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ネタがわかった人はきっと同年代。
月が二つ〜♪
脳内に流れたのは懐かしいアニメの曲。
別に女は性的対象ではないけど、ツンデレヒロインはめちゃくちゃ可愛かったのを覚えている。
いや、もっと最近の異世界ものあるだろうって?
最近のは残業、残業、そのまた残業で忙しくて手をつけてないんだよ…。
だから彼氏が浮気相手連れ込んでるんだろって?
うるせぇ。
一人現実逃避を一旦終了して先を歩む少年の背中を見る。
歩く度に揺れる長い銀髪が、光を反射して煌めいている。
服装は民族衣装だろうか?
アオザイのような見た目だが、装飾が多く、そのどれもがとても似合っていた。
「なぁ、名前…聞いてもいいかな」
恐る恐る聞いてみたが、杞憂だったようで振り返った少年の顔は笑顔だった。
「そっか、名乗ってなかったよね!僕はアイオラ。よろしくね」
「アイオラ…」
名前まで美しいとか反則では?と思いながらその名を小さく呟いた。
その小さな呟きが聞こえたのか、アイオラはコテンと首を傾げる。
「いや、何でもないよ。綺麗な名前だと思っただけなんだ。俺は黒曜。よろしく」
「コクヨウ…不思議な響だね!」
コロコロ変わる表情を眩しく思いながら見つめる。
コバルトブルーだと思った瞳の色は、どうやら光の加減で色が変わるようだった。
「この国の、名前を教えて貰えないだろうか?」
自己紹介の後、しばらく無言で歩いていた俺に合わせるように無言で歩いてくれていたアイオラ。
多分この子はとても聡い子なんだろう。
俺が色々と考えている事に気づいて、邪魔しないようにしてくれていたようだ。
しばらく景色を見て、漸く聞く覚悟ができた。
きっと返ってくるのは聞いたこともない国の名前だろう。
それでも、最後の確認として聞いておこうと思った。
「ここは、ユウェル王国。僕が住んでる街の名前はララピス」
終始穏やかに答えてくれたアイオラに
「そっか」
と、だけ返した。
毎回短いですよね…。
長文書けない。