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覇王セリスの後日談  作者: ダンヴィル
2章、軽い刺激
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魔力の残り香


 4月2日


 昨日の夜はあまりにもドキドキと緊張していて眠れそうになかったのでセリスに眠りの魔法で眠らせてもらいました。

 そして、日の出もまだ先な朝早く。

 私は寝間着でベッドに座りセリスと向き合っている。


「い……いつでもどうぞ……」


「あ~……うん、そんな反応されるとやりにくいんだけど……」


 知りませんよ!セリスがしたいって言ったんじゃないですか!?


「……私はそれなりに覚悟しているので、セリスがどういう文化の中で生活していたのか、そう言うのを知るのも楽しいと思っているので………その………キスも……はい…………」


 いやまあ……女性同士というのも変な気はしますけど………しますけど!そう言った行為はやはり気になるじゃないですか!

 文化云々も嘘ではありませんけど……その…………それに……なんやかんや言ってもセリスは同性でも魅了するほど美しくて格好いいですし………

 あ……やっぱりこうやって見てると男性の姿のセリスと似てる………

 いやいや!この考えは不味いです!


「やっぱりやりにくいんだけど……でも文化か。

 確かにそういう違いって面白いし、服装の違いなんかも凄く興味引かれたりするよね」


 えっ……そこに食い付きます?

 私から口にしておいてなんですけど。


 でも、確かにあれは素敵だったな。


「あ、はい!それはもう!

 元旦にセリスが着ていた………巫女装束でしたっけ?

 あの服はかなり変わっていたけど素敵でしたよ」


 セリスの怪しげな感じの雰囲気が清らかな感じの雰囲気に一変しましたからね。

 白!赤!って主張している服装にセリス自身も白い髪に赤い瞳で神秘的な雰囲気を感じました。


「ふふ、じゃあそういう服を着てみるかい?」


「そうですね、そういうのも……」


 チュッ


 ほんの一瞬、物思いにふけるように視線を外したら、セリスの顔が側にあって、離れていく。


「ふふ、おはようメリル。

 やっぱりそうやって自然な姿の方が素敵だよ」


「…………」


「…………ごめん、やっぱりもうやらな「駄目です!」え……そうかい?」


 声を出すのが恥ずかしいので無言で、けれど強く頷く。

 興味あったのも文化どうのも事実。

 けれどそれ以上に、思い返してみればセリスが頬にキスしてこようとしてた素振りがけっこうあるんです。

 パッと思い付くだけでも8回は出てきますよ?

 そんな状態でいつされるか分かりませんから馴れておかないといけません。

 それに………


「嫌ではありませんでしたし………」


 口にして益々恥ずかしくなってうつ向き目を閉じる。


 そう、嫌では無かったんです。

 セリスが単純に友としての愛情を向けてくれているから普通に受け入れられているのかもしれませんけど……


「そう、なら良かった」


 目を閉じていて凄く後悔した。

 何故って、セリスが今私を撫でてくれているのですが、オリヴィアの酒屋で見た男のセリスを思い浮かべてしまって、あの姿のセリスが私を撫でて………


「セリス、その……男の人になって私と付き合ってみる気はありませんか……?」


 あれ……私何言って………


「え?……あぁ、そういう手もアリか。別に良いけど「ちょっと待って!今の聞かなかった事にしてください!」……ふふ、わかった」


 ニンマリと猫のような笑みを浮かべたセリスに撫で回されました。


 ちなみにターニャが目覚めたのはこの2時間後で、私とセリスでおはようのキスをしましたが殆ど無反応で流れるようにキスされ返されました。

 先にキスした私の方が恥ずかしがってなんか納得いかない。



 ・



 宿を出て私達は大通りの方へ足を進めます。


 ここで行われている祭は星降りと呼ばれており、はるか昔この地に星が降り落ち、その時の犠牲者を弔うレクイエムを沢山の人が奏でた事が切っ掛けでできた祭りと言われています。


 霊達を音色で癒すのが目的の祭りである為、他の祭りと比べて楽器を持つ人がとても多く、楽器の持たない人は歌い、踊る。


 そして祭りの最終日の夜は藁で作った巨大な馬を燃やし霊を冥界へと送る。


 今日は祭りの2日目で、毎年4月1日から4月3日までの3日間行われるのですが今年は2日間だけになってしまいました。


 それでも祭りをやるのはこの祭りが大きな収入源にもなっていたり、他の領地の貴族との交流も少なからずあるのでしょうね。

 後者は民間人には全く関係無い話ですけど……


「セリス~、せっかくの祭りに来たのですしそろそろ行きましょうよ~」


「もう待って少し待って、あと少しで分かる気がするから。

 このままじゃ私のプライドに傷がついたままだよ」


 あと数分歩けば出店が沢山並ぶ通りに出るのですが、途中でセリスが自分の魔力を感じると言い出して茂みに入り調べる事一時間くらいですかね?


 ミィさんが原因とはいえ自分の得意分野であんな失敗をしてしまった事は思っていた以上にセリスの心に傷を付けていたようです。


 ターニャと先に行っても良いよと言ってくれましたが、ターニャに付いて行っても置いてけぼりになるのは目に見えてますのでセリスを待つことを選びました。


 本当に種族差って大きいですよね。

 私の種族はそれはもう魔力の理解力が高くてとても便利なのですけど、それで気持ち悪がられてしまいます。

 ヒューマンであるターニャは人柄の良さとランク以上の実力もあって帝国の冒険者ではそれなりに有名人で同業者にとても好かれます。


 それにターニャはセリスと違って色気は感じませんが、また違った凛とした顔立ちをしていてウェーブがかった流れるような金髪が格好いいですからね。黙ってさえいれば。


 長い期間滞在し、ターニャと行動してると祭りがあろうが無かろうが手合わせを願う人が何人か出てくるんですよね。


 今回のように短い期間でも祭りがあると、その場の勢いで挑んでくる人がとても多くて、祭りの最終日はひたすらターニャが戦ってる姿を眺めて、最後に戦った人達と一緒にお酒を飲む事になるのがいつもの流れです。


 楽しいことは認めます。

 しかし、いくら冒険者が種族を気にしないと言っても何人かはいるんです。

 私を気持ち悪いと嫌悪していて、羽がそれを教えてくれる。


 ですので私はその場では浮いてしまうんですよね。


 だから私はセリスと一緒に祭りを楽しみたいと思って待っている訳です。


「……ん?」


 私が階段に座って温かい林檎のジュースを飲みながらセリスを待っていると表通りから槍を持った人が二人、門番と同じ格好をした人が来ました。


「ドリーミー……チッ、なんでドリーミーが……」


 私はその男の態度にイラッとしましたが、どうやらこの二人は私に用がありそうなので、飲むのを止めて立ち上がる事にしました。

 それを見て焦った様子でもう一人の男性が口を開く。


「おい、お前いくらなんでも女性に酷すぎだろ。

 ゴメンな、こいつドリーミーに限らず他種族に対してはこんな感じの時代遅れな奴なんだよ。

 俺達は見ての通り町の警備の人間だからそう警戒しないでくれ。

 この辺であった事が聞きたいから教えてくれないかな?」


 ヘラヘラと駆け出し商人にありがちな感じの笑顔でそう言ってくる。

 まあ綺麗な笑顔を作る練習なんて本職でもなければしませんし及第点でしょう。

 しかし……


「……警戒するなと言うのはいささか無茶な話ではありませんか?

 ドリーミーだけに限らないのであれば構いません。

 普段なら見逃しますよ?

 プライベートでどういう考えを持ってどう言おうが自由ですから。その発言がどの様な結果を招くかは置いておいて。

 しかし、貴殿方は仕事中ですよね?

 仕事中にその態度という事は雇い主が他種族にはその様な風に振る舞えと言っている。

 もしくは黙認して放置していると取られても仕方ありませんよ?

 仮にそうだとしたらこの町はその程度だと思われても仕方ありませんよね?」


「なんだと?ドリーミーのくせに……」


「おいおい待てって!お前もうこっちは良いから戻れ!」


 私の言葉に種族差別する男性は怒りを露にし、相方が止めに入ります。

 それを見ても私は何故か口を止められなかった。


「はぁ……本当に何故貴方のような方が警備などという仕事をできているのでしょうか?

 それに貴方は雇い主を馬鹿にされて怒っているのではなく、ただ事実を言われただけで私に喧嘩を売られたと勘違いして怒っている。

 プロ意識が足りないのでは?

 それともヒューマンだからその程度の意識でも雇ってもらえていると?

 ヒューマンは気楽で宜しいですね」


「これ以上コイツを煽らないでもらえませんか!?」


「その方の対応次第ですね。

 そうやって弱い者は怒鳴れば黙って言うことを聞くと思ったら大間違いですよ」


 そう言いながらも何でこんなにも暴力を振るわれそうなのに噛みついているのかわからない。

 少なくとも今までの私なら笑って誤魔化していたのに。


「メリル!」


 私と二人の間にセリスが割って入る。

 セリスの手には杖が握られており、戦う姿勢を見せている。


「セリス遅いですよ。ほら、出店の方行きましょ」


「えっ……ちょっとメリル……」


 私はセリスの腕に組み付き二人を無視してそのまま引っ張る。

 セリスは不思議そうというか、困ったような表情をして私に引きずられる。


「おい!魔族のくせ……っ!!」

「お前、それは言い過ぎだ馬鹿野郎」


 怒り狂った様子を見せ暴言を吐いた男性の腹をもう一人の男性が殴る。

 殴られた男性は嘔吐し、音からしてもかなり強い力で殴られたことわかります。


「申し訳ありませんでした。

 コイツには良く言い聞かせておきますのでどうかお許しください」


 立ち止まった私達に男性は深く頭を下げてくる。

 彼の魔力からして本当に謝罪しているという事がわかります。


「……初めから誠意を見せてもらえれば素直に聞いてましたよ」


「ありがとうございます」


「ジル……お前ふざけ……ゲホ、ゲホ」


 苦しんでいる男性を無言で殴り、胸ぐらを掴んで顔を近付けながら男性は怒りを見せながら小さくこう言った。


「ふざけるなはお前だろ、全面的にこのお方が正しい。

 正論言われてキレてんじゃねーぞ。

 それにお貴族様に対して殴ってたらお前首だけになってるぞ?」


 確かに小声でしたが、小声でも言葉を発するという行為をするのに空気中の魔力に微弱な衝撃が起こる。

 口を動きに合わせて魔力が動き、発せられる言葉には少量ながらも確かに魔力は宿って、私の羽は内容を何となく読み取ってしまいます。

 本当はもう少し違う言葉だったかもしれませんが似たような内容でしょう。


「はぁ!?ドリーミーが貴族!?」


 ほら、自分の羽の正確性には惚れ惚れします。


「声大きすぎだ馬鹿!

 貴族じゃなくてもこんな仕立ての良い服着てる子がただの村や町の娘とでも思うのか!?

 それにあの髪みろよ、どうやったらあんな綺麗な光が宿るんだよ?

 そんな人なら貴族でなかろうと最悪の場合……この子の指先1つで圧力かけられて食い物1つ買うのを拒否されるようになる可能性があると思わないか?」


 今度は隠す気無いくらいの大声で怒鳴り付けてます。

 後半は恐怖混じりの小声でした。


 しかしジルさんという方は見所が良いですね。

 服はセリスが私にくれた快適服ですし、髪の手入れは毎日欠かしていませんからね。


 私を貴族か何かと思い付き、次には抜け出して祭りに参加してると考えたからこそ一般の人と同じように接しようとして……

 相方に恵まれなくて不憫な方ですね……


「貴族ではありませんしその様な事もしませんので安心してください」


「そうですか、ありがとうございます。

 しかし、お礼もかねて1つアドバイスさせてもらいますが服はもちろん、そのような足音1つ立てない凄腕を護衛を側に置いていては隠しきれませんよ?」


 セリスの事ですね、確かにセリスは私を必死に守ろうとするでしょうけど過剰戦力も良いところですよね。


「メリルがお貴族様だって」


「それを言ったらセリスは護衛ですよ?」


「おぉメリル様、この忠実な魔女セリスになんなりとご命令お申し付けくださいませ。

 貴方の為ならどんな絶望も切り開く栄光の剣となってみせましょう」


 町娘と変わらない格好のセリスは大袈裟な振る舞いをして私の手を取り、その手にキスをした。

 手へのキスは確か……『あなたへ私の全てを捧げる』という忠誠を意味するモノだと聞きましたね。


 キスした後に私とセリスの間に光を収束してできたような剣が出現する。

 どうやら幻影魔法のようですけど重さまで感じるって……セリスはやっぱり凄いなぁ。

 剣を握り、セリスの顔を伺う。

 セリスは猫のような笑みをしていて、まるで計画が思い通りに行った知恵者がする笑みな気がして、今までの行動とは裏腹に……いえ、もしかしたら最初から裏切るつもりだからそんな大袈裟な素振りを………なんてね。

 まあ良いでしょう、なら私も便乗しましょう。


「あぁ……確かにこれ程素晴らしい剣を私は見た事が無い。

 けれどどのように素晴らしいモノでも扱えなければ意味はない。

 ゴブリンが宝石を持たないように、こんな細い腕で栄光の剣だなんて己の身を傷付けるだけ……」


 私もやたらと芝居がかった素振りをしてみる。

 するとセリスは一瞬驚いた表情をしたけれど直ぐにその動作に混じる。

 剣を地に突き立てるようにして祈る私の手を引き、ダンスの時のように私の腰へ手を添える形となり悪ノリが続く。


「ならば私がこの剣を振るう手助けをしましょう。

 あなたが道を切り開く為、あなたが道に迷わないよう、あなたが望む限り何時だって私はあなたの側に」


「物言わぬ栄光の剣となってしまったあなたがどうやって?」


「人の死とはいつ訪れるのか、それは死んでしまった時だろうか?

 否、人が死ぬのは大切な誰かに忘れ去られた時。

 ですから、あなたの中で私が生き続ける限り必ずあなたの助けとなるでしょう」


「プッ……ふふ、ごめんなさい……もうムリ………似合わな……フフっ!」


『あなたがどうやって?』と言った辺りでもう笑いを堪える感じで声が震えてましたからね、我ながら良く耐えた。


「フフフ、知ってる。こんなの私には似合わない。

 栄光の剣?私の極大魔法でメリルに降りかかる厄災は消し飛ばしてみせよう!フハハハハハハハ!!!」


 口が裂けそうな程の邪悪そうな笑みをして笑う。

 うん、こっちの方がまだセリスっぽい。


 護衛って言われましたが、そもそもセリスが権力者に巻かれる事が似合わない。

 そんな忠犬じゃなくてセリスは猫って感じです。

 最初に忠犬と例えましたし、同じ犬科で例えるなら狐ですね。


 今のセリスの演技で思い至りましたが、私が貴族だと勘違いされたのはセリスに教えてもらってる上流階級の振る舞いも大きく影響しているかもしれませんね。

 立ち姿から歩き方はもちろん、最近では無意識にできるようになりつつあるとセリスが誉めてくれたくらいですからね。


 前はターニャの歩幅に合わせてたのもあって歩く時かなり形が崩れてましたが、最近ではピシッと歩けます。

 ターニャは歩くのが早いんですよねぇ……


「フフフ………あ。

 ……コホン、それでどういったご用件だったのでしょうか?」


 私達のやり取りを見ていた二人に声を掛ける。

 危ない、完全に意識の外にやっていました。

 今のはそれくらい楽しかったです。


 剣は私が笑いだしたら霧散してしまったのでもう無いです。

 剣は……私の心の中に………


「フフフ」


「あ、あの?」


「い、いえ、なんでもありません」


 危ない危ない、シャキッとしましょう。


 それで、嘔吐した男性はまだ両膝を地に付けていて立とうとしない……というよりポカンと私達を見ています。

 下手くそな私の演技を見せられたからその反応もわからなくないですね。

 もしくはセリスの演技が上手すぎて魅入られていたとかですかね?

 笑ってしまいましたけどセリスはとても格好良かったです。


 ……って、なんかジルさん微かに怯えを感じているような魔力をしています。何故?

 しかしそれを仕草に出すこと無く語り出す辺り有能な人です。


「この通りで茂みに入り怪しい事をしている人物がいると報告があったので見回りに来たのですが、この通りには貴女様しかおりませんでしたので、あくまで一般の人と同じように聞いた方が宜しいかと思いまして……」


「…………セリス?」


 ジルさんの言う人物に心当たりしかなくて名前を呼ぶ。


「あぁ……うん……確かにこんな時に茂みに入って物色してる大人って不審者かもね……」


「まあ……そこまで頭が回らなかったから半分は私の責任でもありますか」


「メリルは悪くないでしょ。

 えっと、もしかしなくてもその不審者は私の事だね」


「護衛の方がですか?」


 とセリスに話ながらもチラリとこちらを見たジルさん。


 私が命令したのではありません。

 自分の意思で不審な事をしていたのですよと察してもらおうと笑顔を向けるとひきつった笑みで視線を反らされてしまいました。

 これはどう受け取ったのでしょうか……


「それで……何故その様な事を?」


「私は呪い(まじない)系統を得意とする魔法使いでね、この町に来たのは祭を楽しむ予定だったから偶然なんだが、呪い(のろい)の気配がしてこの位置が臭いが特に色濃くあるから何かないか「くふぅっ」……と調べてたんだよ。

 呪い系統を嗜む者としては気になるだろう?」


『その臭いが自分と同じせいで調べるのに苦戦しているが抜けてますよ』と服を摘まみ引っ張りながら主張したら、身長差のせいもあり肘でみぞおちの辺り小突かれて変な声が出てしまいました。


 そのやり取りを目撃した警備の二人は胸を押さえる私からサッと目を逸らしてセリスの方へ向く。

 ジルさんって人は紳士的な対応かもしれませんが、殴られた方はこれ以上罰を受けるリスクを増やしたくないという焦りがぎゅんぎゅんと魔力から感じますがドリーミーに嘘は効きません。


「それで……調べた結果どの程度理解できているのでしょうか?」


 ジルさんは一瞬聞くかどうか躊躇った様子でしたがセリスに聞きます。


 ……もしかしてこの流れ、予想以上に調査が進んでいないとかでしょうか?


「あの……「効力は理解できているんだけど、いかんせん術者が呪い(まじない)を理解してないのかメチャクチャな呪い(のろい)なのにどうやって発動させたか気になってねぇ。

 素人丸出しのくせして必要の無い部分、本来なら魔法の発動に支障を起こしてもおかしくない部分が絡み合ってちゃんと魔法として発動しているのは一重にその魔力と系統の愛称がとても良いのが原因かもね。

 まるで剣の達人に槍でも持たせて戦わせてるような感じかな、というのも……」


 止めようとしましたが珍しくとても滑らかな口調で声色も高くなっている。語るのが楽しいと言うのが伝わって止められませんでした。

 とかなんとか思っている間もセリスは語るのを止めませんし。


 はぁ、仕方ない。

 セリスには話したままにして聞きたかった事を聞いてみましょう。


「もしかして呪いの調査ってあまり進展していないのでしょうか?」


「く……悔しいがまだ終わってないんだよ……

 でもねメリル!これだけ情報少なくても半分くらいは解ったよ!」


「セリスじゃなくてこの町の人の方がしてる調査がですよ」


 生き生きと答えたセリスの魔力を感じて私も嬉しい気持ちになり、とても幸せな気分で笑顔を作れてたと思います。


「その話しはここではなく他の場所で……

 あの、よろしければ調査のご協力をして頂いても宜しいでしょうか?」


 他の場所……この後は表通りでセリスと…………


「どうするの?私は行っても良いと思いますよ?」


 それは明日……最悪次回でも良いですね。

 いつも私を楽しませようとしてくれるセリスに付き合うのも良いでしょう。


「……良いのかい?

 メリルは祭りを一緒に回るの楽しみにしてたじゃないか」


「そう思うのならここで一時間もほっぽかないでほしかったですね」


「うぅ……ゴメンね」


「わかればよろしい。

 でも、私はセリスに付き合いますよ?

 普段私のわがまま沢山聞いてもらってますし、私はセリスの意見が聞きたいです」


「……本当に良いのかい?」


「それはそれで楽しそうだと私は思ったんですけど?」


 私が意見を聞きたいと言ってもセリスは不安そうに聞き返してきました。

 まだセリスに信頼されきってないのかと少しムッとして、拗ねた感じの口調で返してしまいました。


「そうかい、わかった。

 それじゃ案内してもらって良いかい?」


「ご協力感謝いたします。

 この町の領主の館に他の魔法使いの方々も集まっておりますのでご案内いたします。

 フォルド、先に行って恐らく凄腕の魔法使いが行くと報告してこい」


「お、おう!」


 ジルさんに言われ先程まで膝を地に着いていたフォルドさんは人のいない道を走って行きました。


「ウォーター……では行きましょう」


 ジルさんはフォルドさんが吐いたモノを魔法で洗い流してから先導して進んでいく。


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