GパニックⅢ
「えぇー!?ほんとに行くの!?ほっとけばいいじゃん!せっかく、この部屋に平和が戻って来たというのに!」
「そうですよご主人さま!わざわざ再び地獄へ行く必要ありません!しかも、今度は奴が『いっぱい』なのですよ?どんな恐ろしい光景が広がっているか・・・!あわわわ・・・想像しただけでも鳥肌なのですっ!」
玄関先でグズる幽霊と悪霊
こいつらの言っていることももっともだ。また『G』と戦うことになると思うとゾッとする・・・しかも電話でのふーちゃん曰く、『いっぱい』いるとのこと。だが、以前の天獄荘の露天風呂での一件で、ハルカとふーちゃんにはピンチを脱するアドバイスを貰った・・・流石に見捨てるわけにはいかないだろう。後でなにされるか分かんないし。
「うっせー!2人とも大人しくついてこい!じゃないと・・・今後、まじで飯抜きだぞ?まぁ、それでもいっか。お前ら霊だもんなー?」
「ぐぬぬ・・・。」「ご主人さま・・・ご飯を囮に使うのはずるいのです・・・!!」
「よし、それじゃ、ありったけの殺虫剤持っていくぞ。」
ちょろいもんだ。霊のくせに、こいつらの『食』への執着心ははっきり言って異常。
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お隣の、ハルカの部屋の前。チャイムを鳴らすが反応はない、緊張で震える手でドアノブに手を掛ける
ガチャリ
「・・・おーい・・・ふーちゃんー?助けに来たぞ____って、ハルカ!?」
ドアを開けまず初めに目についたのは、玄関スペースでうつぶせになって倒れているハルカの姿。
「し・・・死んでる・・・!?」
「くそぅ、『G』の奴ハルカさんの命まで・・・!!許さないのです!」
俺の背後から顔をのぞかせながら呟く幽霊と悪霊
「いやいや、勝手に殺してやるな。?え・・・まじで死んでないだろうな?おーい、ハルカー?起きろー何があったー?」
恐る恐る、倒れているハルカの体をゆさる。良かった、息はしている。どうやらただ気絶しているだけのようだ。いや・・・あの能天気で中二なハルカが気絶しているとなると、一体どれほどの恐ろしい光景を見たというんだ・・・?
ガサッ________
「「「!?」」」
突如鳴る物音に、俺たちは3人揃ってビビってしまう。
「_____わたし・・・なの。来てくれて、ありがとう、なの。」
玄関の靴箱の影から現れたのは、今までに見たこともないような怯えた表情のふーちゃん。目に涙をいっぱい溜め、いつも来ている紺のセーラー服が涙で濡れている。どうやら相当参っている様子だ。
「だ、大丈夫かふーちゃん?『G』が出たらしいか、いっぱいって・・・一体何が_____ちょ、え!?」
ふらふらと俺に近付いてきたふーちゃんは、そのまま俺の胸に顔をうずめて抱き付いてきた。いつもの冷静なキャラからは考えらない行動に、動揺を隠せない
「うっ・・・グスッ・・・・こ・・・怖かったの・・・・!!」
「・・・よしよし、怖かったな?俺たちが来たからもう大丈夫____って訳にはいかないかもだけど、なんとか最善は尽くす。」
泣いているふーちゃんの頭を撫でてやる。この子をここま追い詰めるとは・・・本当に『G』が苦手なようだ
「ちょっとー?いつまで抱き合ってるの?わたしたち、ゴキ〇リを退治しにきたんだよね?」
「そうですよ、ご主人さま。早く2人とも離れるのです!」
何故かむすっとした表情の幽霊と悪霊
「もうちょっと思いやる気持ちってのはないのか・・・?はぁ、お前らもこのくらい可愛げがあったらなぁー。」




