後輩の頼み事
「いらっしゃいませ!こちら2点で、320円になります!」
「あ、から○げ君もください。レギュラーで。」
「はい。かしこまりました!」
時刻は午後7時。俺は、死ぬ程混んでいる時間帯のコンビニでバイトのシフトに入っていた。近くに駅や高校もあることから、この帰宅ラッシュの時間帯は恐ろしいほど客が入り乱れる。特にうざいのが、この部活帰りの高校生軍団だ。______レジ打ち終わった後に、追加でから○げ君注文するのやめろや。
ボンッ!!
「先輩ー!ミスってマヨネーズ付けたまま、弁当温めちゃって爆発しました!助けてください!!」
隣のレジから、爆発音とともに助けを呼ぶ声がする。声の主は同じバイトの女子高生、藤宮だ。
「はぁ!?お前、何してんだよ!?_____申し訳ありません、お客さま!すぐに新しいのとお取替えしますので!!」
普段は絶対にこの忙しい時間帯のシフトは入らなかったのだが、最近何かと出費が重なって渋々だが新たにシフトを入れるしかなかった。金に目が眩んだことに後悔するも、時すでに遅し。
「あのぉー、○チキ欲しいんすけど、揚げてくれませんか?」
「申し訳ありません!!今揚げておりますので、もう少々お時間いただけますでしょうかぁっ!!」
______________
「っっだぁー・・・・疲れたぁー・・・・。」
「・・・・・・先輩ー。わたし、疲れたんで肩揉んでくれませんかー?」
「だまれ、藤宮。お前がマヨネーズ爆発させたせいで、レンジを掃除するはめになったんだぞ?分かってんのか?」
「だってー・・・。っていうか、終わったことをグチグチ言うの止めてください。うざいです。」
「逆ギレかよ。」
午後11時。やっとのことで俺たちはシフトを終え、2人揃って休憩室でぶっ倒れていた。この藤宮という後輩、相変わらずの生意気具合だ。
「・・・はぁ、さて、もう帰るとするかな。もう絶対この時間帯にはシフト入れねーわ。」
「えー?先輩来てくれないと、わたし誰と会話すればいいんですか?わたしを一人にするとか許しませんよ?」
上目遣いで、俺の服の袖を掴んでくる藤宮。こいつは、自分の可愛さを利用してよくこうやって俺をからかってくるのだ。初対面の時は『俺の気があるんじゃないか?』と動揺したが、こいつは俺をからかってそのリアクションを見て楽しんでいるのだ。
「あー、はいはい。可愛い可愛い。ほれ、これで満足か?他の男子はそれでころっと騙されるんだろうが、俺はそうはいかねーぞ。じゃーな。藤宮も気を付けて帰れよー。」
「あっ、ちょっと待ってください先輩っ!こんな時間に女の子一人で帰らせるんですか?」
「は?お前、いつも一人で帰ってんじゃん。」
「・・・最近ちょっと、帰り道が怖くて・・・ですね。」
藤宮がいつになく真面目な表情をしながら話を続ける
「あの、まじで今晩家まで送ってくれませんか?私の家、駅裏の方にあるんですけど、なんか最近『変な人たち』がいるんですよ。」
「変な人たち?なんだそれ。そういうのは警察に通報しろって。」
「ふーん。それじゃいいです。店長に、先輩からセクハラされたって言いますね。」
「くっ・・・か、帰り道、ご一緒させていただきます、お嬢様。」
「それでよろしい。じゃ、先輩。一緒に帰りましょー!!」
こうして俺は、藤宮の脅迫によって半ば強制的に生意気な後輩と帰り道を一緒にすることとなった




