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覇王セリスの後日談  作者: ダンヴィル
2章、軽い刺激
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覇王セリスの後日談2


 12月20日

 ターニャを捻った。

 最近はどんなモノだろうが武器として使おうと努力が見れる35点


 今日からメリルに貴族等の振る舞いを教えていく事になった。

 こっちの世界の上流階級のマナーは知らなくとも洗練された動きができている事実が重要だ。


 こんなでも私は元覇王であり、一応元国王な訳からね。


 当然振る舞いにはそれなりの自信はある。

 しかしそれは私自身を犠牲にして覇王としてあろうとし続けた結果であり、利点であると同時に最早外すことのできない悪癖だと自覚している。

 だが、結果的にメリルの役に立ててるのだから良しとしよう。


 一通り試してみたが、音を立てずにスープを飲む方法とダンスが他と比べて苦戦しそうだと感じた。


 メリルは頭を使うことは得意だがあまり器用ではなく、そもそも体を動かす行為そのものが種族としてヒューマンと比べて苦手なのかもしれない。

 絵を描くのは得意なんだけどね。


 時間は沢山ある。

 少しずつ覚えれば良い。

 メリルが頑張る限り私も付き合おう。



 12月21日

 ターニャを捻った。

 私が変な搦め手ばかり使うと思ったら大間違いだ。

 文字通り真っ直ぐ突っ込んでラリアットを放つ。

 しゃがんで避けたのを見てから即座に回し蹴りに切り替え蹴り飛ばした。

 初撃が反応できたのは誉める10点。


 今回商業ギルドが提示してきた物は希少なレアメタルだった。


 レアメタルは魔力をごっそり使わないと変化が起こらないし、一流の腕前であろうと変化が起こってからの調整が難しく魂を構築してしまう可能性が極めて高い。


 用意された数は30と少なかったがコイツは全力でなければならないので日に10までにさせてもらった。

 世界を飛び越えて2ヶ月近く、鈍った腕で一度に30続けては自信がなかったからね。


 私の申し出をほぼノータイムで了承したミカエルと言う男はその辺の天秤の掛け方は上手いと思う。

 だからこそ油断できない男だけどね。


 メリルの方は始めたばかりだから仕方ない。

 ドリーミーとして種族的なモノもあるだろうし、こればかりは頑張るしか無いね。


 そうだ、メリルに負担が掛からないように私の経験を刷り込む魔法を作ってみよう。


 ※以降5ページほど魔法の理論などで埋め尽くされている。


「いつもより書いてる時間長いですね」とメリルに聞かれたので素直に答えたら叱られた。

 メリルの言ったことは正しいと認めるしか無かったのでもう止めよう。

 特に最後の、種族魔法使いの経験を種族ドリーミーに刷り込んだとして、それを生かせるようドリーミーが修正できるのかと言われれば不可能だからだ。

 ならイデアに干渉して私もしばらくドリーミーになってみようと言ったらまた叱られた。

 前者はともかく後者はわからなかったが嫌だと言われてしまった。

 きっと種族的なモノや今までの生活での価値観の違いだろう。

 そういうものだと受け止めて擦り合わせていこうと思う。



 12月22日

 ターニャを捻った。

 どうもターニャは昨日の事を警戒しすぎる癖がある。

 頭の片隅にそう言う動きもあると覚えておく程度で良いのに、まるで他の箇所から攻めてくださいと言っているようだった。

 わざと隙を作ってる訳でもない。

 せっかく良い動きできるようになっていたのに堅すぎる5点。


 魔力付与を規定通り行い、メリルの練習も手伝った。

 今日気がついたのだが、ダンスの練習はしなくても良いだろうに何故しているのだろうか?


 元々格上の商人相手に商談をする際に洗練された動きを見せて侮れる相手ではないと思わせる事で抑止力を与えるためにしている事だ。


 その延長線で同じ席に座り食事をする事になるかもしれない。

 だからテーブルマナー、ただしシルバーの使う順序などは違うだろうから教えないとしても音を立てないのは重要だろうから教えている。

 既に書いた事だが、こちらが洗練された動きをできているという事実を相手に印象付けられれば良いのだから。


 しかしダンスとなると覚える意味があるのだろうか?

 だが、メリルに自慢気に語って教え始めた手前やっぱりしなくて良いとは言いづらい。

 私自身メリルと踊れる事を楽しんでいるので尚更言う必要は無い。

 ダンスの何が面白いのかと何度も考えた事があるが、今では少しわかる。

 上手く息が合いシンクロした時の感じが気持ちいい。

 それは相手がメリルだからというのも強いだろうけどね。



 12月23日

 クリスマスがもう目の前だ。

 血と小銭と下品な笑いと誰かが嘔吐する音が飛び交う楽しい時期だと一人興奮していたのだが、そんな祭りは無いと言われた。

 私は殺し合いは嫌いでも喧嘩は好きだから少しショックだった。


 他に記念日は無いか考えたら元旦に親しい人にお駄賃を片手サイズの長方形をした紙に入れて渡す文化が私の世界の東の大陸にあったのを思い出し、商業ギルドに適当な魔法具を売り、その金を可能な限り紙に押し込んだ物を二つ用意した。

 もちろんメリルとターニャに渡す分だ。


 ターニャはもちろんの事、周囲にいた冒険者全員強めに捻った。

 冒険者ギルドの訓練施設が一部赤く染まったがこれくらいしないと私のポッカリと空いた祭り気分は納められそうになかった。


 その際に強すぎるとか理不尽だとか騒いでた気がするけどそれは間違いだ。お前達が弱すぎるんだよ。



 12月24日

 今日はターニャからの一撃が入った。

 ターニャが足を滑らせ、出鱈目に振るった一撃で軽く防ぐ事はできたが回避という手段は取れなかった。


 例えそれがどれだけ偶然だったとしても当てられてしまった事実は変わりなく、実戦であれば解毒魔法か解毒ポーションを使わざるを得ない事の方が多いだろう60点



 12月25日

 雪が降ってきた。

 せっかく町の馬車道は雪の整理ができていたのにうんざりだ。


 これだけの雪が降るのは異例だとは聞いていたが、ここまで降ると気が滅入る。


 前の世界ならせっかちな野郎共が今頃大笑いで雪をイ血ゴ味に染めている頃だろうに、少し寂しい。

 そして酔っぱらいがそのまま凍死するまでがお約束なんだが……


 鬱憤晴らしにターニャは全力で捻った。

 強化魔法も使用してこれまでに無い理不尽を与えたと思う。

 冒険者ギルドの地下でやって悪目立ちしてしまったようだし反省しよう。

 だが晴れやかな気分になれた。


 ここまで加減をしなかったのはこっちの世界に来て初めてだ。



 12月26日

 昨日の私の様子を心配してか、5月辺りにコロシアムで年に一度の大きな大会があるからそれに参加しないかとメリルが聞いてきた。

 何でもレドランスという町で開催されるらしく、毎年多くの冒険者や国の騎士が参加したりするのだという。


 話しによるとターニャでそれなりに良いところまで行ったらしく、私が参加してしまったら簡単に優勝してしまうのでは?と思ったが、そんなこと関係ない。

 もしかしたら本当に強い奴がいるかもしれないし。


 メリル達と過ごすこののんびりとした感じはとても良いのだが、たまには刺激も必要だ。



 12月27日

 ここの所忙しいのもあるが、毎日やっている事に変化がない。


 魔力付与をしに行く時に必ずメリルが一緒に来るのだが、寒さの苦手な種族なのだから心配になる。


 まあ、私の魔法で守ってはいるんだけどね。


 いっそのこと雲を散らしてしまうか?



 12月28日

 驚いた事にメリルが無詠唱でレビテーションを使って見せた。

 私が日常的に使う魔法であり、雪が多いからメリルに対してもよく使ってあげていたのだが、まさか魔法陣の意味を理解せず飛行魔法の性質を完璧に把握して使えるようになるとはね、ドリーミーは素晴らしい。


 魔法使いにならないかと誘ってみたが断られてしまった。残念だ。


 あと、雪が多すぎて不味いと言うことで冒険者ギルドから緊急依頼としてランク関係無しで雪掻きに駆り出された。

 ターニャもね。


 緊急依頼を無視するとランクを下げられてしまうらしいのだが、私はGランクでもう下がりようが無いと考えていたらHランクとか言うランクに下げられた。


 Hランクは一部のギルド設備の使用不能扱いになり、他にも色々あったがその中でもHランクと言う物の重要な所は、Hランクになった事がある事実が例え最高ランクになろうともギルドライセンスから消される事が無いという所らしい。

 私には関係無い話だけどね。



 12月29日

 今日も冒険者達は頑張っている。

 お疲れさま。



 12月30日

 何故かメリルに叱られたので渋々除雪することにした。

 まあ、私が出たのだから雪掻きじゃなくて雪消しになるけど。


 魔法により3000度を越える私の手によって雪を面白いくらいに溶かしてだいぶ少なくなった。

 この魔法はアクセサリー類に特殊金属を使う際に使う魔法で私のオリジナルだ。


 この魔法が便利だと感じるのは私と同じように呪い系統を得意とする奴くらいだろうけど。


 余談だが途中で水蒸気爆発したが怪我人もいなかったし煉瓦道も直したから問題無いだろう。


 そういえば人形のストックが心もとないから作らなければ。


 12月31日

 人形を沢山作った。


 こんなに作ってどうするのとメリルに叱られた。


 最近私はやたらとメリルに叱られている気がする。

 恐らく常識の違いなのだと思うからこればかりは素直に聞いて直していくしかない。

 メリルも私が直そうとしている事を理解してくれているから一回一回叱ってくれているのだろうから頑張ろう。



 1月1日

 東の魔法使いが着る巫女装束を着てメリル達にお小遣いを渡した。

 この巫女装束を着た札を使う呪術の使い手は皆精鋭だったし話が良く合う奴等が多かったのが懐かしい。


 こっちの世界に来る前に声を掛けに行っても良かったかもしれないと一瞬思ったが、彼女等は冥鬼と呼ばれる呪いの鬼の封印の為動けないから無理だろう。


 呪いの鬼の住む黄泉の世界への道を封印するのに沢山の呪いを使うところがまた素晴らしい。


 下手に結界で押し止めておくより呪いには呪いで対処する方が良い。

 呪い(まじない)系統の魔法は風評被害を受けすぎだと思う。

 あれほど何かを守るのに便利な魔法は他の系統じゃ見つける方が難しいというのに。


 まあ、呪い系統は地味だと言うのが一番の理由だろうけどね。


 だいぶ話が反れてしまったが、お駄賃を与えたらメリルは多すぎると言って返そうとしてきたが、気持ちだから受け取ってほしいと言い受け取ってもらった。

 私的には完全にお駄賃のつもりだったが多いのか……


 変わりにとメリルの奢りで酒を飲む事になった。


 ターニャは特に気にせず礼だけ言って終わったけど。


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