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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

おまかせシリーズ

姉さんにおまかせ!~弟のパンツを被る私~

作者: ぴょー

聖剣におまかせ!の方の話には入れられなさそうなストーリーだったけど、思いついてしまったので短編で投稿。よかったら読んでみて下さい!

 こんなはずじゃ……ごめんね、お姉ちゃんもう……





 私、ノインは村の依頼で、村の近くに現れるトロールの退治を依頼された。


 普段私はあちこちの村の依頼を受け、成功報酬をもらい生活している。


 私の両親はすでに亡くなり、今は弟と2人で暮らしている。


 その弟がもうすぐ誕生日で、プレゼントは何にしようか迷っている時にこの依頼の話が来て、しかも報酬もかなり高かった。

 これなら弟のプレゼントにいい物を買ってあげられそうと思い、この依頼を受ける事にした。


 基本ソロで活動している私でも、トロール1体なら何とか倒せるし、問題ないとその時は思っていた。



 依頼を受けた私は、まずそのトロールが現れるという場所に偵察に行く事にした。


「確かここらへんって言ってたよな~」


 村の外れの方にある森の入り口付近でよく目撃されると聞いて、その辺りを探してると……


「あっ! 居たわ! ……って、何か傷だらけね?」


 そのトロールは何故か傷だらけでかなり弱っていた。


 私はこれはチャンスだ! と思い、次の瞬間にはトロールに向かって走り出していた。


「弱ってるけどごめんね! 私も弟のプレゼントがかかってるのよ!」


 そして私は両手に短剣を持ち、トロールに斬りかかる。


「グォォォー! …………」


 トロールは見た目以上に弱っていたみたいで、私が連続で斬りかかるとあっという間に倒してしまった。


「……何か呆気なかったわね、でもこれで報酬は貰えるしラッキーね♪」


 私は討伐した証にトロールの牙を叩き折り、それを持ってきたバッグに入れる。


「早く終わったし、報酬貰ってプレゼント選びにでも行ってから帰ろうかな~!」


 そしてとりあえず村に戻ろうとしたが、その時


「ガァァー!!!」

「!!!」


 私の後ろに現れたのは、さっきのトロールより大きく2倍はあると思われるトロールだった。


「もしかして……トロールキング!?」


 マズイ! トロールキングなんか私じゃ倒せない! そう思って逃げ出そうとしたが……


「「「「グォォォ!!」」」」 


 逃げようとした方向には、4体のトロールが道を塞いでいた。


 囲まれた! どうしよう!? 私じゃ4体も相手に出来ない、それにトロールキングもいる!


「「「「ガァァ!」」」」


 4体が同時に私に襲いかかってきた!


 トロールが持っている木の棒を振りかぶり、私目掛けて攻撃してくる。


 必死に避ける私だったが、1体を何とか倒せる私の実力では最初から勝負は決まっていた。

 いや、勝負にすらなってない、一方的にやられるだけだ。



 徐々に攻撃を受けるようになり、どんどん身体が動かなくなっていく……


 もう駄目だ……トロール達は弱っていく私をいたぶって楽しんでいるようだ。



 ごめんね……お姉ちゃんもう……お姉ちゃんが居なくなっても強く生きてね……


 トロールが木の棒を私の頭目掛けて振りかぶる……その時


「……大丈夫?」


 私と殴りかかってきたトロールの間に、1人の女性が飛び込んできた。


 私に殴りかかってきてたトロールは、腕が斬られて無くなっていて、痛みで後退っている。


 その女性は私の方に手を差し伸べてくれた。


 綺麗な黒髪に整った顔、手足はスラリと長くスタイルも抜群、本当に同じ人間なのかと思うくらい私とはかけ離れていて、逆光もあり、神々しく見えた。


「クリス!? 数が多過ぎですわ! 彼女もケガしてますから、とりあえずここは退きましょう!」


「……ニナ、わかった……あなた立てる?」


「えっ? は、はい何とか……」


「とりあえず逃げるから、ちょっと目を閉じてて?」


「はい……!!?」


 言われた通り目を閉じると、目を閉じても分かるくらいまぶしい光に包まれた。


 その瞬間、クリスと呼ばれた女性に手を引かれ、私達はその場から走り去った。



 そしてしばらく走って何とかトロールキング達から逃げ切った私達は、村にある宿屋にいた。


「これでもう大丈夫……」


「ありがとうございます! 死ぬかと思ったところを助けてもらって……しかも回復魔法まで」


 命を助けて貰っただけでなく回復魔法まで……


 回復魔法を使える人は多少いるがそこまで多くない。

 回復魔法を使える人は大体、治療院などで働く人がほとんどなので、一般人で使える人は私は見たことがない。


 しかもクリスさんは剣術の腕も凄いと思う。

 トロールの腕を斬ったあの動き……私には見えなかった。


 回復魔法を使えて剣術も凄い、もしかして凄い人なんじゃ……


「すいません! 今お金これしか持ってないんですけど……」


 私は今持っている全財産をクリスさんに渡そうとした、しかし


「お金はいらない、私が勝手に助けただけだから、それに……」


「それに?」


「あなたからは弟の事を大切に想う強い気持ちを感じたから、同じ姉としてほっとけなかった」


「何で!? 何で私に弟がいるって分かったんですか!?」


「……私の姉レーダーは高性能、しかも想いが強ければ強いほど敏感に感じる」


 何言ってるんだろうこの人……助けてくれた恩人だけどちょっと……いや、大分変わった人だな……


「ちょっとクリス! 彼女が引いてますわよ!」

「……ニナ、でも本当の事だから……」

「それでも初対面の彼女に……ところであなたお名前は?」


「あっ! 私はノインっていいます!」

「ノインさんね、わたくしはニナですわ! それでこちらがクリスですわ」


「ニナさんにクリスさんですね! ニナさんも助けてくれてありがとうございます!」

「お礼はいいですわ♪ クリスが勝手に飛び込んで行っただけですもの、それであなたは何でトロールキングと戦ってましたの?」


「それが……」


 そして私は弟と2人で暮らしている事、村の依頼でトロールを倒しに行ったこと、そしてそれが終わった時にトロールキング達に囲まれた事を2人に話した。


「それは大変でしたわね……」

「多分最初の傷だらけのトロールは、群れを追い出されて帰る場所がなくて森の入り口をウロウロしていたのね……それで追ってきたトロールキングと鉢合わせしてしまったのよ……」


 そうだよね、そうじゃなかったら傷だらけのトロールがあんな所にいるはずないよね……


 弟のプレゼントの事で頭がいっぱいだったから、そんな簡単な事にも気付かないなんて……


「ノインは何も悪くない、弟の事を想って行動するのは姉として当たり前」

「そうですわ! 姉というのは弟がいて、はじめて姉なんですもの!」


 いや……弟じゃなくても妹でも姉だよね? まあ私の所は弟だし、弟の為に頑張ってるのも当たってるから、何も言わないでおこう……


「……でもこんな事になったら弟のプレゼントどころじゃ……」

「そうですわね……ところで弟さんは何歳になりますの?」


「えっ? 弟は今度の誕生日で12歳になります……」

「そうですの!? わたくしの弟と同じくらいですわね! わたくしの弟は10歳ですのよ!」

「……私の弟は18歳……」


「それで弟さんとはいつも一緒に寝てますの?」


「へっ!? ……え、ええっと、まあ、弟と2人暮らしだし、家が狭いんで……」

「いいですわね! わたくしの弟なんて最近一緒に寝てくれなくて……」

「……私も……忍び込もうとしたらママとかが先に居たりしてなかなか……」


 何だろう? 弟の話をしてる2人が何か生き生きしてるような……


「それで食事はどうしてますの?」

「食事は私が作って2人で……」


「羨ましいですわ! わたくしの家はシェフが作ってみんなで食事なので、弟と2人きりなんて……!」

「……私も家族みんなで食事だから2人きりって事はない……羨ましい!」


 私からしたら家族みんなで食べる方が羨ましいと思うんだけど……ただ2人は自慢してる訳でもなく、本当に私を羨ましがっているのがビンビン伝わるから、別に嫌な気持ちにはならない。


 というか、弟の話ばっかりじゃない? しかもグイグイ来るし……


「それで食事の後の弟さんのスプーンやフォークはどうしてますの!?」


「す、スプーン!? フォーク!? ……いや、食器と一緒に洗ってますけど……」


 何でスプーンとフォーク!? 普通に洗うでしょ!?


「もったいないですわ! 2人きりで食事をして、しかも食器を洗うのに持ち出すチャンスがあるのに、ペロペロしないだなんて!」


「ぺ、ペロペロ!?」


「そうですわ! あなたの作った料理を美味しそうに食べて、その顔を思い浮かべながらのペロペロ……わたくし、想像するだけで昇天してしまいそうですわ!」


「……私も羨ましい……私料理できないし……いつも弟が食べ終わった食器はママが下げてるから……多分、ママがペロペロしてるはず……私もやりたい!」


「…………」


 変わってるなぁ~とは思ったけど、この人達変わってるどころじゃない! 変態だ! 重度のブラコンを拗らせて、もう手遅れに……

 ただ命の恩人なのでそんな事、口が裂けても言えない!


「……それじゃあ洗濯物は?」

「せ、洗濯物?」


「……あなたは弟の洗濯物をクンカクンカしないの?」

「しないです!」


「まあ! 本当ですの!? せっかく弟がいるのに、あり得ないですわ!」


 クンカクンカって何だよ! そんな事する方があり得ないわ! ……っていけないいけない! いくら相手が変態でも恩人には変わり無いのよ! 落ち着け私!


「……もったいない、せっかく選び放題なのに……」

「わたくしも必死に作戦を練って、ようやく手に入りますのに……」


「弟のとはいえ、洗濯物ですよ!? 汚いんじゃ……」


「何言ってますの!? 弟のニオイといえば、姉にとっては香水……いや、それ以上の香り、弟のニオイに包まれていれば、姉という生き物はそれだけで生きていけますわ!」


「……弟のニオイに包まれた姉、それは姉として最強の存在になる……私もそれで長年破れなかった壁を突破して、もう1つ上のステージに行けた……ノインもやるべき、姉は弟がいて初めて強くなる……」


 ……頭がおかしくなりそう! 2人が真面目な顔して語ってるから、段々私の方がおかしい様な気がしてきた。


 私変じゃないよね? おかしくないよね?

 みんな教えて! ただこの2人の変態と一緒にされたくないから2人のいないとこで!


「……」

「ノインも段々わかってきたようですわね♪ わたくしも最初はスプーンペロペロと枕クンカクンカだけでしたが、クリスに洗濯物の事を聞いて試したら、今までの数倍は強くなりましたわ! もちろん姉としても♪」


「……最初は弟のシャツから始めてもいいけど、私のおすすめはパンツ、弟のパンツを被ると世界が広がる……そして宇宙の理を知ることになる……」


「わたくしも最初に弟のパンツを被った時、世界が止まってしまいましたわ! そして、時の流れを掴む事が出来ましたわ!」


「……はあ……」


 宇宙? 時の流れ? 何言ってんだコイツら? というか私がやりたがってるような話になってるんだけど! もうやめて!


「……ノインはどうしたい? 多分あなたが弟のニオイで力を得れば、トロールキングなんて敵ではない、そうすれば弟にプレゼントを買ってあげられるわ」


「正直半信半疑でしょうけど、弟を想う姉として、ここを乗り越えたらノインはまた1つ、姉のステージが上がりますわよ?」


 半信半疑どころかまったく信じてないし、変態の仲間にはなりたくない……ただ弟のプレゼントの事を言われると何も言えなくなってしまう。


 両親がいないし、私も仕事であまり家にいない……いつも寂しい思いをしてる弟にプレゼントを買ってあげて、喜ぶ弟の顔を思い浮かべる……


「……私……弟にプレゼントを買って、喜んでもらいたい!」


「……ノイン、やっぱりあなたは私が見込んだ姉だった」


「さすが姉ですわ! そうと決まれば早速リベンジですわ! さぁノイン! 弟のパンツを取りに行ってらっしゃい!」


「本当にパンツ取ってくるの!?」


「当たり前ですわ! パンツがないと始まらないですわよ!」


「……大丈夫、何も心配はいらない、私達を……そして姉である事を信じて!」


「……わ、分かったわ!」


 分かってないけど、分かったと言うしかないじゃない! 何なのこのノリ?

 とりあえず弟のパンツを取りに家に帰る。


「ただいま……」


 よかった! 弟は遊びに行っていないみたいだ。

 急いで洗濯物の中から弟のパンツを取り、ポケットに入れて待ち合わせに場所に戻る。


「お待たせしました!」

「……早かったね」

「ノイン、持ってきたみたいですわね♪ それでは行きますわよ!」


 そしてさっき逃げ出した場所へ戻ってきた。


「トロールが増えてますわね?」

「……多分私達を探す為にキングが呼び寄せたんだと思う……」


 トロールが20体以上はいる……こんな数勝てるの? 不安に思っていると


「……トロールは私達にまかせて、ノインはキング1体に集中できるようにするから」

「それじゃあ行きますわよクリス! ノインはキングへの道が出来たら動いて下さいまし」

「……分かりました!」


 そしてクリスとニナは、それぞれポケットからパンツを取り出し……


「……ハル、お姉ちゃんに力を貸して!」

「お姉ちゃん頑張りますわ!」


 2人は弟のパンツを被り、トロールに向かっていく!


 本当に被った! 知らない人から見たら変態が暴れてるだけにしか見えない……いや誰から見てもか……

 っていうか私もあれやるの!? 無理無理! 私は変態になりたくない!


「……遅い!」

「どこを見てますの!? わたくしはここですわ!」


 ただ2人とも強い! そして動きが速い。

 トロール達は2人に翻弄されて攻撃出来ずに倒されていく。


 そして2人の言った通り、トロールキングの周りにトロールがいなくなりスペースが空いた。


「ノイン! 今ですわよ!」

「……頑張って! 弟がついてるわ!」


 覚悟を決めてトロールキングに向かっていく、ただパンツは恥ずかしいから被らなかったが……


「近くで見ると更にでかく感じるわね! でもプレゼントのため!」


 短剣を握りトロールキングに攻撃する!

 左右にフェイントを入れながら斬撃を繰り返す。

 トロールキングの攻撃も避けて、攻撃を繰り返すと、トロールキングに徐々に傷が増える、しかし致命傷を与えられない……


 そうするとトロールキングが一瞬ニヤッと笑ったと思ったら、私は吹っ飛ばされていた。


「くっ!……」



 吹っ飛ばされて倒れた私は、何が起きたのか分からなかった。

 全然見えなかった! もしかしてずっと私は遊ばれてたの? そしてキングはゆっくりと私に近づいてくる。


「いけない! ノイン、逃げなさい!」


 ニナにそう言われるが、身体がいうことをきかない。

 やっぱり私は駄目だったか……バカなお姉ちゃんでごめんね……


「……ノイン! パンツを被って!」


 クリスが何か言っている。

 まだパンツがどうとか言ってるし……変態の考える事はよく分からないな。


 ただ最期だし変態の言うことでも聞いてやるかな? 今日会ったばかりだし変態だけど、同年代の友達っていなかったから、今日は楽しかった……そして……


 ポケットから弟のパンツを取り出し被る……

 すると……




「お姉ちゃ~ん!」



「お仕事頑張ってね!」



「ごちそうさま! お姉ちゃん今日も美味しかったよ!」



「おやすみお姉ちゃん!」





「お姉ちゃん! 大好き!」




 弟の香りと共に思い出がよみがえる。


 そして弟の香りに包まれていると……


 弟がすぐそばにいる……お姉ちゃん頑張ってと言われているような気がする……


 そして弟の為ならお姉ちゃんは何だって出来る!!!



 トロールキングが私を踏み潰そうと足をあげるが……


 素早く抜け出した私は、ジャンプしてトロールキングを斬りつける!


 凄い! 力が溢れてくる!


 さっきまでは何度斬りつけても浅い傷しか出来なかったのに、今は一撃で深い傷痕が出来た。


 傷つけられ怒ったトロールキングが攻撃をしてくるも、私は難なくかわす。


 遅い、遅すぎる! まるで時が止まったみたい……


 そうか……クリスとニナはこの事を言っていたのか! 確かに弟の事を想う力が、私をそうさせているんだろう。


 もう終わりにしよう、そして弟が待つ家に帰ろう! そしてトロールキングに近付き……


「グァッ! …………」


 短剣で首元を斬ると、トロールキングの首が落ちる。




 ……終わった、私……お姉ちゃんやったよ!


 すると身体の力が抜け、私は倒れかける。

 クリスとニナが駆け寄って、私を抱き止める。


「ノイン、やりましたね! 立派な姉でしたわよ!」

「……ノイン、あなたは壁を越えた、そしてさらに素晴らしい姉になった、弟も喜ぶと思う」


「クリスさん……ニナさん……私、やりました!」


「……ノイン、呼び捨てでいい、敬語もいらない、何故なら私達は仲間、弟を持つ姉仲間」


「わたくしも結構ですわ! ノインは仲間であり友達ですわ! 一緒に弟について語り合いましょう?」


「……私も、弟の話を出来る友達が欲しかった」


「クリス、ニナ、これからもよろしくね」


「「こちらこそよろしく」」



 またクリスに回復魔法をかけてもらって、村の依頼の達成を報告する。


 トロールキングもいた事に驚いていて、お詫びも兼ねて、報酬はかなり色を付けてくれた。


 これだけたっぷり報酬を貰えたから、弟がずっと欲しがっていたおもちゃが買える! そう思っておもちゃ屋に寄り、急いで家に帰った。


「ただいま~!」


「お姉ちゃん! おかえり~!」


「はい、誕生日おめでとう♪ これプレゼントよ♪」


「ありがとう! 何かな~? あっ! これ欲しかったやつだ! お姉ちゃんありがとう! 大好き!」


 あ~! この笑顔、そして私に抱きついてきた弟のニオイ、そしてお姉ちゃん大好きって!


 姉力が上がった私にはたまらない!

 ヤバっ! 鼻血出そう……


 そして誕生日のごちそうを食べて(もちろんスプーンはペロペロ)買ってあげたおもちゃで遊んだ後、弟は疲れて眠ってしまった。


 私も今日は色々あったので一緒に布団に入って寝る。


 弟に抱きつかれ、弟のニオイに包まれて寝る……こんな素晴らしい事だったなんて……


 本当に姉に生まれてよかったー!




「……ノインも私と一緒に仕事しない?」


「えっ!? 私?」


「……ニナも一緒にやってるんだけど、お給料はちゃんと出すから」


「クリスの所で働けば安定した収入になって、より弟と幸せに暮らせますわよ?」


「安定した収入は嬉しいけど……クリスって何の仕事してるの?」


「私はパパの仕事の手伝いしてる、地方に行っての仕事が多かったけど、最近弟も働き始めたから地方の仕事は減って、街の見回りしたり、依頼受けたり……」


「えっと……クリスのパパって?」


「勇者一族の当主やってる」


「えええっ!!!」


「だから、もしよかったら一緒に働こう? 街に住む事になるかもしれないから、住む所は用意するし、もちろん弟も一緒に」


「話は嬉しいけど……私なんかでいいの?」


「もちろん、むしろノインじゃないとダメ、姉仲間で、弟の為に頑張れる気持ちを分かり合える友達」


「もちろん、わたくしも大歓迎ですわよ♪ 一緒に仕事して、一緒に語り合いましょう♪」


「うん、私決めたよ! 私もクリスとニナと一緒に働きたい! そして弟の話をいっぱいしたい!」


「ありがとう、じゃあこれからもよろしく」


 それから私はクリスの所で働くため、弟と2人で引っ越しの準備をしている。


 クリス達はこの間の戦いで、パンツを失ったので、力の補充(新しいパンツ)をしに一旦街に戻って、2週間後に迎えに来てくれるみたいだ。



「お姉ちゃん、街って大きいのかな~♪」


「すごく大きいわよ! 人もいっぱいいるから、友達いっぱい出来るといいね♪」


「でもそんなに大きいと迷子になっちゃいそう……」


「大丈夫、どこにいてもお姉ちゃんが見つけてあげるから♪」


「本当!? 約束だよ!」


「本当よ♪ だって私はお姉ちゃんだもん、弟の為だったら何でも出来るのよ!」


「お姉ちゃん、大好き~!」




 玄関のドアがノックされる。


「……ノイン、迎えに来たよ」

「さあ2人とも行きますわよ!」



 私の新しい生活が始まる……


 不安もあるが弟と一緒なら大丈夫、だって……




 私はお姉ちゃんだから!

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