者。とにかくすごくてすばらしい。性格もすばらしく、みんなに慕われているのは間違いないが、みんなシャイなので誰も言ってくれない。
(秋の桜子先生の作品です。どうもありがとうございました)
作者コメント 「ヘーゲルてもゲーテでもかかってきな!!」
(雨音AKIRA先生の作品です。どうもありがとうございました)
作者コメント 「ふじわらしのぶは青森県を応援しています」
「ウァラララララッ!ウァララララッ!」
勇者の証、ウォーボンネットを頭に被った男が牛に乗って現れた。
腰には二本のトマホーク、肩には鷹を乗せている。
浅黒く日に焼けた肉体美の極致とも言うべき筋肉の鎧は男が歴戦の勇者であることを物語る傷痕が入れ墨のように施されていた。
黒い髪は荘厳な岩瀧のように長く、弱さというものを一切感じさせない。
男の整った顔立ちもまた巌のような厳しさを秘めており周囲を威圧するばかりだった。
男の名は暁ジェロニモ。
青森県立グランドキャニオン高校の荒くれ者が集うプロレス部の部長だった。
ジェロニモは腰に下げていた二丁のトマホークを引き抜いて、両翼を開いたコンドルのように構える。
それは決闘の宣誓であり、勝利宣言でもあった。
「ジャンボ!この戦いを偉大なる青森の全精霊と大酋長(グランドキャニオン高校の校長先生のこと)に捧げる!ウララララァァァーーッッ!!」
天を衝くような絶叫。
その叫びは祈りであり、断末魔でもあった。
普段は一般学生の一人にすぎないジェロニモだが今日この場で行われる戦いには死力を尽くして戦わなければならないほどの確固たる理由が存在した。
今日は青森県の特産品のナンバーワンを決める戦いが行われる日だったのだ。
ジェロニモが鬼プッシュしているのはアメリカ合衆国はインディアナ州原産の林檎、印度(実在)。
最近はサンふじに押され気味だが、青森インディアンであるジェロニモにとっては魂そのものだった。
印度を青森県の特産品のトップに上げて、やがては世界を獲る。
そして青森にインディアンたちの聖地を作りバッファローの群れを呼ぶことが暁ジェロニモの野望だった。
「そこまでだ、暁。青森県の特産品のトップに立つべき存在は高級感溢れるウニだ。そして、この青森グランドキャニオン高校の水中プロレスリング部のキャプテン蝦夷馬糞薫こそが代表選手にふさわしいということを証明してやろうではないか」
怒髪天を衝く。そんな言葉がふさわしい髪型の男がジェロニモの行く手を阻んだ。
「ウラァッ!」
ジェロニモは宿敵に向かってトマホークを投げつけた。
マッハ2の速度でトマホークは大回転しながら蝦夷馬糞の喉元に迫る。
これに対して蝦夷馬糞はキンキンに尖ったグラサンを投げて対抗した。
蝦夷馬糞のグラサンはスペースシャークというメーカー製でブラックグラサニウム合金という材質で作られている。
超スピードで超絶回転を続けるトマホークとサングラスは互いの作り出したソニックブームをぶつけ合った結果、持ち主の手元に戻ってしまった。
蝦夷馬糞は苦笑しながら、ブラックグラサニウム製の櫛で自慢のウニのトゲのような髪型を整えた。
今日も俺はウニってる。
「昨年の全国大会のことを忘れたわけじゃないよな、暁。君たちは決勝戦で敗退したんだよ。よりにもよって秋田県のハタハタの飯寿司にッ!」
蝦夷馬糞はその場で一回転しながら指を突き立てる。
お尻や腰、背中が露出状態にあるので全裸に見えなくもない。
妖艶なVOICE、中世的な容姿が加わることで水中プロレス部のファンのみならず蝦夷馬糞の個人的なファンが悲鳴のような歓声を上げた。
もちろん蝦夷馬糞はヒートアップすると全裸になる性癖があるので部の仲間たちも担架やタオルを持って控えていた。
「イ、インディアン嘘つかないッ!」
ジェロニモは激しく動揺するあまり禁句を吐いてしまった。
忘れられるものか。一年前の全国高校生異種格闘技大会においてジェロニモたちプロレス同好会(当時は部活ではなかった)は同大会の決勝戦で秋田県代表、県立トランシルヴァニア大学付属高校に敗北したのであった。
秋田県代表の選手は「しょっつる鍋に入れる具で剣道をやってみよう研究会」(※今年は剣道部に昇格した)の一年生ドラハゲ・フォン・ヨコテヤキソバン。
秋田きりたんぽ流という古流剣術を操る鬼神ナマハゲと吸血鬼ドラキュラのハーフだった。
おそらくドラハゲは今年の大会も出場してくるだろう。
ジェロニモも、卒業してしまったサンダーバード先輩の為に全国大会でドラハゲを倒さなければならない。だから、蝦夷馬糞ごときに負けるわけにはいかないのだ。
「前回は我が水中プロレス部は私の作ったうに丼を食べたせいでお腹の調子が悪くなって選考会に出場することが出来なくなってしまった。しかし、今年は違う。今年はうに丼を食べてもお腹を痛くしないように必死に鍛えたのだ。見ろ、水中プロレス部のメンバーを。誰一人として食中毒の症状が出ていないぞ!」
水中プロレス部のタフガイたちはげっそり痩せていた。
うに丼を食べなかった蝦夷馬糞だけが無事だったのだ。
「水中プロレス部ってのはプロレスの試合なのに口喧嘩で勝負するのか?ああ、それなら俺たちに勝ち目はねえな。だって俺たちはプロレスで強くなるトレーニングしかしていないからな。今度、口喧嘩の参考書が売ってる本屋を教えてくれよ。お前らがいっつも使っている図書室で勉強会開いてやるからよ。なあ、ガリ勉部のみなさん」
「ほう。暁、貴様はやはり新手の自殺志願者か。いいだろう。その挑発、乗ってやるぞ。貴様の生まれたての赤子のようなツルツル脳みそに油性ペンでしわを書けば少しは利口になるかもしれんな」
「蝦夷馬糞。テメーを料理した後は30円引き(※蝦夷馬糞薫は100gにつき489円税込。非売品)のシールを貼ってスーパーの鮮魚コーナーに並べてやるよ」
勝負前から火花を散らすグランドキャニオン高校の二大怪人。
その時、恰幅の良い初老の男が両雄の間に割って入る。
額には白毫、禿げ頭に胸のあたりまで伸ばした見事な髭。彼こそはその名も高き池垣博人。グランドキャニオン高校の校長である。池垣は軍配を握り締めて現れた。
池垣は雷の如き眼光を放ち、双方にコーナー前で待機するように促した。
ジェロニモはトマホークを腰のベルトに戻し、蝦夷馬糞は逆立ったワイルドヘアーを普通のロン毛に戻した。
「目の前の勝負に集中せんか。馬鹿者どもが」
池垣は二人に向かって注意する。
これがただの校長の言葉なら無視するところだが、初代全国高校生異種格闘技大会の覇者の言葉ならそういうわけにもいかない。
ジェロニモはコーナーポストの近くで革のベストとジーンズを脱いだ後、椅子に腰を下ろした。
専属マネージャーが軽いバイタルチェックとマッサージをする。その間、ジェロニモは頭の中で百人の白人の保安官を懲らしめるというルーティンを行っている。
「ホウッ!今、卑劣な白人の保安官どもの百人目の頭の皮を剥いだ。戦いの時がきた。お前たち、もう下がってもいいぞ。海と大地とリンゴの精霊よ。我に加護を!」
マネージャーたちは口の近くに手を当て「アワワワワワ!!!」と叫びながらリングの下に降りて行った。
一方その頃、水中プロレス部では蝦夷馬糞がケータイで青森民謡を聞いていた。
「ハイハイ!ハイハイ!アー、どっこいしょ!どっこいしょ!えんやこーら、どっこいしょ!」
周囲の迷惑も考えずにイヤホンから流れる民謡を口ずさむ蝦夷馬糞。
試合前にこうするのは彼の必勝のルーティンだった。
しかし、曲目が別の地方の民謡の気がするのはおそらく幻聴の類なのだろう。
あまりにリラックスしきった蝦夷馬糞の姿に不安を覚えた水中プロレス部の顧問、村崎宇仁子は蝦夷馬糞のもとに駆け寄った。
美人教師が目の前で口をパクパクさせている。
キスでもせがんでいるのか?
蝦夷馬糞はウニの形をしたイヤホンを外した。
「これは先生、何か御用ですか?」
「試合。もう始まっているわ。早く行かないと失格ですって」
目の前には林檎よりも赤くなったジェロニモが額に血管を浮かべながら立っていた。
冷笑。
蝦夷馬糞は両手でさっと髪をかき上げ、ウニのトゲのように逆立てた。
「試合前にウォークマンで音楽鑑賞とはずいぶんと舐めた真似をしてくれるじゃねえか、ウニ野郎」
「お前のような下等動物相手には十分さ。いや、むしろケータイのアプリをウォークマンってお前は本当に高校生なのか?」
ついに二人はリングの中央で向かい合った。審判はご存知の池垣博人。
池垣は今にも互いの喉元に食らいつきそうになっているジェロニモと蝦夷馬糞を引き離した。
「いいか。お前ら、これはあくまで試合だ。殺し合いじゃない。相手が降参しますって言ったら終わりだからな」
ジェロニモは二本のトマホークを振り回した。
トマホークの分厚い刃は空気を切り裂いて真空カマイタチ現象を引き起こした。想定外の奇襲に池垣は表情を引きつらせてしまった。そして、斬撃を回避し損ねた池垣のほっぺから血が流れ出した。
「まあ、そこで見てな。蝦夷馬糞の心臓と肝臓をアンタに捧げるぜ。大酋長」
一方、蝦夷馬糞はジェロニモの放った真空波を髪の毛で全て弾き飛ばしていた。蝦夷馬糞の髪の毛は高度な科学トレーニングによって長さや強度を自分の意志で変化させることができるのだ。
「これがお前の全力か。だとしたら俺の過大評価ということになるぞ、暁。今の攻撃なんぞは毎日牛乳を飲んだり、ひじきを食べて鉄分を摂取している俺にとってはどうということはない。フン。暖簾にダメ押しというヤツだな」
「少しばかり頭が良いからといって難しい言葉を使いやがって、この頭でっかちが」
二人はリング中央に戻り、そして決勝戦が始まった。先攻を決めたのはジェロニモだった。蝦夷馬糞の放ったストレートを避けながら、ローリングソバットを当てたのだ。ジェロニモの体重は100kgを越えるのに対して、蝦夷馬糞は80kgギリギリとプロレスラーとしては軽量級の部類に入る。 その攻撃を受ければ当然のように、後退せざるを得なかった。
「どうだい、大将。俺のトルネードソバットは?」
蝦夷馬糞は腕を交差してソバットの直撃から逃れていた。しかし、その代償は決して軽いものでは無かった。ヘビー級のローリングソバットの威力を殺しきれずに、腕が痺れたままになってしまったのである。
もう一撃食らえば骨折は免れないだろう。明日から今の二倍のカルシウムを摂取しなければ。
だが、蝦夷馬糞は苦痛と同時に勝利が確実に近づいてきていることを確信していた。ジェロニモはブーツごしといえど蝦夷馬糞に向かって打撃を入れてきたのである。無傷であるはずがない。
「そういうことは自分の足を見てから言うんだな」
蝦夷馬糞の勝ち誇った笑顔を見たジェロニモは恐る恐る自分の脚を見た。皮膚は裂け、出血している。咄嗟の出来事だったが、流石はインディアンの戦士と言うべきか続く蝦夷馬糞のブーメランフックをガードすることに成功する。その刹那、ジェロニモを出血と激痛が襲った。
「ストップだ。蝦夷馬糞。武器を隠していないかどうかを調べる為に身体をチェックさせてもらう」
池垣レフェリーは蝦夷馬糞の身体、コスチュームを調べた。試合の進行に影響しない程度には調べたが、蝦夷馬糞の身体から凶器の類は一切出て来なかった。しかし血まみれのジェロニモを見る限り鋭利な刃物が使用されたことはほぼ間違いない。出血も止まり、体力が回復してきたのでジェロニモは池垣に静かに告げた。
「大酋長。公平さを重んじるアンタのバトルスピリッツには尊敬の念を禁じ得ないが、これ以上の休憩は必要ねえ。俺はもう十分に休めたからよ。アンタはバッファローの群れが到着する報せを待っていればいい」
池垣は頭を振るとストップを解き、選手から離れた。
「弱者にしては殊勝な心掛けだな。暁。お前の死体は津軽海峡の主、大王イカのエサにしてやろう。
喜べ、破格の待遇というやつだぞ」
水中プロレスにおいて対戦相手を倒した後に死体を海に流して海の生物のエサにすることは相手に対しての最大級の礼儀として知られる。学生の身分ではあるが、蝦夷馬糞は県大会で数多くの他校の選手を水葬にしてきた。このままでは勝てない。ジェロニモは屈辱に身を焼かれるような思いでガードを固めなければならなかった。
そこからは一方的な試合だった。蝦夷馬糞の華麗な空中殺法が次々と炸裂し、功を焦って反撃に失敗したジェロニモはカウンターを食らうばかり。さらに蝦夷馬糞の謎の攻撃を受けてジェロニモはまともに立っていられなくなるほどの血を流していた。これ以上、試合が続けば水戸黄門(再放送)が終わってしまう。池垣もまた試合の中止を検討する段階にまで及んでいた。
「そろそろ降参したほうがいいぞ。暁。お前が弱いから俺に勝てないのではない。俺の前では誰もが弱者に成り下がるしかないのだ。例え相手が前の大会の覇者、ドラハゲ伯爵だろうとな」
朦朧とする意識の中、ジェロニモは憎きドラハゲの名を聞いた。決勝戦でサンダーバード先輩が負けたあの時以来、ジェロニモはキザったらしい裏が赤地の黒マントと秋田名産きりたんぽのついたサーベルを忘れたことはただの一度も無かった。背中と胸に「秋田小町」という屈辱的な傷をつけられて敗北したサンダーバード先輩の仇は自分が取ると誓ったのは嘘だったのか。死に体同然だったジェロニモの心に火が点いた。流した血はレバーやプルーンを食べて取り戻せばいい。
「大地よ。海よ。空よ。卑劣な白人の保安官と判事と騎馬隊に死の罰を!」
ジェロニモは脳内でドーパミンとアドレナリンとエンドルフィンを過剰分泌させることで出血を止めた。ジェロニモは全国的に青森県のとある山で修行したことで脳内でホルモンの分泌をコントロール出来るようになっていたのだ。出血が止まり、視界が回復した時にジェロニモは蝦夷馬糞の隠された力の正体に気がついた。
「蝦夷馬糞薫。恐ろしい男よ。貴様はウニの力を我がものとしていたのか。これでは俺の攻撃が通用しないはずだ」
それは普通の人間の眼には決して映らぬ生物の器官だった。ジェロニモとて八郎潟に眠る大精霊と一体化しなければ感じることさえ出来なかっただろう。だが、今ならばはっきりと見える。蝦夷馬糞の身体を覆うウニの殻を感じ取ることが出来るのだ。あの針の山に突っ込んでいたのか。ジェロニモは目に映らないという恐怖を教え込まれた。そして同時に大精霊に感謝することも忘れない。
「ようやく気がついたか、暁よ。これは俺が海中でウニの世話をすることにより手に入れた力、その名も見えないウニの殻だ。この力を一度、発動させればたとえ水爆の直撃を受けても俺だけは絶対に助かる(他の人は死ぬ)。お前の打撃ごときが通用するわけがなかろう」
蝦夷馬糞は青森エゾバフンウニ水産加工会社の長男として生まれ、幼い頃から美しい海女たちと共にムラサキウニやエゾバフンウニの世話をしてきた。その過程で彼はウニと心を通わせることにより、タコなどの水棲生物が持つ周囲の背景に溶け込むように体色を変化させる擬態能力と核攻撃をも凌ぐ絶対防御の力を獲得したのだった。
ここから始まる大逆転劇!誰もが少年誌的な展開を想像したが、実際はそうはならなかった。否。大精霊と一体化することで強化された超感覚を持つジェロニモだからこそ蝦夷馬糞と自分の間にどれほどの力の差があるのかを思い知ってしまったのである。打つ手無し。この時、ジェロニモは目の前に迫る己の死を覚悟した。その時、会場の何処からジェロニモを呼ぶ声があった。
「ジェロニモ。俺との戦いを忘れたか。その技は超音波攻撃に弱い。お前の必殺技、インディアンミラクルボイスなら蝦夷馬糞薫を粉微塵に出来る」
ヤ行から始まるプロ野球チームの帽子をかぶった男だった。さらにサングラスをかけているので断定することは出来ないが今年の春の新人戦でさんざんジェロニモを苦しめて名勝負を繰り広げたその男の名は。
「お前は東京都代表、太陽ヒカル。余計な真似をするな」
正義チームの思わぬ加勢により蝦夷馬糞はあっさりと自分の弱点をバラされてしまった。一方、戦意喪失状態に友情パワーによってわずかに意識を取り戻した。友よ、今こそ一人カラオケで鍛えた己の喉の力を試す時。前大会以来、ジェロニモは一日十六時間のハードトレーニングを行った後は必ず残りの八時間を一人カラオケに使っていた。彼がいつ眠っていたとか、他にも時間の使い方はあるだろうという指摘はさておいて特訓の成果としてジェロニモは裏声でハミングした時に新東京国際競技場を破壊するほどの声量を手に入れていたのだ。
「ウラララーーーーッ!!善戦超人の汚名挽回ズラァァァーーッ!」(※汚名を挽回すると恥の上塗りになってしまいます。汚名は返上、名誉は挽回しましょう)
百万ホーンを越える一千億万ホーンの叫び声が蝦夷馬糞の見えないウニの殻を粉微塵にしてしまった。その後、蝦夷馬糞もまた分子レベルまで細かく砕かれてしまった。
「ぐあああああっ!わが生涯に悔い無し!ジェロニモ、今回の勝負はお前に花を持たせてやるぜー!カーッカッカッカ!」
こうして青森県の代表は暁ジェロニモに、ナンバーワンの特産品はほど良い酸味と甘みを持つサンふじに決まったという。多数決なので仕方ない。
これが世の中のルールというものだ。