装備と師匠
うまく話をまとめるスキルが欲しいです
あと面白いサブタイ付ける能力も
あらすじ:本登録をした。
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薬草マスターの朝は早い。
「まあ、好きで始めた仕事でもないですけど」
青年はいつものように宿で朝食を取り、宿のおばちゃんに一声かけて冒険者ギルドへ小走りで向かう。
「今日は……解毒草の依頼が出てるな」
常時依頼だけではなく通常の依頼にも目を通しカウンターへ持ち込む。
「あら、今日も採取?助かるわぁ、報酬が少ないから敬遠されがちなのよねぇ」
「ハハハ、これしか能がないもので」
「いや真面目な話あなたが来てから薬の供給が増えて街でのギルドの評判はかなり上がってるのよ」
「おい、薬草マスター今日も期待してるぜ!」
「マスター、気を付けて行けよ!」
そこかしこから激励なのかよく分からない声が上がる。
声を掛けられた方としては苦笑いしながら曖昧に返事をする他ない。
実は先程の冒険者たちは決してからかっているだけではなく、助けてもらった恩義を感じて尊敬を込めてそう呼んでいる。
一週間ほど前にパーティの一人が毒にやられ、街へ帰ったが少々珍しい致死毒で薬がないと数日で死に至るというものだった。
その薬の素材もかなり珍しく数か月に一度持ち込まれるかどうかというものであったが、つい先日新顔の少年が採ってきたらしく丁度薬が出来ていたのだ。
それ以来そのパーティはそれを持ち込んだ少年に感謝し、通常持っていれば大変名誉な『二つ名』で呼んでいるのだった。
その他の街の人々も薬草の出回りが多くなることは大歓迎らしく、外を歩いていても声を掛けられることが多々あった。
もっとも呼ばれている本人はあまり名誉なことだとは考えていないらしいが……
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異世界に来てから一週間と少しが経った。
生活は割と安定している。薬草たちのおかげで。
まあ、そのせいで不名誉なあだ名をいただいてしまったのだが……
それは置いといてこの一週間でかなりのことが分かってきた。
本登録の時にもらった冊子によれば、冒険者ギルドメンバーにはランク制というものがありF~SSSランクまでが存在するらしい。といっても現在は上位ランカーが減り、Sが3人いるだけでSS以上は形骸化しているらしいが。
このランクを上げるにはギルドへの貢献度と実力、この二つが規定値を超えるしかないらしい。
貢献度は依頼ごとに決められており、難易度の高いほど多い傾向にあるのだとか。
実力は例の判定珠が勝手に計測してくれるらしい。よく分からん……
またランクを上げるとギルドカードが更新され色が変わり、ちょっとした景品ももらえるらしい。
ランクアップする人をギルドでみたが、何やら奥の部屋に案内され一分後くらいに少しがっかりした顔で出てきた。
詳しいことは分からないが大したものじゃないんだろうか?
他には俺が今居る町はいわゆる辺境の街らしい。
まあ辺境と言っても魔物や魔獣なんかの素材とかでそれなりに豊かではあるらしいが。
そしてこれが今の俺のステータスだ。
名前:ロト
種族:ヒューマン
年齢:17
職業:冒険者
状態:良好
レベル:1
体力:100
魔力:100
敏捷:100
器用:100
精神:100
幸運:100
スキル:ステータス利用(SSS)
称号:転移者 薬草マスター
適性:火(E)水(E)風(E)土(E)光(E)闇(E)
魔法を使うのに適性があるって聞いたんで自分はあるのかな、なんて考えていたら例のアナウンスが入って適性というのが追加されていた。表示非表示を切り替えられるらしい。
これまた微妙すぎる結果に苦笑いしかでなかったが。
適性Eというのは他の冒険者を見た感じだと魔法を使うより殴った方が早いよね、って感じだった。
つまり最低限使えるかもしれないが才能はなし、と。
その日、俺は一人宿で枕を濡らした。
他は職業が冒険者になったのと称号が増えただけだろう。冒険者ってのはどうやら一定以上武器で戦闘を冒険者に着く職業らしい。
レベルとかがなぜ変わってないかっていうと戦闘をあれ以来一回もやってないから。スライムも見かけないし。
ほら、自前の装備揃えてから、と思ってね? 決して怖くて尻込みしてたわけではないよ?
薬草採取のときに時々地に伏せて息を殺してたのは戦略だからね?
まあ、そんなわけで薬草とか採りまくって懐が少々暖かいので今日は自前の装備を買いに昼間から街に来てるわけですよ。
例によってギルドの地図を頼りに一軒目の防具屋に入ってみる。
「はい、らっしゃいって薬草マスターか!?」
「え、ええまあ、そんな感じに呼ばれているかもしれないですね」
「おお、今日は何の用だ?この前家内が病気のときお前さんの薬の世話になっちまったからな、安くしとくぞ」
「ええと、じゃあ機動性重視で軽めの皮鎧を……」
「おう、任しとけ、採寸するからこっち来いや」
「よし、一時間後には仕上げとくから後で取りに来いよ」
「そんなに早く出来るものなんです?」
「ああ、ある程度のサイズは用意してあるんでな、採寸つっても最終調整用だよ」
「なるほど、ではお願いしますね」
安くなってラッキーだな、などと暢気に考えながら二軒目の道具屋に向かう。
店内を覗くと品ぞろえとしてはボールのない某フレンドリィなショップみたいな感じだ。
冒険者に必要な大体のものがここで購入できるようだ。
取り合えず冒険者セットなるものがあったので手に取り、また最も小型の容量も大して大きくないボーチ型のマジックバッグを一緒に購入する。
『マジックポーチ:中の空間が五百リットルまで広がったポーチ。価値D』
いちいち普通の袋を持って歩いたりするのは大変だし腰にぶら下げても走るときに邪魔になりやすいからだ。
まあ、結構な値段がしたが必要経費と考えればどうという事はない。
さてそして今日の本題、武器屋だ。
いままではゼクサスさんに借りた剣を使ってたわけだが、気が付いたことがある。
狭い森の中ではめっちゃ使いづらい!
これに尽きた。
広い場所ならば素人の俺にとっては直感的に使えるいい武器なんだが、採集メインの俺からすると面で攻撃する剣は非常に使いづらい武器だった。
まあ、枝払いとかにしか使ってないんだが……
そこでしばらく考えた俺は槍をメインウェポンにすることに決めた。それも取り回しのいい短槍だ。
そしてサブウェポンには短剣を腰に括り付ける。これで行こうと思っている。
理由としては力が無くても攻撃が通りやすい、間合いが広いなどがある。
まあ、逆に間合いに入られると危ないが……そこは短剣で、どうにか出来ればいいな。
てなわけで取り合えず槍の店に来た。
槍が剣と同じ店にないわけではないがやはりどうしても性能が劣る。
専門でやってるわけだからそれはそうでないと困るのだろうが。
中に入るとカウンター的なところにいわゆるドワーフと呼ばれるヒゲが特徴的な小柄な種族のおっさんが座っている。
そう、この街では少ないがヒューマンだけはなくこのような亜人種と呼ばれる人々も住んでいるのだ。
「――坊主、どんな槍が欲しいんじゃ?」
「えっと、取り回しのいい短槍が欲しくて……」
「ふむ……その体格ならこれがおすすめかの」
そう言って差し出してきた槍は身長よりやや短い位の赤黒い槍だった。
『黒血の槍:使えば使うほど血の魔力を微小に吸収し強化されていく槍。価値B』
こわっ! でもめっちゃ強そうではあるな……
他の槍を見ても価値C止まりだ。まあ、高級な方に目を向ければBがあるんだがとてもじゃないが手が出る額ではない。
「よし、これいくらです?」
「おお、武器の良さがわかるようじゃの。そうじゃな、ならば24万でどうじゃ?」
他の価値Bに比べるとかなり安い、最初それほど強くないからだろうか。
まあ、今週毎日採取にでて往復までしたことがあったので余裕、というわけではないが予算は足りる。
「では、それでお願いします」
「ほお、即決か、ふむ、お前には見どころがある。が、見たところ素人じゃな?」
「ええ、冒険者になったばかりですね」
「そうか……ならばそうだな、特別にお前に毎朝稽古をつけてやろう」
これは願ってもない申し出だ、他の冒険者の見様見真似くらいで槍の使い方がいまいち分かってなかったんだよな。
「それならぜひお願いしたいです!」
「よし、それならば明日の朝6時からこの店の裏手に来い」
「はい、わかりました」
「ああ、それからワシの名前はガルタスじゃ」
「自分はロトといいます、これからよろしくお願いします、師匠」
この時俺は知らなかった、この師匠が元Sランク冒険者だとは。
読んでいただきありがとうございます
少し内容詰め込みすぎましたかね?
次かその次にヒロイン出します(自分へのプレッシャー)
一部矛盾した記述を削除しました。(2018/3/19)