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「落ち着いたかな?」
ひとしきり泣いて、スキッりする心と泣きすぎて重たくなった頭で目の前の少年を改めて見た。
やっと目があった事に安心したのかニッコリと笑った少年の瞳が、見たことがないくらい綺麗なコバルトブルーだった事に今更気づく。
目を合わせたまま固まり動かない俺に、また少し心配そうな瞳になる。
その瞳があまりにも綺麗で息を飲んだ。
「きれいだ…」
やっと泣き止んだ自分より年上であろう男が、ようやく理解出来る言葉を発したと思ったらこれだったら…。
俺なら持てる力の全てを使って逃げるだろう。
それくらいキモイ。
俺、絶対今めちゃくちゃキモイ。
やらかした!と、思って慌てて弁明しようと口を開いたところ
「あ、ありがとう…」
先に声を出したのはまたもや目の前の少年だった。
その顔は照れているようで、頬がピンク色に染まっている。
なんて美しいんだろうか。
その瞳はさることながら、髪の色素は薄く絹糸のように肩に流れ落ちている。銀色だろうか?瞳と同じで珍しい色だ。
その顏は将来有望だろうという事がありありと感じ取れる。
いや、もう既に有望だろう…。
きっと既にモテモテで困るレベルだ。
少年にしては不思議な色気をまとっている気もする。
28にもなる自分が言うと絶対気持ち悪いし、きっと少年のセクシャリティは異質な俺とは違うだろうから言うことも一生無いだろうが…。
ぶるりっと寒さを感じて身震いをする。
どうやら長いこと地面に座り込んでいたからか、身体が冷えたようだった。
それを見た少年が先に立ち上がり手を差し出してくれた。
「とりあえず僕の家においでよ」
その顔はまるで女神のようで…。
男の子に女神ってのもおかしいだろいか……。
それにしても…………
多分俺より年下だろうに、めちゃくちゃ気が利くね?